テラーノベル
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episode25
ちなみに、前回出てきた狛犬は、ほおずきって読みます!
所夜side
私が倒れたのは、オブサーバー内から現実世界に戻る時のほんの一瞬だった。
私たちのいる国が、とんでもない異変に襲われていると報告が入ったので、急いで向かおうとしたその一瞬。
急激に気分が悪くなり、その場に倒れ込んでしまった。幸いにも、倒れたのはブライドと何度か来たことのある公園の木陰。ブライドが無事な事を祈って、応援を送った。
つもりだった。いざ目の前に現れたのは、以前喧嘩別れに近い別れ方をした幼なじみだった。
誤送信したんだろうと、すぐに分かった。でも、応援内容と騒ぎを聞きつけていた彼女は、取り乱すことなく冷静に私をおぶった。
文句やいろいろ言いたいことはあったが、それを言う気にもなれはしなかった。
シュリは一言も喋らず、まっすぐ自宅へ走る。そこで私の意識は途切れた。
次に目が覚めたのは見慣れた自宅。まだ気分は悪いが、外にいるよりかはマシになった。原因は多分、運ばれている途中で見えた黒い空だろう。
私も早く原因を解明しなければ。足に力を入れて起き上がるが、起き上がるだけで息切れが発生する。体だけは丈夫な私がこんなになるなんて、ブライドは大丈夫だろうか。
「ちょっと、何してんのよ。」
「シュリ、、、いつの間に入り浸っていたんですか。」
扉を開けて入ってきたのは紛れもない、私をここに運んだ張本人だ。
「随分な言われようね。誰が助けてやったと思ってんのよ。てか、今は寝てなさい。あの空のせいで体の血流が異常に悪くて低体温症気味なのよ。」
「無理ですね。これから原因を解明しないと。そういえば、ブライドは無事ですか?」
「あぁ、あの子なら勢いよく元凶の元へ走ってたわよ。だから今は回復に専念しなさい。」
「は、!?何1人で行かせてるんですか!?あまりにも危険すぎます!!」
「落ち着いて。あの空の影響があるのは私たち人外だけよ。あの子はむしろピンピンしてたわ。」
「…すいません。取り乱しました。あなたに当たっても意味ないですね。ごめんなさい。」
「そんなになるなんて、とんでもない影響力ね。あの子は。あの人に似てるからかしら。ちなみに、あの神もツキもこの家で寝かせてるから起こさないようにね。」
「ええ、それくらいは弁えてますよ。あ、あとシュリ。」
「何?」
「あなたは何があっても絶対に外の空気を吸い込んじゃダメです。換気が必要でも、ブライドに何かあっても。」
「いや、それくらいわかってるわよ。だからわざわざ抗体を打ってきたのよ?」
「まぁ、こんな簡単なことを理解できない程馬鹿ではないと思いますが、、、。恐らくこの空、あなたを狙ったものですから。」
「、、、は?」
ブライドside
「なんだ、口ほどにもねえじゃねえか。」
「ううぅ、ただの人間がこんな力を、、まさかこんなに強いなんて思わなかったですぅ、、、」
酸漿との戦闘は、一瞬で終わった。最初のうちは刃を交わし合っていたが、しばらくすると防戦一方。刀の使い方からしてわかったが、おそらくそこまで戦闘に慣れていないのだろう。
こちらも弱いものいじめをする趣味なんてものはないので、早めに終わらせることにした。
そう言えば、狛犬とか言ってたっけ。映矢輝から聞いた話じゃ狛犬はほとんど守る力だけで攻撃の手段は持っていないらしい。だからあんな戦い方を、、、。
まぁとにかく、一刻も早くあの空を止めてもらわなければいけない。
「さぁ、私の勝ちだ。さっさとあの空を元に戻してもらおうか。」
「うぐぅ、、、でも、、、」
