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第44話 アヤメの過去3/4
前回までのあらすじ
「固有力」とやらを手に入れた。以上。
※ここから下(以下略)
「…ウッ」
ここは…どこだ?見知らぬ天井だ。私は今ベッドで寝ているのかな?
「佐々木。計画はどうだ?」
「順調っす。黒野さん」
「よし。このまま行けば…私達だけの世界…。『日常』に到達する」
薄暗い部屋の中で、唯一の明かりがある。上の方のガラスの向こうで誰かが話している。白衣を着た科学者かな?
「黒野さん。やっぱり名前変えません?なんかダサいっすよ」
「うるさい〜!俺はこれがいいと思ったんだもん!(´;ω;`)」
「チョッ泣かないでくださいっす。悪かったっすから」
私とお母さんの会話みたいなことしてるな…。
ユラァ…
「あ、美涼が起き上がったっすよ」
「ぐすん…わかった。ゴホン。あ、マイクつけるの忘れてた」
「いや、黒野さん。これついてるっすよ」
「えぇ!?さっきの会話、全部聞こえてた!?」
「そうみたいっすね」
そして、黒野とやらが膝から崩れ落ち、なんか叫んでいる。スピーカーから出た音が部屋に反響して耳に届く。非常にうるさい。
「ふぅ。よし。黒野。お前はできる。偉い子だ。小学校の成績でも『黒野くんはとても偉い子です』って書かれてたじゃあないか」
「いや、なんで覚えてるんすか」
部屋の辺りを見回してみたが、壁と床、上の方にガラス。そして、私が寝ていたであろうベッドしかなかった。大きさはあまり大きくない。横幅はバスを前から見た時くらいで、縦も同じだ。高さは…暗くて分からない。
「よし。美涼よ。『固有力』が出たのは君たち、『清水』と『中井』、『芹沢』。そして『星野』だった」
「そんなことはいい。お母さんを何処へやった?」
周りを見回してお母さんらしき人影は無かった。つまり、こいつらに場所を聞かないといけないと言うわけだ。
「あぁ。君の母親か。あの人ならもう死んだよ」
…は?
「あの人は『固有力』を6つ持っていて、『固有力』は『主人を生かそうとする力』があるんすよ。それによっていくら攻撃しても再生する、言わばゾンビみたいな存在になったんすよ」
「普通の人は1つだから致死量の攻撃を食らったら流石に生きてられないのに、あの人は生きてたんだよ!実験のしがいがあったねぇ…」
何を言ってんだ?こいつら。
「だから色々な殺り方を試して、『固有力』の実験になると思ってたのに…直ぐに心を病んでしまって使い物にならなくなったんだよね」
「そこで、『固有力』を引きずり出して、君に植え込んだっす。それで、ようやくあの人は死んだっすけどね」
お母さんが死んだ?こいつらの所為で?
「…サネェ」
「黒野さん。なんか言ってるっすよ?」
「許さねぇって言ったんだよ!このアホども!」
「おやおや。突然キレるとは…気分の浮き沈みが激しいね」
こいつらだけは許さない!私のお母さんを殺しやがって!
「僕達は君に危害を加えようとは思ってないっすよ?これから解放するんすから」
「そうそう。もう『固有力』の大体のことはわかったからね。君は外に出ていいよ」
パチンッ! ウィーーーン!
「そこの扉を出れば外だよ。いやはや。研究に付き合ってくれてありがとうね」
ギロッ
スタスタ…