ホラー書くの楽しい!!楽しいなぁ!!!
霧が出てきて肌寒くなった。先程まで感じていた生暖かい風も、騒々しい蝉の声も、もうここには存在しない。それに歩いてる道もだんだん坂になってきた。本来の三ツ目の散歩道ぐらいの坂道。でも、やっぱりここはもう私の知る世界ではないんだなと思った。よく見ると両隣には椿が咲いていた。ありえないことにはなるが、椿が咲いている散歩道は美しいと思った。 でも、それを簡単に受け入れるような私じゃない。だって、変化はそれだけじゃないから。
「……道が狭くなってる。」
散歩道は最低でも、私の肩幅五つ分ぐらいの広さが保たれてる。でも、今はせいぜい二つ分。ギリギリ横の空間が保たれてる状態。随分と分かりやすい変化だ。真横に今あるのは石垣。石垣に挟まれながら、こんな狭い道を進むなんて初めての体験だ。どうして祖母に会うために、こんなことされなきゃならないんだろう。苛つきで軽く唇を噛んでしまった。
ぼとっと、目の前に椿が落ちた。
ぼとぼとぼとぼと。大量に落ちてくる。目の前のほとんどが、落ちてくる椿の赤に埋め尽くされた瞬間に、頭の中に記憶が降ってきた。私の記憶じゃない。
見知らぬ記憶。
この記憶、誰のもの?
少年はかつて盤上町で、農家を営んでいた家庭に生まれた。作る作物は少なかったものの質はよく、町の人にはよく売れた。幼い頃から少年は農業を学び、手伝いながら生きてきた。決して楽とは言えずとも、楽しい日々を過ごした。両親と、趣味と、友達と、愛。それに囲まれた生活は
すぐに終わりを迎えた。
親友の1人が風土病でなくなった。治せない病気じゃなかった。でも親友一家には金が足りなかったのだ。もちろん少年は情けをかけた。だが拒否された。『たかだか農家の息子ごときが、あの子の中に存在するな』。そう言われた。
少年の不幸はそれだけでは終わらない。その年の農作物が類を見ないほどの不作だったのだ。両親はその事実に精神を病み、徐々に狂い、責任を少年に押し付けた。食うものは無い、何もしないのに一丁前に腹だけは空く。その事実が両親には耐えられなかったのだ。
ある日、少年は片目を父親に刺された。父親はこの世の全てを壊す覚悟で刺した。木霊する少年の悲痛な叫び声。正気を取り戻した母親が必死に止めても、父親の勢いは止まらなかった。母親が唯一の逃げ道として、散歩道に行くよう叫んだ。少年は痛みに悶えながら、正気になった母に従い、逃げ出した。散歩道と言えば、少年は噂を思い出した。死者と会える噂。少年は目から溢れ出す血で急いで一言程度しか書いていない手紙を書いた。言葉を唱え、紙を破り、とにかく走った。途中にあった変化も全て放り投げて走った。眩い光の中で、少年が言った。
強烈な頭痛がする。まだ、まだ私ぐらいの年齢の少年が、不幸に合わされる記憶。私の記憶じゃない。でも感じたのだ。確かに少年の感情を。恨み、恐怖、罪悪感、母親への安堵の気持ち。全部を私は感じとった。それに対する拒否反応で、頭が強い痛みを出している。痛い。痛い。
痛みが落ち着いてきた中で気づいた。落ちてきた椿は、お金になっていた。お金と言っても私の時代のものじゃない。少し昔のものだ。気になって拾ってみた。すると私の中にスルッと、声が落ちてきた。
『きっと君なら、会える』
記憶の中の少年の声だった。
「もちろん。会ってみせる。」
まだ、道は途中。止まってなんていられない。
右腕全体が微かに痒い。
ちなみに記憶は前回の目玉の妖の生前の記憶です。
コメント
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なんでこんな鬱なんだよ
ねぇ設定!!!! 鬱すぎるて…泣くぞ… 少年可哀想だし結果もグロいし… てかその方式で行くと 縮まった道とか全ての異変どこかの 挑戦者の結果だったりする??
少年やばすぎる