テラーノベル
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銚子と多摩雄の思い出話を聞いたさくらは、まるで自分が追体験したように笑みを浮かべる。
「なんか甘酸っぱい
青春の1ページ〜って感じ〜♬」
銚子はふっと微笑み、懐かしそうに目を細めた。
「当時のプリクラも取ってあるのよ」
その一言に、信愛は思わず身を乗り出す。
「え!?本当!?」
瞳を輝かせたまま、期待を隠せない様子で続けた。
「見てみたい」
「まだ持ってたのか?」
多摩雄も驚いたように目を丸くする。
銚子は当たり前と言わんばかりに肩をすくめた。
「そりゃそうよ、大切な思い出だもの」
そう言うと財布を開き、大切そうに一枚のプリクラを取り出す。
取り出された一枚は、30年という歳月を物語るように、すっかり色褪せていた。
鮮やかなピンク色だった縁取りは淡く霞み、写真全体も少し黄ばんでいる。
それでも、寄り添って笑う若き日の二人の表情だけは、今もあの日のままそこに残っていた。
その一枚には、時間では消すことのできない思い出が刻まれている。
「てか、お父さんイケメンですね」
プリクラを眺めながら、さくらが感心したように声を漏らす。
「いや、今もか。イケオジですもんね」
思いがけない言葉に、多摩雄は照れくさそうに笑った。
「わはは、イケオジなんて初めて言われたよ」
そのやり取りを見ながら、朝陽は信愛とプリクラの中の銚子を見比べる。
「でもやっぱり先輩と、お母さんそっくりですね」
銚子は優しく笑って頷いた。
「まあ、親子だしね」
焔垂は腕を組み、しみじみと呟く。
「なんかいいな。こういうのって
古き良きって感じがしてさ」
「ね♬」
焔垂と茜は、侘び寂びという言葉はこういう時に使うのだろうかなどと考えながら、ノスタルジーを噛み締める様にプリクラを暖かな眼差しで見つめる。
そこには、30年という年月を越えてなお色褪せない青春と、二人だけが知る幸せな時間が閉じ込められていた。
銚子はプリクラをそっと指先で撫で、遠い記憶を辿るように静かに語り始める。
「あれからも私たちは、二人でいろんな場所へ行ったわ」
窓から差し込む午後の日差しを眺めながら、懐かしそうに続けた。
「泊まりで温泉に行ったりもした」
少しだけ目を細める。
「二人でいる時だけは、本当に楽しくてね」
その言葉には、偽りのない幸福が滲んでいた。
「千里眼を使った時の副作用の辛さも忘れる事ができた」
部屋は静まり返る。
誰も口を挟まず、銚子の言葉に耳を傾けていた。
「こんな幸せな毎日が、ずっと続くんだ
未来永劫変わらない。そう信じて疑わなかった」
しかし、その笑顔は次第に影を帯びていく。
#普通
野々さくら
543
805
44
ありあ
159
「けど──」
その一言だけで、部屋の空気がゆっくりと張り詰めた。
銚子は静かに目を伏せる。
「例の騒動が起きたの」
龍河は神妙な表情で問いかける。
「千里眼騒動ですね?」
銚子はゆっくりと頷いた。
「ええ・・・」
しばらく沈黙が流れる。
やがて銚子は、重い記憶の扉を開くように口を開いた。
「その日も私は、いつも通り
番組に出演して 霊視をやってたの」
その瞬間、先ほどまで穏やかな空気に包まれていたリビングは、まるで過去へ引き込まれるように静まり返った。
コメント
1件
めっちゃ沁みる回だった…! 30年越しのプリクラ、色褪せても笑顔だけは残ってるって描写がもう胸に刺さるわ。銚子さんの「千里眼の副作用の辛さも忘れられた」って言葉に、どれだけ多摩雄さんとの時間が彼女の支えだったかが伝わってきて泣きそうになった。でも「例の騒動」の影が…ここからの展開、覚悟しとくわ🔥