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僕の名前は伊藤絵斗。
日坂高校2年、剣道部の一般生徒です。
…僕には好きな人がいます。
「トラゾーせんせー!w」
「学校でトラゾーって呼ぶな!」
体育教師、虎鯖雄蔵先生。
親戚で、俺が小学生の頃からの付き合いで
俺の、初恋の人。
「別にいーじゃん!あだ名だよあだ名」
「先生になんて態度とってんだよ…」
「トラゾー先生だけです〜」
「尚更ダメだろ…」
「先生つけてるだけでマシだと思ってくださーい」
面白くてノリも合うし、優しくて、かっこいい。
だから、生徒からも人気で。
「あ、悪い、俺呼ばれてんだった」
「…モテモテですねぇ?w」
「やめろ」
仕方ないと思う、こんなに素敵な人なんだから。
けど、それがちょっと、嫌だったりもして
「じゃ、絵斗、また明日な!」
「!はーい!また明日!」
…みんなに平等なんて、分かってるのに。
次の日
今日は友達と一緒に帰ってた。
「ーでさ、w」
「なにそれwww」
ふと、トラゾーが目に入る。
「…あ、とら…雄蔵先生、また明日ね」
「先生さよならー」
明日は、明日は
ひとりで会いに行こう…
トラゾーは、驚いたような顔をしていた。
「…ぺいんと」
「、へ?」
「…どうしたのせんせ、学校でそんな呼び方して」
「なんで昨日は雄蔵先生だったんだ?」
…そんな事気にしてたのか
「…別に、気分ですけど」
「…本当か?」
「ほんと、ですって。んな事どうでも良いでしょ…」
「良くない、俺は…」
「…距離が離れたような気がした」
なんだよ、それ
意味わかんない。
「距離なんて置くわけないでしょ」
「じゃあ何だったんだよ」
「…」
「…だって、トラゾーは俺だけのあだ名だもん、」
…恥ずかしいから、言いたくなかったけど
友人から、色んな人に広まったら嫌だ。
俺だけの、特等席だから
「…なんだよそれw」
トラゾーは、ふっと笑ってそう答える。
「俺の事大好きだなぁお前はw」
「…そうだよ!!!大好きだよ!悪いか!?」
ああ、言ってしまった。
「ずっと大好きだったよ、小さい時から…!!でもトラゾーは先生だから!我慢してたのに…!」
「からかってんじゃねーよ…、!」
言いながら泣いてしまう。
恥ずかしいし、これで明日からは今までみたいに話せない。
ああ、馬鹿だなぁ俺は…
「…泣くな」
「だって、もう話せないじゃん」
「は?なんでだよ」
「だってフる気でしょ、?」
トラゾーはぽかん、とした後にため息をついて、
「あのなぁ、俺の話も聞けよ」
聞きたくないんだ、今だけは…
「…俺だってぺいんとのこと好きだよ。ずっとずっとね」
「…ほんと、?」
「今嘘つかねぇよ」
笑っているけど、優しい顔をしている。
やっぱり、トラゾーはかっこいい。
「…でも付き合ったら俺捕まっちゃうから、ね?w」
「…1年お預け、?」
そーゆーこと、とトラゾーは俺の頭にぽんと手を置いた。
「子供扱いすんな、もう高校生なの」
「そんな経ったっけなぁ」
「あんたの生徒だよ!」
「…じゃあ、あと1年ちょっとの間」
「俺、全力で誘ってやるから我慢してね?先生」
「…じゃあ、俺が我慢できたら何してくれるの?」
「好きにしていーよ?」
「…その言葉、後悔すんなよ」
後悔する気は無い。
しない気がしている
「またね、せんせ!」
トラゾーに手を振って、校門の方に駆け出して行った瞬間、時間差で恥ずかしさがやって来た。
真っ赤な顔を隠しながら、駆け足で家に向かう。
…あたたかい風が背中を押していた。
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