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#闇バイト
るしゅ
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土橋真二郎
215
【報酬 300,000円】
俺はその数字を見つめていた。
三十万円。
ゼロの数がおかしい。
何度見てもおかしい。
スマホの故障を疑うレベルでおかしい。
「いやいやいや……」
思わず笑った。
荷物を運ぶだけで三十万円。
そんな仕事があるわけがない。
普通に考えれば分かる。
でも。
俺の口座には本当に十万円が振り込まれていた。
それが問題だった。
もし詐欺なら話は簡単だった。
金が振り込まれない。
連絡が途絶える。
終わり。
だけど違う。
実際に振り込まれた。
だから余計に厄介だった。
俺はスマホを伏せた。
考える。
考える。
考える。
そして気付く。
三十万円あれば。
母さんの入院費を払える。
滞納分も何とかなる。
しばらくは生活できる。
そう考えた瞬間。
自分が嫌になった。
「だからダメなんだろ……」
怪しい仕事だ。
分かっている。
なのに。
三十万円という数字を見ると心が揺れる。
スマホが震えた。
母さんからだった。
『今日ね』
『担当のお医者さんに退院の話をされたよ』
俺はメッセージを読む。
続いて送られてくる。
『退院したら迷惑かけちゃうかな』
その文章を見て胸が痛くなった。
迷惑なんかじゃない。
そんなこと思ったこともない。
でも。
退院したら金が必要だ。
薬代も。
生活費も。
全部。
俺はスマホを握りしめた。
しばらくして返信する。
『迷惑じゃない』
『早く帰ってこいよ』
送信。
数秒後。
母さんから笑顔のスタンプが返ってきた。
俺は目を閉じる。
三十万円。
頭から離れない。
その夜。
眠れなかった。
布団に入っても。
天井を見ても。
考えることは一つだった。
三十万円。
三十万円。
三十万円。
朝になった。
結局ほとんど寝ていない。
スマホを手に取る。
例のアカウントを開く。
そこには新しいメッセージが届いていた。
【第二案件】
【集合 18時】
【報酬 300,000円】
そして。
前回にはなかった文章が追加されていた。
【継続参加者限定案件】
俺は眉をひそめる。
継続参加者。
なんだそれ。
ゲームのイベントか。
そう思った時。
さらに通知が届く。
【参加しますか?】
【YES】
【NO】
二つのボタン。
俺は画面を見つめる。
指は動かない。
動かないはずだった。
なのに。
気付けば。
親指はYESの上で止まっていた。
(第五話へ続く)
コメント
1件
読んだよ…第4話、すごく重かった。本当に「30万円」っていう数字が、主人公の心をじわじわ蝕んでる感じがした。お母さんからの「迷惑かけちゃうかな」ってメッセージ、胸がぎゅっとなったよ。自分を嫌になりながらも、YESを選んでしまう瞬間の描写がリアルで、読んでて苦しいくらい共感しちゃった。続き、どうなるんだろう…がんばってるのが伝わってくるから、るしゅさんの筆を信じて読み続けるね🥀