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〜ぼっちの月の神様の使徒〜

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〜ぼっちの月の神様の使徒〜

165 - 1話 あれから一年。説明会!と言う名の!プロローグ!

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2024年03月22日

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「あれから一年経つんだなぁ……」

ここは建築途上の王城の中。

地球から色々と持ち込んだことにより、外壁や屋根はすでに出来上がっている。

まぁ向こうで大金使ってたからなぁ…聖奈さんが。

もちろん俺は関知していない。聞いてももうわからんし。

壁がまだ造られていないがらんどうな部屋に佇みボソッと呟いたところ、伝えたい相手にはどうやら聞こえていたようだ。

「はぁ……セイくん。そんな風に哀愁を漂わせても、もう少しの間自由にはなれないよ?」

「…そこを何とか」

柱しかない城内に机と椅子を持ち込んで執務に取り掛かりながら、俺の愚痴を拾った聖奈さんへとさらにお願いをした。

まぁ無理なものは無理なんだけどな……

「もう。そんなに暇ならミランちゃん達の手伝いに行って来たら良かったのに」

「暇ではない!まだ今週のジャ◯プも読んでないし、サ◯デーもマ◯ジンも!

ない時間にこうしてお願いに来たんだ!

なぁ?いいだろ?」

異世界でもモテる聖奈さんへ向け、こんな風に言い寄る男は恐らく俺だけだろう!

「はいはい。来週まで待ってね」

「えっ!?来週!?」

マジ?本気と書いて、本気マジ

「頼んでおいて何だけど…ホントに良いのか?」

「ダメって言ってもそろそろ家出しそうだし、それなら居場所がわかった方がいいからね」

要望が通るとは夢にも思わなかった俺は、暫くフリーズした後。


「よっしゃーーー!!」


大声で叫んだ。

「あっ。一応言っておくけど、ミランちゃんもエリーちゃんも連れて行けないからね?

二人に抜けられたら流石に穴埋めできないから」

「そうか…まぁライルに聞いてみるか」

それを聞いて少しトーンダウンしたけど、ライルなら来てくれるだろう。

聖奈さんにお願いしていたこととは、簡単に言うと『旅に出ること』『冒険者活動したいこと』だ。

今は漸く城が形になってきているが、そもそも俺はお飾りの王様だから暇なんだわ。

元々権力には興味ないし、お金も偶に贅沢出来ればそれ以上は望まないし。

まぁ何が言いたかったかというと、飽きたんだ。

折角異世界に来れるようになって、向こうでお金にも余裕ができたのに、好きなことが出来なかったら本末転倒だ。

国王になるのと同時期くらいから旅に出たいって言い続けた結果、ついに許可が降りた。


ありがとう聖奈さん。


今はバーランドの告別式から一年が経っている。

この一年は大忙しだったな。主に聖奈さんが……

俺?社長はドーンと椅子に座ってなきゃならんのだよ。

玉座まだないけど……

俺自体はライルの都合が良い時にダンジョンに潜ったりして過ごしていた。

20階層以降は罠がある為、一人では行かせてもらえないからマリンを誘うのだが……マリンはライルが来ないと行きたがらない。

解せん……

さらに時間がある時は街を視察(ブラブラ)したり、魔法や剣術の訓練をしたりと割と忙しかったのだっ!

ミランは順調に成長して身長も少し高くなって、より美少女度に拍車がかかっている。

男の影?んなもんあるわけない。

あっても俺が消す。

そして今は地球ではヨーロッパ。こっちではウチの商会を指揮して貰っている。


エリーは順調に成長せず、小さいままだ。

ずっとこのままでいてほしい。

今はバーランド王国の魔導具研究所の所長をしてもらって、地球から持ち込んだ様々なアイデアを形にしてもらっている。

それを聖奈さんが指揮して大量生産している。これがバーランド王国うちの主な外貨の財源だったりもする。

商会の利益は個人的なモノだから俺のポッケだ。

どこのポッケにしまってあるのか知らんけど……


ライルは商会の商会長として頑張ってもらっている。

なんだけど…アイツは帳簿付よりも接客が好きみたいで、いつも店番をしている。

まぁ商会長は名前だけだから頼むって言ったのは俺だからいいんだけどな。


マリンは実はライルと付き合っている。

最早父親の後を追って無謀なダンジョン攻略をしないので、好きにさせている。

聖奈さん情報によると次の目標は出来ちゃった結婚…もとい授かり婚のようだ。

付き合ったのも無理矢理ライルに酒を飲ませて既成事実を作ったみたいだし……

男女逆な気がしないでもないが、この世界の性差は小さいからな。

まぁ…二人が付き合うのは薄々わかっていたことだが……

俺が発狂したのはここだけの秘密だ。


そして聖奈さんだが……特に変わりない。

聖奈さんは結構押してくるんだけど、あるラインからは踏み込まない。

まぁ俺を揶揄ってるだけだからそうなんだけど。

ミランは逆に距離を取るようになってしまった。

エリーは……ポンコツだからわからん。

俺の恋愛事情に進展があるはずもなく……


まぁ実は一年前くらいから、その辺りがどうでも良くなってるからいいんだけどさ。

でも、ライルは許さんっ!






