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「なぁ。なんであんなにソワソワしてるんだ?」
リビングを行ったり来たりしてこちらに視線を向けてくるんだ。
流石の俺も気にしないというのは無理がある。
「クリスマスケーキとプレゼントだよ」
「あぁ…そういや今日はイヴか」
「えっ?まさか忘れてたのっ!?」
これだけ女性に囲まれてるんだ。忘れるわけがなかろう。
そして、そんな事が許されるわけがなかろうとも。
「ちゃんと覚えてるぞ。プレゼントも用意したしな」
「良かったぁ。市役所に私が婚姻届を取りに行くのかと思ったよ」
「うん。そんな予定はないな」
全く。隙が無いやつだな。
「ええっ!?今年こそはプレゼントにサイン入りの婚姻届をくれるって…」えーん。
「嘘泣き下手だな…最初の嘘泣きの技術はどこに行ったんだよ……」
そもそもそんな約束はしてまへんがな。
「女の子の涙は武器だから多用は避けてるんだよ。それより二人へのプレゼントは何にしたの?」
アンタのは凶器なんだよなぁ……
「それは秘密だ。大体今教えてもダメ出ししかしないよね?」
「ん?バレた?まぁ楽しみにしとくよ」
いや、二人へのプレゼントなんですけど……
もちろん貴女にもあるけど。
深夜、地球へと帰った俺達はプレゼントを持ってとんぼ返りした。
そして二人の部屋へ……
いや、こう説明すると、ただの変態みたいだな……
JKJCくらいの女子の部屋へ深夜コッソリ忍び込むとか。
よし聖奈さんに任せよう。
「と、いうことだ」
「うん。当たり前だよ」
ガーン。あれだけ一緒に寝ていたのに、最近では二人とも別々に寝ていた。
確かに今の在り方が普通なんだが……
ちなみに聖奈さんが言い出しっぺなので、聖奈さんも別の部屋だ。
「プレゼントですぅ!やっぱり私は世界一の良い子として、サンタさんに認められたですぅ!」
別の部屋に寝ているのに、朝からエリーの声で起こされるとは……
エリーは何でも喜ぶからな。
ある意味楽だし、プレゼントしがいもある。
問題はミランが喜んでくれるかだが……
これは朝食の時確認しよう。とりあえず二度寝だ。
「クリスマスなのによく寝たね…」
そう。寝過ごした。
次に目覚めたのは昼過ぎだった。
いつもならエリーが起こしにくるのだが、プレゼントが嬉しかったのか、ご飯の時以外はそれに夢中みたいだ。
「まぁ俺はキリスト教じゃないしな」
うん。今日も飯が美味い!
ありがとう聖奈さん。
ご飯を食べながら話をしているんだが…肝心のミランに会ってない。どこいった?
「ん?ミランちゃん?部屋にいると思うよ」
「わかった。食べたら行ってみるよ」
よし。どんな反応なのか、この目で確かめてやる。
「それで?プレゼントはなんだったんだ?」
食後にミランの部屋を訪ねた俺は、いきなり本題をぶっ込んだ。
だって気になるんだもん。
「サンタ様からはこちらを頂きました」
ミランはまるで神様からの贈り物のように、それを有り難く掲げていた。
あのー。それはそんなに高尚なものじゃないんで……
「たま◯っちか。結構育てるのに失敗するんだよな」
第一次、第二次と数々のブームを作ってきた不朽の名作だ。
「はい。説明書を読みました。
必ずサンタ様の期待に応えられるよう、立派に育て上げて見せます!」
ふんすっ。と擬音が聞こえてきそうなくらいの気合を感じた。
サンタ様って、 誰?
ちなみに説明書はちゃんとこちらの文字で書き直した。
この手間が今回のプレゼントの肝だったが、あまり感動はなかったな……
そりゃそうか。サンタ様だもんな……
「エリーは何を貰ったんだ?」
次はエリーだ。喜びの声はバッチリ聞こえていたが一応……
「気になりますか?気になりますよね?!
私は世界一良い子なので貰えましたっ!」
「うん。やっぱりいいや」
ガシッ
「見ますよね?」
腕を掴み、珍しくドスの効いた声を出した。
うん。そんなに自慢したいんだ。
あげた甲斐があるよ。ホントに。
「ジャジャーン!こちらです!」
「……これはなんだ?」
いや、俺がプレゼントしたんだからわかってるよ?
わかってるんだけど…一体、何なんだ?
「これはL◯GOブロックという創作の意欲を掻き立てるものです!」
うん。そこじゃない。
何を作ってるのか?だよ。ワトソンくん。
「それでこれは何を作ってんだ?」
「これは…空飛ぶ乗り物です」
天才だ…こいつは馬鹿だけど天才だ。
いや、何言ってっかわかんねぇな。
俺の視線の先には、確かに飛行機らしきものが存在している。
何の知識もなしにこの形に辿り着けるモノなのか?
もちろん俺達は潜在意識の中にこの形が刷り込まれているからなんだが……
エリーは飛行機を見たことがないはずだ。
「これが実現すれば……セーナさんにバレずにお菓子を買いに行けるです!」
うん。馬鹿だったわ。
「ホントに許可したのか?」
俺は今、聖奈さんと地球に来ていた。
「うん。何度も言ったじゃない。
ミランちゃんもエリーちゃんも納得済みだって」
「どうやって買収したんだ?」
「それはねぇ…はっ!?」
やっぱり…何故そこにそれほどの労力を割けるんだよ……
違うことたくさんあるよね?
「まぁいい…それでどこに行きたいんだ?」
聖奈さんの口車に乗せられて、俺はクリスマスのクソ混む中、車を走らせていた。
「ナビ通りにお願いします!」
「あいよ」
ナビに従って進むと、ここは……
「大学じゃねーか!」
「そうだよ。久しぶりだね。さっ。車停めて入ろう?」
うん。普通に不法侵入だね。
まぁ今までのことを思うと、これくらい可愛いもんか。
「おっ。やっぱり電飾で飾ってあるな」
校舎の外も中もキラキラとしていた。
「あそこ覚えてる?」
「ああ…サークルの部室だな」
あまり良い思い出はない。
まぁ、聖奈さんと出会えたからそれはいいか。それ以上を望めば贅沢だな。
「入ってみようよ」
「良いけど…鍵は?」
俺がそう聞くと、何故か聖奈さんは鍵を取り出した。
ドラ◯もんかな?もしくはMr.マ◯ックかな?
ガチャ
「さっ。どうぞ」
何故か促された俺は、部屋へと入っていく。
「お邪魔しま……」
部室の中には料理とケーキ。それにプレゼントが置いてあった。
「なんだこれ?いつ準備したんだ?」
「あれー?いうことはそれだけかな?
聖くんに良い思い出にしてもらいたくって、態々部室にしたのに」
「すまん」
コホンッ
俺は一つ咳払いすると・・・
「ありがとう。驚いたよ。プレゼント開けても良いか?」
「もちろん!見てみて!」
ガサガサッ
「これは……額縁?」
なんで?
「に入った婚姻届じゃねーかっ!感動を返せ!」
「キャーッ襲われるぅ!」
結局いつも通りだったな……
まぁ手の込んだ仕掛けは楽しかったからいいか。
俺が渡したプレゼント?
あぁ。もちろんダメ出しされたよ……