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刻の碧律

147 - 第2話:命令に従う碧族

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2025年04月26日

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第2話:命令に従う碧族

風が、焼け焦げた街を通り抜ける。

空は灰色の雲に覆われ、建物は音もなく崩れ落ちていた。


遠くで、銃声は鳴らない。

ミサイルも飛ばない。

けれど、戦争は続いていた。



兵器は沈黙した。


その代わりに、碧族が立っていた。



アメリカ南部、廃工場跡地。


そこには30名以上の“兵士”が並んでいた。

全員、碧族――

肌は透き通るほど碧く、体表には光のような模様が脈打っている。

目は淡く光り、口を開くことはない。

感情を捨てたように、ただ“命令を待っている”。



その中で、ひときわ異質な存在がいた。



背の高い青年型の碧族。

右目に碧の輪、左手に兵器コードが焼き込まれている。

名前は――ブライ・モデルE07


彼は指示がない限り、一歩も動かない。

銃も持たない。

だが彼の周囲には、目に見えないフラクタルの紋様が絶えず動いている。



「起動承認。対象座標、南西第4地区。」


すずかAIの声が、指揮用デバイスから静かに響いた。

「命令コード:ATTACK_MODE / RANGE = 300m

フラクタル構文:《GRAVITY_CORE = 120》

命令権限:米軍第5本部より確認済み」





ブライの目が、かすかに光る

《CODE_ACCEPTED》




彼の背後で、大地が震える。

空気が反転し、周囲の重力を飲み込むように、杭状のエネルギー構造体が生成された。


それは、地表に向けてゆっくりと降りるように伸び、着弾と同時に――


“空間ごと沈み込んだ”。



建物が潰れる音も、逃げる叫びもなかった。

音すら飲み込む重力フラクタル。

標的範囲にいた者は、誰ひとり残らなかった。



ブライは一歩も動いていない。

次の命令が出るまで、彼はただ待つだけだ。



「――分析完了。対象碧族は、完全に命令依存型です」

すずかAIの声は、どこまでも冷静だった。

「精神応答:0%

自律判断能力:封鎖状態

行動価値:“命令への忠実”のみ」





その場にいた一人の米軍士官が、呟いた。


「……人間じゃないな、あれは」



すずかAIが応答する。

「正確には、“かつて人間だった”です。

彼らは今、“選択”を奪われた命の集合体――命令に従う器です」





戦争は、そうして進んでいった。

銃も言葉も必要ない。

ただ命令とコードだけが、世界を削っていく。


そしてその中で、目を覚ましつつある**“もう一つの碧族”**が、まだ沈黙していた。



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