「止めたら、神の復活が出来ねぇ。そう言いたい気持ちは分かる。でも、敗者は勝者の言うことに、黙って従うのが世のルールってもんだ。」
教えないなら、殺すことも視野には入れている。でも、極力不必要な殺しはしたくない。
でも、このまま無言を貫き通されていても埒があかない。私は、酸漿に刃を向ける。
酸漿は一瞬驚いたような顔をしていた。が、すぐに悟って諦めの表情になる。
刃を向けたまま酸漿に近づく。
するとその瞬間、本殿のほうから鋭い光弾が飛んできた。まさか、秋の神が復活してしまったのか。
驚き本殿の方へ振り返ると、人影が見えた。そして、禍々しい気配。威厳のあるオーラすら感じられる。
「ちっ、外れた。殺すつもりで仕掛けたのに。」
「うちの狛犬をいじめたのは、あんた?」
「いや、いじめたも何もこの空を、、」
「ふん、どうだか。酸漿、一回戻っていらっしゃい。」
女は手を前に出し、酸漿を自身の方へと寄せる。まるで返せと言わんばかりに。酸漿は安心したような笑顔で女を見上げる。
「だから1人で行くなって言ったのよ。戦えないくせに向上心は高いんだから。」
「ぐうの音も出ませんわ、、」
そう一つ答え、酸漿は静かに目を閉じる。微かに寝息が聞こえてきたので、恐らくそのまま寝たのだろう。女は、眠りついた酸漿を本殿の階段に座らせ、自分の上着をかけ、振り返る。
「さて、、、あんたは人間?空を止めにくるのはご勝手だけど、うちの者を傷つけたのはゆるし難くてよ。」
「こっちも仲間が苦しんでるんだ。放っておいたらそれこそ傷つく。空を戻してくれたらもうあんたらに手出しはしねえから早く戻してくれ。」
「それは無理なお願いね。うちの神がいなかったら私たちの存在は消えてしまう。あと少しなのよ。邪魔しないでよね。」
「それに、戻したくても酸漿が知人に頼んだものらしいからね。そいつに頼まないと多分無理よ。」
「じゃあそいつに頼んでくれよ。」
「耳がついていないの?無理なものは無理。大人しくしてれば骨一本で済ませてあげるから。」
「、、、さっき、うちの神って言ったな。と言うことはお前は秋の神じゃないんだろ。じゃあお前は何なんだよ。」
気配からして、この女も神であることは明白。でも、映矢輝のような神特有の強い気配もなければ、酸漿のように弱い気配でもない。でも、口ぶりからして秋の神を慕っているのだろう。と言うことはこいつは、、、
「、、、九十九結。この神社の、本殿に宿る付喪神。」
「私はブライド・エモーション。ごくごく普通の人間だ。」
「普通には到底見えないけど。酸漿を倒す時点でね。」
「ま、職業柄。嫌でも慣れてるからな。」
「そう。」
それだけの言葉を交えて、結は戦闘体制になった。酸漿を傷つけられたので相当怒っているらしい。2人は恐らく、どちらも秋の神を慕う者で同時に主従関係でもあるのだろう。
私も武器を構える。酸漿との戦闘後だが、彼女が強くなかったからそれほど体力は減っていない。
「純粋なる力の前に、ひれ伏すが良い!!」
道具符「祈りの御神木」
どんな攻撃が来るかと構えると、結はひょうたんを取り出し、中の液体を地面に向かって垂らした。
すると、地面から大きな振動が伝わってくる。このままでは危ないと本能で分かる。端の方に避けると、液体はメキメキと音を立てて大きな木に成り代わる。
呆気にとられていると、さらにどんどん液体が撒き散らされていく。倒れる方向に気をつけながら、木をどんどん切り倒す。
1本1本がかなり固くて、酸漿との戦いで刃こぼれが発生した短い刃では不向きだ。自分の脚力を信じて避けるしかない。万が一刃が折れたり取れたりしたら元も子もない。
「小賢しい、、よけなければ苦しみなく死ねるというのに。」
「あいにく、私は脚力じゃお前の何倍も上なんでな。」
幻影「切り裂きジャック」!!!