「えっ!?行かない!?」

ライルに旅に出るから予定を空けてもらうように、王都の店に伝えに来たらこれだ。

「ああ。セイなら一人でも大丈夫だろ?むしろ一人の方が気楽だぞ?」

お前はずっとぼっちだったから言えるんだよ!

俺は違うぞ!……いや、ぼっちだったわ。

「気は楽だろうが…何でだ?」

「うーん。正直に言うと、この暮らしが楽しいんだ。

でも、よくよく考えたら恩人で兄貴分のセイが言うなら着いて行かなきゃな」

「…いや。ここで頑張ってくれ。悪かったな。気を使わせて」

そんな満面の笑みで言われたら、誘えないじゃん……

しかも楽しんでもらえてるのは有難いが、元々俺が頼んだ仕事だし……

はぁ。俺だけ子供のままみたいだな。

これも俺が旅に出たい理由の一つなのかもしれない。

みんながそれぞれしたい事、やりたい事、しなくてはならない事をしっかりと見つけて頑張っているのに、俺だけ……

あれ?ここでもぼっちだぞ?






「えっ?セイさん旅に出られるんですか?」

夕食時、ミランが心配そうに聞いてきた。

じゃあ着いて来てくれよ!とは、口が裂けても言えず……

「ああ。ミランをヨーロッパに送り迎えするし、その他にも聖奈から指示があれば帰ってくるから、離ればなれにはならない」

「あ、いえ。その心配はしていません。何か問題を起こさなければ大丈夫です」

・・・これだ…何があったんだ?

いや、俺が何かしたんだろうな……

気付いていないだけで。

まぁ、今に始まったことじゃないし。

「うーん。旅ですかぁ…」

「何だ?エリーも行きたかったのか?」

「この世界のお土産のおやつに期待が持てません」

うん。変わらないっていいね。

おじさん安心だよ。

「セイくん。後で話があるから」

「ん?わかった」

何だろう……

子供の時に学校から電話が掛かってきた時と同じプレッシャーを感じるぞ……






「それで話って何だ?」

夜、酒を飲む前に聖奈さんの部屋を訪ねた。

あっ。聖奈さんもミランもみんな別々の部屋を持ち、今は一人で寝ている。

「この一年のみんなの変化だよ。

どうせセイくんのことだから、気付いても理由がわからないからもやもやしたままなんでしょ?」

くっ。その通りです。師匠。

「エリーちゃんは変わらず欲望に忠実だから置いといて、ミランちゃんとわたしだね」

「そうだな。って…教えてくれるのか?

聞いても教えてくれなさそうだったから聞かなかったんだけど」

教えてくれるならもっと前に教えてよー。

「旅に出ちゃうからね。

ミランちゃんは相変わらずセイくん大好き美少女だから気にしないであげて」

「…聞いといて何だけど……それは黙っていなくていいのかよ?」

「変な勘違いされるよりミランちゃんにとってはマシだよ。

それで、私たちがセイくんと一緒に過ごす時間を意図的に減らしたのは…」

はい。それが聞きたかったんです。

「セイくんに頼っちゃうから。

もちろんどうしようもないことは頼るけど、それ以外は頼らないようにしようって、ミランちゃんに言われたの」

「は?俺は気にしていないぞ?」

「それは知ってるよ。でも、頼る方は違うんだよ。

ミランちゃんも私も、セイくんには自由にしてて欲しいの。

でも一緒にいると、つい頼りたくなるのがセイくんなの。

自分でも便利な奴だと思わない?」

うむ。思い当たる節しかない。

「それってセイくんにも申し訳ないし、自分達の成長にも悪いんだよ。

まぁ、ミランちゃんは純粋に、セイくんに自由に生きてほしいみたいだけどね」

「ミランが…」

「うん。セイくんを国王にした時もミランちゃんに後からだけど色々言われちゃったよ。

『他に方法はなかったのですか?』

『それがセイさんにとっての最善なのですか?』

って。

愛されてるねぇ?」

いや、最後のからかいはいらんだろ。

そうか。ミランがそこまで……

なのに俺は自分の事ばかり……はずかちっ!

「それで私からなんだけど……」

「ん?どうした?」

「とりあえずこっちで結婚して欲しいの」

遂に俺にも嫁さんが……


えっ?

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