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桃side
青が生まれる前、俺には大切な宝石がいた。
もう、名前も顔も思い出せないその宝石は
桃「___っ!早くいこーぜ!」
??「そんなに急がなくたっていいでしょ笑」
俺が生まれた時から何もかもを教えてくれた。
剣の扱い方、早く走る方法、仲間の大切さ。
そして、冬の仕事。
俺が初めて冬の仕事を始めて2週間。
流氷割りをしていた時。
あの宝石の名前も顔も思い出せなくなっても、これだけは忘れない。
桃「俺こっちやる!」
??「頑張りなよ〜笑」
その時の俺は、戦うことも氷を割るのも人並みにもできなくて
自分でも気づけないうちに追い詰められてたんだと思う。
桃「もう少し、うまくできないと…ッ」
「そんなに悩むくらいなら、すり潰してあげ
ようか?」
「なおらないくらい割ってしまえばもう考え
る必要もないよ」
これが、俺が初めて聞いた流氷の声。
その言葉に耳を貸さなければ良かった。
惑わされなければ。
俺が、流氷の隙間を覗き込んでいると、
??「どうしたー?」
突然の声に驚いて、足が滑ってしまった。
桃「あッ、」
??「桃ッ!!」
___の、顔が見えた。
美しくて、最後の景色はこれでいいと思ってしまった。
はずなのに。
腕を引かれて、氷の上へ戻った。
混乱する間もなく、俺の代わりに落ちていく大切なひと。
さっきの必死な顔とは違う、穏やかな顔。
桃「___ッ!!!」
すぐに俺も飛び込んだ。
でも、既に細かく砕けた___は辺り一面をキラキラと輝かせて。
綺麗だ、と思ってしまった。
どれだけ探しても全てを集めるどころか半分も見つけることが出来なくて
その上俺は右腕を失って。
謝っても自壊しても意味なんてないのに
俺はただ自分を破壊しながら謝ることしか出来なくて。
それでもみんなは許してくれた。
俺が壊れてしまったからか、
怒るだけ無駄だと思ったからか。
それから、あの宝石の名前も顔も、どんな声だったのかも思い出せなくなって。
ただ、紫ーくんが毎日寄り添ってくれたのだけは覚えている。
ただ無心で毎日をやり過ごしていた数十年。
それが変わったのは、青が生まれた時だった。
青はあの宝石と同じ、アクアマリンだった。
同じ種類の宝石が入れ替わるようにして生まれるのは珍しいと先生も言っていた。
最初、帰ってきたのかと思った。
でも、そんな訳がなくて。
桃「お前ッ、なぁ、お前だろ、?」
青「ぅえッ?」
青「ぁ、えと、人違いじゃない、?」
青はあの宝石とは全然違った。
大人っぽくないし、落ち着いてもいない。
でも、既におかしくなっていた俺は
いつの間にか青にあの宝石の姿を重ねていた。
桃「青、氷塊には近づいちゃだめだよ」
青「なんで?僕も冬のお仕事したい!」
桃「だめ」
青「なんでよーっ!」
失うのが怖くて、青を守りすぎてしまった。
紫ーくんの助けもあって、今は青とあの宝石を別個として考えられるようになった。
それでも、青には申し訳ないことをしたと思う。
青は自覚していないだろうが
あいつは確実に俺に依存している。
本当は誰と組んでもいいようにしなきゃいけないのに。
ごめんな。
青「桃くん、?」
桃「…ん?ごめん何?聞いてなかった」
青「いや、桃くん怖い顔してるから…」
桃「あぁ、ごめんな」
頭を撫でると、心地よさそうに目を閉じる青。
青「なんかあった?」
桃「んーん、大丈夫」
きっと、まだ俺は青にあの宝石を重ねているのだろう。
いつか、忘れられるのだろうか。
桃「いや、忘れることないよな、」
青「んー?なんか言った?」
桃「んーん。青が可愛いって思って」
青「ッ!?」
青「…うるせーっ!」
桃「ははっ、ごめんごめん」
そう言って、俺はまた愛おしい水色の髪を撫でた。
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