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魔法剣士学園最強は誰かと問われれば、一昨年まではベアトリクスあった。 しかし彼女が卒業すると、魔法剣士学園に王者不在の時代が訪れる。 

 誰もがそう思った。 

 しかし、王者は忽然と現れた。 


 誰もが想像しない形で、誰もが想像しない人物が、絶対王者として魔法剣士学園の頂点に君臨した。 


 彼女の名はアドマイヤ・ミケランジェロ。

 芸術の国ミケランジェロからの留学生であり、王ミケランジェロ・オベリスクの娘である。 美しい金髪の長い髪を持っているという特徴を持っている。


 ミケランジェロ王国は、光帝国とも王国とも同盟を結んだ国家であり、彼女の留学は予定されていたものだったが、芸術の国のお姫様がまさか王国の魔法剣士学園の絶対王者となり得るとは誰も想像すらしなかった。 



 そして、ライナー・ホワイトの選抜大会の一回戦が、そのアドマイヤ・ミケランジェロだった。


「世界を救うために、力を隠す必要と、その戦いを見せる使命が俺にはある」


 そう呟き、ライナー・ホワイトは大観衆の中で剣を抜く。  

 視線の先にはアドマイヤ・ミケランジェロ王女。 

 蜂蜜色の髪を優雅に巻いて、ファッショナブルな戦闘服を着て、細めの剣を構えている。 顔立ちは柔らかく、スタイルも一級品でおしゃれな服装を完全に着こなしている。


「美しい」


 芸術の国出身は伊達ではない。

 さらに彼女、留学生で二年生という立場でありながら生徒会長も務めている。 

 その美貌と、実力と、人望で、会場の声援はアドマイヤに集中している。誰一人ライナー・ホワイトの名前の呼んでない。 


 カタカタと、ライナーの剣が震える。 

 かつて、これほど緊張した戦いがあっただろうか。 

 勝利、殺害、塵も残さず蒸発させる。そんな簡単な結末は求められていないのだ。 ライナー・ホワイトに求められるのは、誰も疑問抱かない敗北である。 


 疑問すら抱かない負け方。

 半端な戦いは却って、『何故、戦えていたんだ?』と疑問が生まれ、圧倒的な敗北は『強いといってもそこまでの力量差はないだろう』と首をひねる。

 勝利はもってのほか。


『アドマイヤ・ミケランジェロ対ライナー・ホワイト』 


 審判が僕らの名を読み上げる。 

 アドマイヤの蜂蜜色の瞳と、ライナーの瞳が火を散らす。 


『試合開始!!』 


 開始と同時に、ローズの細剣が宙を踊る。 それは芸術的とまで思わせる美しい鋭い軌道を描きながらライナー・ホワイトの胸に迫る。 

 ただの人間ではとても反応できない一撃。 

 しかし見える。 

 見えるので、少しだけ遅れて反応する。

 少しだけ強いという評価を周囲からは得ている。ならば反応はできるが、遅い、というのが一番自然な流れだった。


「ぐっ!」


 ライナー・ホワイトの胸に細剣が触れる。その瞬間に剣を叩き上げて、弾く。試合用に刃は潰してあるが、物理法則のみならば彼にダメージを与える。更に魔力が混じるならば尚更だ。

 細剣が胸から肩まで線を引いて、剣先が体から逸れる。


「喰らえッ! 光をッ!!」


 その瞬間、ライナーは動いた。 

 一切のモーションを見せず、足の指の力だけで後ろに飛び、左手をアドマイヤの顔面に見せる。魔法剣士が常時展開する防御結界その使用者の魔力エネルギー量による。

 計算上ではアドマイヤはライナーの攻撃を避けるまでも無かった。魔力や物理の攻撃ならば防御結果がオートで弾き飛ばしてくれる。


「くあっ!?」 


 赤い光が人の視界をジャックする。しかも色が強烈な赤だ。どうやってもその色に視界が染まる。フラッシュバンと違い、視界封じではない。視界を一定時間、赤色のみにするのが重要なのだ。


「ブラッドクロス・アッセンブルッッ! レッドブラスター インパクトッッ!!」


 ライナー・ホワイトはナイフで腕を切り裂き、その血を凝固させて赤い鎧を纏う。更に血液をブーストエネルギーとした高速移動で魔力の籠もった一撃を放つ。

 視界が赤く染まるアドマイヤ・ミケランジェロは攻撃を一瞬だけ見失う。しかし寸前のところで攻撃を避けると、その美しい足で顔面を蹴り飛ばす。

 大歓声が闘技場を揺らした。


「ぐがぅ!!?」


 蹴り飛ばされたライナーは、血を吐きながらも立ち上がる。


(なぜ、立ち上がれるの)


