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――お昼休み――
「はぁー…疲れた。」
大きなため息と共に、自分で作ったサンドイッチに一口かぶりついた。
私がいるところは、従業員駐車場。私はいつも、休憩をここで過ごす。
といっても、自分の車を持っていない私は、固いコンクリートで造られた縁石の上に浅く座り込んで昼休みを過ごしている。
それでも、うるさいパートさんと休憩室で一緒になるよりはマシだった。
この、狭い空間の中で過ごす一時間だけが、唯一本当の自分になれる。
そんなに面倒なら、余計な気を遣わなければいい、と言われるかもしれない。
それは出来ない。だって私は、人に嫌われることを何よりも恐れているから。
本当の私は、仕事をだるいと思うし、ひねくれている。そんな私を知られたら、嫌われるのは分かっているから。だから、みんなの理想のいい子を演じている。
だから、常に笑顔を絶やさず、みんなが喜ぶことをやろうとする。
いつの間にか、それが癖になってしまい、人の気持ちに敏感になったのだ。
どれが本心なのかも分からなくなった。
嫌われたくない、だけど本当の私を見てほしい…なんて、矛盾してるのは分かってる。
――ピコン――
その時、私の携帯が音をたてて光る。
私はその音の主が誰なのか予想していたので、大して驚きもしないで緩く画面に触れる。