遊園地での特別な一日が終わり、イレブンとセーニャは日常に戻っていた。だけど、二人の心の中には、観覧車の頂上で交わした約束と、あの一瞬が強く残っている。学校の授業や友達との時間も、どこかいつもより明るく感じられるのは、お互いに心の中にある小さな秘密のせいかもしれない。
そんなある日の放課後、二人は駅前で待ち合わせをしていた。秋の風が吹き、木々が色づき始めた季節。セーニャはほんの少し寒そうにしながらも、イレブンが来るのを楽しそうに待っていた。
「ごめんね、待たせたかな?」イレブンが駆け寄ってきて、少し息を切らしながらも微笑む。
「いいえ、大丈夫ですわ。私も今来たところですから。」セーニャは柔らかい笑顔で答えた。
「今日はどこに行こうか?また一緒に新しい場所を見つけられたらいいなって思ってたんだ。」
「そうですね…。実は、イレブンくんにどうしても見せたい場所があるんです。」
セーニャがふと少し遠くを見つめると、どこか懐かしい表情を浮かべた。イレブンはその顔に気付き、「どこだろう?」と不思議そうに問いかけた。
「実は…小さな丘の上にある、秘密の展望台なんです。」セーニャが微笑みながら言った。
イレブンの目が輝き、「行こうよ!君がそんなに特別な場所なら、きっと素敵なところなんだろうね。」と答えた。
二人は一緒に歩き、丘を目指してゆっくりと進んだ。展望台に近づくにつれ、イレブンはどこか胸が高鳴るのを感じていた。自然の音や風の冷たさが、二人の間にある温かな絆をより強く感じさせてくれる。
丘の頂上にたどり着くと、広がる景色が目の前に現れた。町全体が見渡せるその場所で、夕陽が山の向こうへと沈みかけていた。
「すごい…こんなにきれいな場所だったんだね。」イレブンは感嘆の声を漏らした。
「ここ、私が小さい頃からよく来ていたんです。何か悲しいことがあったり、嬉しいことがあったりすると、いつもここで景色を眺めていました。」
セーニャの静かな言葉が、イレブンの胸に響いた。そして、その隣に立ちながら二人はしばらく無言で夕焼けを見つめた。
やがて、イレブンはふと勇気を出してセーニャの手を握り、「セーニャ、これからもずっと君のそばにいたい。どんなときも一緒にいるって、約束できるかな?」と小さな声で尋ねた。
セーニャは驚いたようにイレブンの方を見つめ、少しだけ顔を赤くしながら頷いた。「私も…イレブンくんと一緒に、ずっといたいです。」
夕陽の中、二人の間に新たな約束が生まれた。
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