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「私はあなたの担当医の者です」
…医者?私の?
「…信じておられないようですね。ですが、記憶が戻れば自ずとわかるはずです」
「記憶…?」
はたと気づいた。
言われるまで気づかないのも無理はない。人は自分の名前など考えずとも普通に生活はできるのだから。
起きた時「自分の名前は〜。」と思い出してから活動し始める人などいないだろう。
あの部屋に鏡はなかった。自分の顔…。
ー見たら記憶が戻るだろうか…
辺りを見回す。
しかし、顔を映せそうなものはない。
そうこうしていたところでもう一つ気がついた。
「お前が医者ならここは病院のはずだ。さっきの人たちは誰だ。服装からして患者だろう?」
警戒しながら、目の前の担当医を名乗る人物にそろりと問うた。
「ほう、なんのことですかな。」
担当医は目を細める。
…ッ、
今…急に背筋が凍るような感覚がした。