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『消えた歌、響く声』

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『消えた歌、響く声』

7 - 第7話 忘れられた光

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2025年04月28日

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42歳の男は、都内の小さなアパートで目を覚ました。


カーテンの隙間から差し込む朝の光が、使い込まれたデスクを照らし、散らかったタブレットとペンタブがその光に映える。


鏡に映る彼の姿は、長年の疲労が刻み込まれたものだった。


やつれた顔に無精ひげが伸び、くすんだ目はかつての情熱を失い、薄くなった髪は乱雑に伸びている。


部屋は彼の仕事場であり、孤独なシェルターだ。


彼はフリーランスのイラストレーターとして、クライアントとのやり取りを全てオンラインで済ませ、人との関わりを極力避けて生きていた。


寝ぼけ眼でスマートフォンを手に取ると、ロック画面に見慣れないアイコンが目に飛び込んできた。


青と白の星が輝くデザイン。「StarLive」と書かれた配信アプリだ。


「…何だ、これ?」


彼は眉をひそめた。

アプリをインストールした記憶がない。仕事用のアプリ以外、スマホに余計なものは入れない主義だ。


デジタル世界でも慎重さを貫いてきた彼にとって、なぜこんな派手なアプリが?


「ウイルスか…?」


一瞬、背筋が冷えた。慌ててアプリ情報を確認するが、怪しい動きは見られない。彼は頭を振って呟いた。


「待てよ…。昨日、仕事中にネット見てた時、広告ポップアップ出てきたな。間違えてタップしたか…?」


記憶を辿ると、確かにそんな瞬間があった気がした。疲れていたせいで、無意識に「インストール」を押してしまったのだろう。


「俺も歳だな。こんなミスするなんて」


納得した彼は、アプリをアンインストールしようと指を動かしかけたが、朝の仕事の準備に追われ、そのまま放置してしまった。

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#フリーランスイラストレーター #40代独身男性の生活 #配信アプリとの出会い #孤独と創作の日々

『消えた歌、響く声』

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