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「…んー、なっかなか見つかりませんね…。」
そう言いながらも歩くのはしにがみで、俺───ぺいんともその言葉に同調した。
今はクロノアさんの家から出てアジトに向かっているところなのだが…どうにもご飯をたらふく食べたせいか眠くて眠くて仕方がない。…てか、マジで料理うまかったなあの人!!普通に美味すぎて倒れそうだったな。
そんな眠そうな俺だが、それはしにがみも同様。しにがみも盛大なあくびをしながら眠そうな顔をしていた。
「な、1番有力だったんだろ?今の家。」
「そうですねぇ…。」
今、俺たちはある依頼人によって、”人探し”をしている。もう数年くらいかな…毎年冬の時期になると必ずこの”人探し”をしている。ちなみにお金は結構大金で…えへへぇ。って!違う違う!!まずは作戦がうまくいくかなんてわかんないんだから!!
「…まっ、期限は無期限だからさ。見つかったらすぐに悪事を暴いてやろうぜ!!」
「……ですね!!」
俺たちは”その人”を見つけることができたら、見事に悪事を暴けるし…金目のものも!!また、みんなで遊べる日が来るんだ。
「……トラゾーにいい手土産できたな!!」
俺が一言、手に持っているご飯を見せつけるようにいうと、しにがみはあまりいいような反応をしなかった。どうしたんだと思いながらも顔を覗き込んだ瞬間、こちらを振り向いた。
「ぺいんとさんっ!!」
「どわっ?!何だよ?!(笑)」
あまりにも俺がびっくりしすぎて面白かったのか、しにがみは 「あぁすみません(笑)」と嘲笑するかのような笑みを見せた。…こいつ、許さん。
「あの…提案なんですけど。」
珍しく真剣な顔で言うしにがみに、俺は少し肩の力を入れてしまった。そんな俺たちは裏路地で立ち止まって、汚れた服で向かい合う。
「───クロノアさんのところ、当分の間ご飯もらいに行きませんか?」
「………は?」
あまりにも唐突な提案に、俺は頭がパンクする。それはそうだろう。今までの人探しではなかった新しいパターンだ。…いやまぁ確かに、一回の調査で辞めるってことはしなかったけど…。
今みたいな案は、その人を困らせてしまうから今までやめていたのだが、しにがみは何かがひっかかったのかそう言った。
………でも。
「───お前それ美味い飯食いたいだけじゃね?」
「えっ?!?!いやっ、いやいやいや…(汗)」
急に焦った顔つきになるしにがみに、俺は圧をかけると目線を逸らす。…こいつ、完全にやってんな。いや、そりゃクロノアさんのご飯は美味しかったよ?…それに、1番有力だった家だったんだ。疑いたくもなる。
「……まぁ、トラゾーと話し合って決めようぜ!」
今この場で、急いで決めつけなければならないわけではない。
「「ゆっくり、慎重に…焦らず楽しく。」」
俺たちの合言葉を、2人で同時にしゃべる。これはみんなが焦った時の合言葉で、気持ちを落ち着かせる時によくみんなで深呼吸をしながら言っている。
こうするだけでも、案外すっと元通りの仲になったりする。
「…ですね!帰ったらトラゾーさんどんな顔するのかなぁ。」
「いやあいつ変なところで反応薄いところあるからなぁ。」
トラゾーの話をしたり、これからの話をしたりしてたくさん盛り上がりながら帰った。やっぱ、俺たちってこうじゃなきゃね。