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そして迎えた本選当日。
結局”あのカード”は2位になった人が持ち、他の者は所持者がその結果不都合が生じた場合に手助けする、位の事しか決まらなかった。
試合のブックは作らずに、流れで決まるだろう、程度に。
まぁ、ガチで詰めても八百長疑惑が出るだろうし。
試合の組み合わせは公開されなかったので、誰と当たっても良い様にイメトレと、モンスター達と戦術を検討したり、露理葉さんと当たった時の為に、男女平等真拳の心構えを身に着けようと……出来なかったり。
うん。無理。
女性の顔にメイスを叩きつけるとかネットタトゥー不可避ですわ。
DVってレベルじゃねーぞ。
彼女と当たった時は召喚モンスターを全滅させてサレンダー狙いで。
降参、してくれるかなぁ……
いざという時は、バルク先生に押し倒してもら……うん、契約解除喰らうかな?
ウチの剛武にもあんまりやらせたくないなぁ。ゴブスレさんが世に産声を上げてしまう……
まず(社会的に)死ぬのは俺だけどな!
取り留めもなく下らない事を考えながら歩いていると会場が見えてきた。
控室入りする前に何となく会場周辺をぶらついてみる。
出店の屋台を適当に冷やかしていると、タコ焼きの屋台のオッサンに
「おう、兄ちゃん。ひょっとして小野麗尾君じゃないかい?」
「すみません、失礼ですがどちら様でしょうか?」
「おお、そう言えばちゃんと挨拶した事はなかったかな。私は白須等町町内会長の土居仲 盛男(どいなか もりお)だ。
君の家の事は度々耳にしていたものでね。つい知り合いの様に思ってしまっていたんだ。
今日は大会に参加するんだろう?良かったらこのタコ焼きを差し入れに持って行ってくれ。」
そう言って6パック程袋に詰めて渡してくる。
「いえ、無料でこんなに頂いては悪いですよ。」
「なに、気にする事はないよ、無いんだが……どうしても気になると言うんなら……してくれても良いんだよ?そう、宣伝を……」
戦闘中に宣伝しろと?このオヤジ、たかがタコ焼き6パックで無茶を言う……
「オッチャン、町内会の屋台って後ドレがあるの?」
「ん?ああ、ここのタコ焼きの他には…… あっちのお好み焼きとイカ焼き、焼きそばもそうだね」
「おけ。じゃあそれらも5セットで手を打つよ」
「言い出したのはこっちだけど出来るのかい?」
普段の戦い方なら無理だけど今日の戦術なら……
「できらぁ!!!」
断言できる。
「おお、言い切ったね。そりゃ頼もしい。うん、宣伝効果が確認出来たら追加でお礼をさせて貰うよ」
微妙な言い回しだ。だがまぁ、ここで詳細の追求をしても大した利益も得られないだろうし……
「ありがとうございます。お礼、楽しみにしておきます」
エインセルと言うジョーカーがあるし、勝ち確の勝負である。
さて、いい感じに時間も潰せたし、そろそろ待合室に行くか。
「オッチャン、ゴチになりま~す!宣伝の方は乞うご期待って事で!」
「おう、期待させて貰うよ~」
「あ、オッチャン。用意できるならビールも用意しといた方が良いかも。多分売れるよ」
「守君、まさか君、試合中に……」
「いやいやまさか!僕は飲みませんよ!”僕”は……」
「そうかい、ならいいんだけど……」
未成年の飲酒はダメ、絶対。
控室に入ると、既に3人は来ていたし、装備類も着ていた。
「おはようございまーす」
「おぅ、おはよう」
「おはようございます」
「おっはよ~う!今日は当たってもお手柔らかにね♪」
更衣室に移動して手早く着替える。戻ってくると、
「おっ、やっぱガチガチに固めて来てるな」
「いやー、動画で何度も見ましたが実際見てもすごいですね、ソレ」
はぁ、やっぱ俺もそうしたように研究と対策位されるよなぁ……
だが、引かぬ!媚びぬ!省みぬ!そしてこいつらになんか…絶対に負けない!!!
俺はこの試練を乗り越えて……彼女を作るんだ……!!!
「おい、何か凄い目で睨んできてるが…その手に持った旨そうな食い物は何だ?」
「ひょっとして差し入れ?小野麗尾君ありがと~」
おい、三人揃って近づいてくんな。分けないとまでは言わんが個数制限とノルマはあるからな!
そして本選の組み合わせ発表の時間が来た。
”ガガッ ピー…… 皆様大変お待たせしております。本日は○×県冒険者支援イベントにお集まりいただき誠にありがとうございます。それでは時間になりましたので、本日の本選の組み合わせを発(↑)表(↓)致します!
第一戦、11時よりサマナー、小野麗尾 守 対 同じくサマナー、露理葉 青葉!
第二戦、14時よりファイター、十文字 隼人 対 プリースト、神橋 弾!”
ファ〇ク!よりにもよって露理葉さんだと!?いきなり秘策使わなきゃいけない事態じゃねーか!
くそっ、1回戦で男のどっちかを生贄に捧げて残りを決勝戦でサレンダーをさせる必勝の策(笑)から、秘策を駆使して高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応せざるを得なくなるとか、これだから現実ってヤツは……!?
「あ~、ひょっとしてと思ってたけど本当に当たっちゃったか~
ま、当たったなら仕方ないや。よろしくね!」
「お手柔らかに、とはいきませんが、こちらこそ」
いきなり切り札を切らなくてはいけなくなるアクシデントが発生したが、どうしたもんかね……