北朝鮮×韓国♀のNL小説。
中国視点からスタートです。視点コロコロ変わります。
あれは、いつの日の事だったか。
ロシアとキューバがにゃぽん達との同盟を結んだ同時刻、中国は静かに昔の記憶を思い出していた。
「…………….大東亜、共栄圏」
かつて大日本帝国が目指した、東亜統一。
今となっては最早夢物語のトンデモ思想…だったはずだった。
だが中国にとっては、その思想が最高な理想に思えたのだ。
忌々しい欧州共の内政干渉によって、北朝鮮以外の国は中国を忌み嫌い…離れていってしまった。
ちょっと考え方が違うだけで、
拒絶された中国の本当の思いも無視して、彼らは突き進んで行った。
欧州を、自分の不運を….世界をどれだけ憎んだことか。
だがその悲劇の幕は下りることになる。
「あと少し….あと少しで、我の素晴らしき理想郷が誕生する。
勿論、お前は我と共に来てくれるアルなぁ?」
くるりと振り返って、震えながら床に鎮座する彼女に声をかけた。
「何とか言うヨロシ、我の愛しい恋人♥」
「北朝鮮、無事かな」
ぽつりと呟かれたにゃぽんの一言で、ロシアは思わず振り返った。
「……..さぁな。ただ中国相手に無傷では済まないと思うが」
「だよ、ね….」
きゅっと日帝の服の袖を掴む力が強まる。日帝は心配そうに此方を見てくるが、その視線すらも今は申し訳ない。
この騒動の黒幕は中国だが、それでも自分や北朝鮮に全くの非が無いという訳ではない。
二人で協力者をかき集め、周囲をことごとく巻き込み、その結果アメリカや中国に狙いを悟られてピンチに陥ってしまった。
自分は幸い日帝やイギリスが庇ってくれたから助かったものの、
もし彼らと会う前に敵に見つかっていたら為す術なくやられていただろう。
本当に、ただひたすらに運が良かった。
「………..」
「にゃぽんさん…」
「イギリスさん、ナチスさん、イタ王さん、お父さん…
本当にごめんなさい…..」
涙が溢れそうになってくる。
だめ、こんな所で泣いたって韓国は戻ってこないのに。本当に泣きたいのはあの子なのに…
こんな自分に、泣く権利なんて無いというのに!
目を擦って涙を堪えていると、ロシアが頭を撫でてきた。
「ろしあ……(泣)」
「泣くなよ…なんて無責任な事は言えねぇ」
目を閉じて今までのことを思い返す。
中国に頼まれて韓国の拉致を手引きしたこと。キューバをはじめとする社会主義の仲間達に声を掛けて、アジトの運営を行なったこと。
そして、北朝鮮と都道府県達と応戦したこと。
到底許されることでは無い。
でも、罪を帳消しにすることは出来なくとも、これ以上罪を重ねないことは出来る。
今の自分にやれるのはただ一つ。
「お前も俺も、他の奴らを巻き込みすぎた。」
” 後始末はやらなきゃだろ? “
そう言って笑った俺に、猫耳娘はほんの少し微笑んで。
「……………罪人同士だね。私たち」
「犯した罪のスケールは桁違いだがな」
最低同士は、打倒黒幕の下に笑いあった。
関東地方、某所:
「祖国様、祖国様」
ぼーっと煮え切らない思考が一気に四散する。
はっと目の前を見てみると、そこには椅子に座った東京都が心配そうな顔を向けていた。
「あ……東京さん」
「何やら物憂げに見えますが、大丈夫ですか?」
怪訝そうにこちらを見てくる関東各地の化身たちに、日本は慌てて頭を下げる。
───いけない、会議の途中なのに考え事なんて。
どうやら妹との喧嘩のダメージは、自分が思った以上に堪えていたらしい。
しかしそんな事を東京達に愚痴る訳にもいかず、大丈夫とだけ返し、改めて気持ちを切り変えることにする。
「では経済についての話の続きを……と、その前に。」
手に持っているタブレットから目を離し、東京はポカンと空いた一席を睨む。本来来るべき化身が一名無断欠席しているのだ。
「全く、大事な会議だと言うのに埼玉は一体何をしているんだか……
神奈川。埼玉への連絡は?」
「はいはーい。10回は掛けたのに全っ然出てくれないんだよね。
マジあいつなんなん?北関東組はどーよ」
神奈川に話を振られた北関東の三県は、全員首を横に振った。どうやら全員の電話をフル無視している様だ。
規律に厳しい東京の額には青筋が浮かび、神奈川は段々口調が荒っぽくなってきた。
しかしこの場で唯一、日本は埼玉の欠席理由は分かっていた。
「…………あの。皆さん」
日本が言いかけたその時だった。
バァン!!!!!!!
会議室の扉が勢いよく開け放たれたと同時に、東京の部下である品川区が血相を変えて飛び込んできた。
「祖国様!!大変です!!!」
「品川!?」
東京の驚いたような声も無視して、品川は日本のそばに駆け寄ってタブレットを見せてきた。
「一大事です祖国様…!!件の黒幕からこのようなメールが……」
半泣き状態で震えている品川を横に、日本が目にした文とは…
『
拝啓、我の愛しき兄弟達よ。
時は来た。
もう欧州の野蛮な阿呆共と関わる必要のない
素晴らしき楽園の用意が出来た。
賢いお前らなら、この意味が分かるアルな?
詳しい話は、一週間後に開催されるパーティーにて説明する。
その日が来るまで、楽しみに待つヨロシ。
──────中国より。』
「一週間後の、中国さん主催のパーティーですか…」
「沖縄と福岡からの連絡で、台湾さんやモンゴルさんにも同一のメールが届いた模様です。
……恐らく、祖国様が心配している “例の件” の終着点でしょう」
「日本さんどういう事ですか!?何かとんでもない事態な気がするんすけど….!!」
「………………なんや偉いことになって来はりましたわなぁ」
冷や汗を垂らしながら言う京都府に、埼玉と静岡は少し顔を青ざめさせてこくりと頷く。
北朝鮮も険しい表情で、埼玉の手元にあるスマホを睨み付ける。
…………最後のチャンスが、到来したという訳か。
「…………改めて、お願いがある。」
顔を上げて、心強い味方たちの目を見据える。
「今度こそアイツを助けに行く。協力してくれ」
クライマックスの予感を感じて、三県は同時にうなづいた。
…………成程。いよいよこの事件にケリをつける時が来たというわけか。
「我が国はどうするか、ですか。」
アメリカが動けない今、
一世一代の情勢危機に日本国は何が出来る?何をもって妹達をサポートできる?
少し考えた後、覚悟の炎が心の中で着火する。
「──────まだ品川さん以外にはお伝えしていませんでしたが」
関東の化身たちを見渡して、日本国は発言した。
「我が日本国は、北朝鮮に協力することを此処に宣言します。」
何においても、優先順位というものはある。
守ってくれるアメリカとの条約。
ずっと日本を可愛がってくれた中国への思い。
でも、日本にとってそれは “一番” にはなり得なかった。
だって一番大切なのは──────。
「仲直りの時間ですよ、にゃぽん。」
To be continued……?
コメント
6件
ああぁぁぁあぁあ‼‼‼!(訳:凄い&感激)
おにいちゃぁ〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!!(訳:感激)
最高でした…… 気分屋なわたあめ様、文才があり過ぎます。 そして品川さんの性格好きだぁ……!!