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りんご
驚きで目を見開き、私は思わず彼の顔を見つめた。
冬橋「なんであの時、あの店を見て佇んでいた?」
…不意に投げかけられたその問いが、静かに胸に落ちる。
私はゆっくりと視線を正面へ戻し、わずかに目を細めた。
『…別に、なにも』
そして、短く答える。
……″これ以上,, 踏み込ませないように、言葉は必要最小限に抑えた。
冬橋はほんの一瞬だけ間を置き、
やがて小さく頷く。
冬橋「……そうか。」
…それ以上は何も聞かず、ただその一言だけを残して、静かに言葉を引いた。
ーーその直後。
霧矢が一香さんと儀堂さんを後ろに連れて姿を現した。
一香さんは上着を脱ぎ黒服へ手渡す
そのままの流れで手荷物の確認へと移る。
それは既に幾度となく繰り返してきた習慣の一部だった。
一香さんは迷いもなく、 当たり前のようにバッグを差し出してくる。
私はそれを受け取り、慣れた手つきで中身を一つひとつ確認していく。
視線と指先で異物の有無を確かめ、
危険なものや不審な点がないことを丁寧に見極める。
問題がないと判断すると、バッグを軽く閉じ、何事もなかったかのように一香さんへと返した。
冬橋は、隣に立つ儀堂さんの身体検査を行っている。
…互いに問題がなかったことを確認すると、
冬橋は背後の大きな扉へ振り返り、慣れた手つきで淡々と暗証番号を入力した。
ロックが解除されると、一香さんと儀堂さんが先頭を切って歩き出す。
私たちは少し遅れて、静かに後をついていった。
室内に足を踏み入れると、
長いテーブルの前には数人の幹部達が腰を下ろしているのが目に入った。
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