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第11.6話:偽の未来像
夜の配信
まひろは、黄緑のパーカーに短パン姿。
ランドセルの肩紐をぎゅっと握りながら、真剣な瞳でカメラを見つめていた。
「実はね……未来の大和国では、戦争がなくなって、病気もなくなるんだって。
ぼく、それを聞いてすごくうれしかったんだ」
コメント欄には「安心した」「未来を信じたい」「やっぱり大和国は特別」と書き込みが並ぶ。
ミウは淡いベージュのブラウスにラベンダー色のスカーフを巻き、ふんわり笑った。
「え〜♡ 本当だよ。だって“未来予告”は国軍の公式映像なんだから。
10年後、大和国は世界を導くんだよねぇ♡」
裏側
暗い部屋。
**Z(ゼイド)**は緑のフーディをかぶり、巨大モニターに流れる「未来予告映像」を操作していた。
戦争のない世界地図
完全に治癒する病院シーン
子どもたちが笑顔で走り回る街並み
すべてAI合成。まだ存在しない都市や施設だった。
Zは低く笑った。
「未来は“上映”でいい。現実にする必要はない。
人々は映像を信じるだけで、未来を待ち続ける」
結末
翌朝、街頭スクリーンには「未来予告10年後」と大きく映し出され、市民が拍手を送っていた。
だが実際には──
「偽りの未来」が人々を縛る最大の武器になっていた。