テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

💚「え?は?」


目の前で普通に喋っていた相手が、瞬きをする間に急に消えた。いつの間にか朝が訪れている。ベッド上にはまたあの人形。

……まさかね。

長く話し込んでいた相手はそこに確かに実在していたはずなのに、目の前には物言わぬ人形が一体。


💚「えっ?えええええええええええ!!!」


やっと気づいて、慌てて持ち上げてみた。

あれがこれ?

これがあれ?

そんな、漫画みたいなこと、自分の目の前で起きるまでは信じられなかった。


俺、この人形の奥さんになったんだ。

そして、恋をしたら、人形は人間になれる…?

だから、俺に恋しろと迫って来ていたのか。


💚「でも、俺の一方通行じゃ意味ないじゃん。蓮だって俺を好きでいてくれなくちゃ…」


そう言って、人形の額を小突く。

学校へ行く時間が迫っていた。今日はバイトもある。早く家に帰るのは無理そうだ。

俺は人形にキスをした。

そして簡単にパン一枚で朝食を済ませると、俺は家を出た。




帰った後は、人形を枕元に置き、人間になるのを待つ。

バイトの疲れと寝不足がたたり、ついつい寝落ちしてしまい、蓮に揺り起こされて、目が覚めた。


💚「おはよ。蓮」

🖤「朝ではないが…。おはよう、亮平」

💚「やっと意味がわかった。俺を奥さんにした話は現実なんだね」

🖤「だからそう言ってるだろ?」


蓮は優しい目で俺を見て、頭を撫でた。


💚「そして、俺と愛し合えば、人間になれるって思ってる?」

🖤「そう」

💚「どう考えても有り得ない話だと思うけど、君は本当に一時的に人間みたいになってるし」

🖤「作り物だよ。胸に耳をあててみて」

💚「うわっ…///」


そう言うと、いきなり頭を逞しい胸に押し付けられた。俺は多分、今、真っ赤になってるけど、蓮はお構いなしだ。こわごわ耳を澄ませると、確かに何も聞こえなかった。


💚「……心臓の音がしない。身体も冷たいね」

🖤「偽物の作り物。俺たちはみんなそう」

💚「人間になりたい?」

🖤「なりたいだろう、それは」

💚「そっか。俺は、何も感じない人形が羨ましく思うこともあるけどな」

🖤「そんな馬鹿な。勿体無い。せっかく神から授かった命を生まれながらに持っているのに」


蓮は心底不思議そうに俺を見た。

一貫してどこかカッコつけている蓮が間抜けな顔を晒したので思わず笑ってしまった。蓮は言う。


🖤「そんなに恵まれた肉体と、美しい顔を持っているのに、何が不満だ?」

💚「蓮に言われたくないよ///」


俺の旦那様はどこか抜けているらしい。とくん、と心臓が跳ねた。蓮が人間になればいいのに、と、この時初めて俺は思った。

loading

この作品はいかがでしたか?

160

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