 アドマイヤ・ミケランジェロは何度倒しても立ち上がるその少年に戦慄した。 

 彼は血塗れで剣を構えることすら覚束ない様だ。 

 とても戦える状態ではない、いや立っていることが奇跡なのだ。 ミケランジェロの剣は細いが、決して軽くはない。刃は潰してあるが、そこに込められた魔力は本物だ。足も、それが大理石さえ切れる兇器となっている、

 

 まともに当たれば一撃で戦闘不能に追い込むことができる。 

 しかし。 

 この少年はいったい何度その身に剣を受けたのだろうか。 

 一度や二度ではない。 

 十度を超える数の斬撃をその身に浴び、それでも尚不屈の闘志で立ち上がった。 

 なぜ、そうまでして立ち上がるのだ。 

 肉体は限界を超えているはずなのに、彼の眼はまるで死んでいない。 まだ、やるべきことがあると、その熱い瞳が語っているのだ。 

 そう、彼の精神は肉体を超越している。 

 限界を超えた肉体を、その精神が支えているのだ。 


「レッドブラスター、セカンドエンジン始動ッ! 俺の血で回転せよ、パワーとスピードをこの体に!!」


 その姿にミケランジェロは感動を覚えた。 

 いったい、どれほどの思いを込めて彼はこの試合に臨んだのだろう。 

 彼には絶対に負けられない理由があるのだ。

 彼とミケランジェロとの実力差は計り知れない。彼が勝つ可能性は万に一つもないのだ。 

 にもかかわらず、彼は全く諦めていない。 

 その熱い瞳が、ミケランジェロを睨みつける。 

 まだ、終わりじゃない。 

 こんなところでは終われない。 

 不屈の精神で肉体の限界を超越し、絶対に勝てない相手に挑むその勇姿に、ミケランジェロはただ感動した。 

 そして、ライナー・ホワイトという少年を心から尊敬し、深く謝罪した。 

 ミケランジェロはこの少年を容易く勝てる相手だと侮っていた。 確かに、単純な剣の戦いでは勝負にならないかもしれない。 

 しかし、心の勝負ではミケランジェロの完敗だった。 


「次で終わりです。その血に沈め」 


 だからこそミケランジェロは、手早く終わらせることを選んだ。 このまま続ければ、彼は死ぬまで立ち上がるだろう。 

 彼を……この未来ある少年を殺したくはなかった。 

 闘技場の歓声はいつしか止んでいた。 




 少年の姿に全員な引いていた。

 アドマイヤ・ミケランジェロの細剣にこの日最大の魔力がこもった。 

 大気が震え、観客が騒めく。 

 しかし、それでも。 


「ブラスターエンジン、最大出力ッ!! 我が血を撃ち放て、この心血を!!」

「やはり、あなたは諦めないのですね」 


 ライナー・ミケランジェロの眼は熱く熱く輝いていた。 

 この一撃に対する恐れは微塵もなく、ただ無限の闘志がそこに秘められていた。 

 ならば、全力で放つのみ。 

 ローズの剣が唸りを上げる、その瞬間。 

 二人の間に割って入る存在があった。


「ライナー・ホワイト……ホワイトと名乗りアンダー・ジャスティスのリーダーとしてテロ行為をしたその罪が今認められ、王命により聖罰を下す。逃げても構わないぞ、アンダー・ジャスティスは世界の敵であり、君がそのリーダーである事が確認された。逃げ場はない」

「え、えっと、なんのことだが?」

「そ、そうです! 彼がテロリスト!? ただの学生ですよ!?」


 ライナー・ホワイトはとぼけ、アドマイヤ・ミケランジェロは庇う。しかしそれを無視して、白い制服を纏った星十字騎士団の部隊が出現してライナー・ホワイトを取り囲む。


「イーバーン。フルネームが知りたいか? アズキエロ・イーバーンだ」

「いや、聞いてないけど」

「不当な裁きです! 彼に弁護の機会を!」

「おい、女を連れて行け」


 ミケランジェロは殲滅者に両腕を拘束されて、連れて行かれる。

 イーバーンは殲滅十字砲を取り出して、ライナー・ホワイトに向ける。


「さぁ、広域指名手配テロ組織アンダー・ジャスティス。そのリーダーである貴様にはこの私自らが手を下してやろう」


 片手に持つのはメダリオン。

 それによってライナー・ホワイトは全身から魔力を奪われ、吸収されてしまう。


「さぁ、お前の人生が終わる時だ」

異世界侵略部隊隊長キルゲ・シュタインビルトの華麗なる活躍

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