テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
17
はおと
1,390
いえ
254
ゆめいろ☆@画力ほしい!!!!
11,656
「ふぁ…」
冷える冬の朝。
霊夢はまだ暗い空を仰いだ。
「今日も寒いわね、ったく」
立てかけてある箒を手に取って、ほとんど何も落ちてない境内を形だけ掃除する。
鼻をさすような冷たい空気に身をすくめた。
「うーん…もういいか。どうせ誰も来ないし」
箒をもとの場所に立てかける。
「まーだ影響残ってるじゃない、バカ妖精め…後で文句言いに行かなくちゃ」
鳥居についた氷の塊。
境内に降り積もる雪。
霊夢は一旦神社に戻ってお茶を入れる。
ちゃぶ台の向かいに空の湯呑を置いた。
「ふー…そろそろ行こうかしら」
霊夢は半纏を着込んで靴を履く。
凍った路面はそれなりに滑った。
いつもは賑やかな村は、静まり返っている。
「…朝早いしね」
いつも通りの平淡な声が、妙に村に響いた。
「…あれ、霊夢じゃん」
凍てつくような寒さの中、バカ妖精ことチルノが、心底驚いたみたいに目を見開いた。
「何よ。そんなに珍しい?」
「珍しくはない…けど…」
「ていうか。今日の寒さ、あんたのせいでしょ」
「てへ、久しぶりに全部使うつもりで出した反動で…」
「自分の能力くらい自力で制御しなさいよね」
「してるってばぁ」
「どこが?村一つ滅ぼしておいて、一体どこが制御してるの??」
「いや…だってさぁ」
「…言い訳?」
「お仕置きだけは勘弁して」
チルノは霊夢のげんこつを神回避する。
「あたい、魔理沙なんていらないよ」
「…うるさいわ」
霊夢の繰り出した、火力高めの二発目がクリーンヒットした。
村には誰もいない。
屋根を突き抜けた大きな氷の塊。
がっつり凍結した道。
人っ子一人いない空き地。
一層凍結が激しいそこには、かすかな血痕と魔力の残穢が残っていた。
魔法を行使したわけじゃないのは見てはっきりと取れる。
無造作に落ちている刃物。
ここで対象の動きを封じる何らかの儀式が行われた証の、かすれた魔法陣の跡。
明らかな殺意が、そこにはあった。
「あたい、贄なんていらなかったのになぁ」
一人になったチルノはつぶやく。
「…あたいが村にいたずらしたから魔理沙は殺されたのかな?」
つい3日前まで活気に溢れていた村は、見る影もない。
チルノの気まぐれないたずらに困っていた村人は、立ち上がった。
『妖精には贄を捧げると守護してくれるようになるらしい。』
『魔力の高い人間であるほどいい。』
誰が書いたかさえも曖昧な、その古い文献は、死傷者なんて一人もでていない村でも信仰されるらしい。
妖精について多少なりとも知識を持つ人間は知っている。
そんな事実はない、と。
チルノが自分の住処に踏み入れて来た人間を認識する頃には、すべてが手遅れだった。
コメント
4件
表現の仕方とかやっぱり好き🫶