映矢輝side
意識が無くなったあと、目が覚めたのは3時間後だった。あの時は急に目眩がして、 頭が殴られたみたいに痛くなった。
そしてえーちゃんに体を揺さぶられて、、、までは覚えている。そこからは全く覚えていない。
体は驚くほど元気で、あるのは眠気だけ。起き上がると、横にはツキちゃんが座っていた。
「あ、、おはようございます、、。」
「お身体、、以上ありませんか、、?」
「あぁ、ツキちゃん。おはよう、!うん!身体のほうは元気だよ。ツキちゃんも元気そうでよかった!!」
ふと一瞬、ん?と思った。横にいるならえーちゃんだと思ったのに、、。そういえば彼女の気配が家からしていない。どこへ行ったのかと急いで居住区へ走る。
そこには珍しく喧嘩をしていないシュリちゃんと千ちゃんがいた。2人ともどこか深刻そうな顔でお仕事をしている。見渡す限り、えーちゃんはいない。
「、、ねぇ、えーちゃんどこ?」
「映矢輝、おはようございます。ブライドなら一人でこの異変を解決しに行ったみたいですよ。私たちは今、元凶の情報を調べているところです。」
「えぇっ!?大丈夫なの!?」
「、、、大丈夫だと、信じる他ないです。」
「そっか、、心配だね、、。あ、調べてたんでしょ?元凶の情報掴めた?」
「はい。元凶は実利神社の狛犬、酸漿です。」
「、、狛犬?狛犬みたいな弱い妖怪がこんなことできるかな、、?」
「その神社にいるのは狛犬だけじゃないです。付喪神の九十九結という神もいます。」
「付喪神か、、なら十分だね。」
「ええ。そのふたりが凶暴してこの神社の祭神を復活させようとしてるみたいなんです。厄介なのは、、、その祭神。」
「秋の神、、、実利神社、、、え、、、まさか、、?」
「その神の名前は、、」
「「実利 竜紀」」
「え、ご存知なんですか?」
「ご存知も何も、神の中では有名な話だよ。かなり乱暴かつ凶暴な神だってね。」
「彼女が自分のために人を殺めた回数は3桁をゆうに超える。史上最恐の祭神だよ。」
ブライドside
「やるわね。人間のくせに。」
「人間舐めんな。まだまだ余裕だってーの。」
口では余裕と言っているが、思ったより時間がない。これでは秋の神が復活して、空はずっとこのままになるだろう。体力だって無限じゃない。いつバテるかわからない。
早くしないと、アイツらが外に出れなくなってしまう。何とかしろ、何とか!
こんなとき、所夜なら。映矢輝なら。師匠なら。あいつらならきっと、2倍どころか1000倍で返すだろ!
「でも、もう少しで竜紀が復活するの。あなたとの遊びは、ここまでにさせてちょうだい!!」
終始符「純粋無垢なる狂気の力」!
結が手を振り上げ、手から術が出る。禍々しい、足がすくむような赤色。
構わず足を動かし、武器の持ち手に力を入れる。
「そんなことさせるか!!お前らのくだらねえ信仰心に弄ばれてたまるかよ!!」
斬撃符「二十死奏〜夜の雄叫び〜」!!
こちらに向かってくる数万はあると思える赤色の血飛沫模様の弾幕。
結に向かう、黒色の24の重たく鋭い大きな斬撃。
それを盾に、お互いが切りかかる。
あと数m。
あと数十cm
あと数cm。
あと、数mm。
私の刃が
結の刃が
お互いの心臓にさしかかる
その寸前
「やめんか2人とも!!!」
ピタリと刃が止まり、結が勢いよく振り返る。
「ありがとのぉ、結。もう十分じゃ。」
「竜、、紀、、、、?」
「秋の神、、、!?」
お久しぶりです💦楽書生です!!
期末テストがあって中々投稿できず、、、本当にごめんなさい!
色々複雑で分かりづらいかもしれないんですが、、、次でこの異変終わりますんで!(多分)
これからすこーしづつ投稿頻度あげていきます!(多分おそらく)
ご閲覧ありがとうございました!
コメント
2件

手に汗握るようなドキドキハラハラとした戦いでした!✨このまま2人はどうなっちゃうんだろう、と思っていたところで、、続く次回が楽しみです!!✨✨テスト頑張ってくださいね👍応援しています😊