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夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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#大人ロマンス
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「好きだから不安になる3」、読み終えました。 今回は亜佑美がマンションに戻るまでの安心感と、朝陽が遅くなる知らせでの寂しさの行き来が切なかったです…。最後のインターホン、誰も映ってないのに何度も鳴るの、本当に怖かったです。ストーカー、確実に来てますよね。陽向が風呂上がりで裸のまま確認しに行く姿に「頼れる弟感」が出ててよかったです。続きが気になって仕方ないです💦
車内で暫く沈黙が続いたあと、陽向が思い出したように口を開く。
「つーかさ、あの男、取り引き先の人間なんだろ? 会社には相談できねぇの?」
「直接何かされたわけじゃないから……」
「……まあそっか。話しかけて来た程度じゃ無理か。やっぱ証拠がねぇと難しいか」
重苦しい空気のまま話を続けているうちに、タクシーは朝陽のマンションへ到着した。
料金を支払ってエントランスへ入り、周囲を警戒しながらエレベーターで部屋へ向かう。
無事に室内へ入ると亜佑美はようやく張り詰めていた気持ちを緩め、小さく安堵の息を吐いた。
その直後、スマートフォンが震える。
ちょうど朝陽へ無事に着いたことを連絡しようと思っていた亜佑美が届いたメッセージを開くと、
《すみません、帰るの少し遅くなりそうです》
予想していなかった言葉が記されていた。
少しでも早く帰ってきてくれると思っていた亜佑美は帰るのが少し遅くなりそうというメッセージを見て少しだけ寂しさを感じたものの、それでも仕事であれば予定が延びることもあると自分に言い聞かせて気持ちを切り替える。
「朝陽くん、帰るの少し遅くなりそうだって……」
メッセージの内容を陽向に伝えると不思議そうに首を傾げた。
「マジかよ。何かあったんかな……」
「ちょっと電話して聞いてみるね」
メッセージより早いと思い亜佑美が電話を掛けると朝陽はすぐに応答した。
「もしもし、今大丈夫?」
『はい、大丈夫です。亜佑美さんは陽向と合流できました?』
「うん、もうマンションに着いたよ」
『それなら良かったです』
安堵した様子の声を聞き、亜佑美は本題を切り出す。
「それで、遅くなりそうって、何かあったの?」
『いえ、トラブルじゃないんですけど……そっちに戻ったら先輩に飲みに誘われてしまって。いつもお世話になっている人なので断れなくて……すみません』
「そっか、それなら仕方ないね。付き合いも大切だもん」
『ありがとうございます。それでも、なるべく早く帰りますから』
「無理しないでね。私は大丈夫だから」
『あの、弟に代わってもらってもいいですか?』
「うん」
亜佑美はスマートフォンを陽向へ手渡す。
「何?」
『悪いけど、今日は泊まってくれるか? 先輩に飲みに誘われてすぐには帰れないし、飲んだら車を出せないから送ってやれないし』
「俺は別に構わないけど、兄ちゃんはそれでいいのかよ?」
『頼んでるのは俺だから、駄目なら最初から言わないよ』
陽向は少し考えた後で小さく肩をすくめた。
「……まあ、それならいいけど」
了承を得た朝陽は安堵し、再び亜佑美へ電話を代わるよう頼んだ。
『陽向に泊まってもらうことで話がつきました。すみませんけど、よろしくお願いします』
「うん、分かった。それじゃあ、またね」
電話を切った亜佑美は仕事の付き合いなら仕方がないと理解しながらも、寂しさを胸に抱えたまま朝陽の帰りを待つことにした。
「陽向くん、ご飯何にしようか?」
キッチンへ向かいながら亜佑美が振り返ると、陽向は少し考えるように顎へ手を当てた。
「そうだな……出前でも取る?」
「有り合わせで良ければ何か作るけど……」
「亜佑美サンが大変じゃねぇなら、俺はどっちでもいい」
その言葉に亜佑美は冷蔵庫の中を確認する。
「じゃあ……チャーハンと卵スープくらいならすぐ作れるけど、どうかな?」
陽向はぱっと表情を明るくした。
「チャーハン、俺の大好物」
「そっか。それじゃあチャーハンにするね。あ、もし良かったら、先にお風呂入ってきてもいいよ?」
「あー、じゃあそうすっかな」
そう言うと陽向は浴室へ向かい、ほどなくしてシャワーの音が聞こえ始めると、亜佑美はエプロンを身につけて夕食の支度を始めた。
ご飯は冷凍した物があるので解凍し、フライパンに油をひいて刻んだ具材を炒め始めた、その時だった。
ピンポーンと突然インターホンが鳴り響く。
(誰……?)
動きを止めて恐る恐るモニター付きのドアホンを確認するけれど、画面には誰の姿も映っていなかった。
(間違い? それともセールス……?)
首を傾げながらキッチンへ戻ろうとした、その直後、再びインターホンが鳴った。
慌ててモニターを確認するが、やはり画面には誰もいない。
(まさか……あの人?)
その考えが頭をよぎった瞬間、全身から血の気が引いていく。
身体が小刻みに震えて呼吸まで浅くなる。
(陽向くん……まだお風呂だし……)
玄関の鍵もチェーンも掛けてある。
それでも、胸を締めつけるような恐怖は消えない。
そして、追い打ちをかけるように三度目のインターホンが鳴った次の瞬間、浴室のドアが開くや否や、髪をタオルで拭きながら出てきた陽向は上半身裸のまま玄関へ向かうと静かに覗き穴から外を確認するが――そこには誰の姿もなかった。