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八雲瑠月
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「弱点を暴露したのはダイヤエースの余裕からの舐めプだし、ハンマーになったのは竜牙の運の良さというか……俺は問題ないと思う」
書也はちょっと納得いかないように言う。
「そうかな? そこは竜牙ちゃんか美獣姫ちゃんの知識やヒントを得て、倒した方がかっこ良いと思うよ。あと、人狼に変身する超能力を持つ美獣姫ちゃん。キャラ設定欄には変身に十秒かかるのが弱点と書いてあるけど……あらすじには変身中に攻撃されて、ピンチになるシーンは無いみたいだけど……かといって、変身の為に竜牙君やその仲間が時間を稼ぐシーンも見当たらないよ」
書也が慌ててタブレットPCをスクロールさせ、キャラ設定の美獣姫にカソールを合わせる。
「これは設定だけで……シーンにはない!」
書也は少しむすっとした表情で言う。
「ごめんね書也君、そこが気になった部分だから」
気を悪くせず、愛は笑みを浮かべて言う。
「ああ、くそ……この十秒の設定は消す」
「それと二話についてだけど、殺すチャンスがいくらでもあるのに殺さないライバルキャラ、リーサルウェポン君。このキャラは悪の組織、アクダマーの人間なのに竜牙君を殺そうとしないよね? とどめを刺さずに《もっと強くなってから、俺に挑戦しろ!》と言って帰っていく。その他にもこのリーサルウェポン君、三話に関しては敵の幹部の一人、重力使いのストレングス君を能力で岩を狙撃ライフルに変えて、腕を撃って、竜牙君を救ってるよね。四話に関しては竜牙君とリーサルウェポン君と全力で戦うけど、なぜか仲良くなって、味方になってる。しかも、五話から戦闘狂の殺し屋みたいなリーサルウェポン君が殺された仲間の為に泣く美獣姫ちゃんや炎華ちゃんを慰めてるんだよ。性格が変わりすぎてない?」
書也が唸るようにプロットのあらすじの二話、三話、四話、五話をスクロールさせていく。
「そ、そこは男のロマンというかな……女には分からねえよ」
変な言い訳をする書也に愛は首を傾げる。
「そこは男でも分からないと思うよ。あと、五話の最高幹部、時間停止能力の超能力者、クロノスタイマーとの最終決戦、竜牙ちゃんのピンチに美獣姫ちゃんが母の形見のペンダントの効果で覚醒して、謎の光を発して時間停止能力を無効化したよね? 美獣姫ちゃんは変身能力だけじゃなかったの? どういった経緯で新たな超能力に目覚めたかよく分からないんだけど」
「それはな……奇跡の力だよ……助けたいという想いが力になって、母の持っていた形見によって超能力を消す力が継承されたんだ」
「書也君、その設定を書かないと、書いていないのと一緒だよ」
「分かった……直す」
納得いかないのか、書也はむすっとした表情で言う。
「最後にコンセプトなんだけど、確かに友美ちゃんが言うように、もやっとしているコンセプトだけど。かっこ良く魅せるバトル展開というのは、わたしは伝わっていると思う。以上だよ」
「……ありがとう」
書也は頭を下げるも、やはり納得いかないような表情であった。
「他に書也のプロットに指摘したい奴はいるか?」
教子先生の言葉に手を上げる者はおらず、さっきまで言いたそうにしていた友美も首を横に振った。
「じゃあ、最後は誤植だな。プロットは完璧なんだろうな?」
「だ、大丈夫ですよ!?」
愛はそう言うも、ぎこちないロボットのように前に出る。
「……頑張れよ愛」
席に戻る書也はすれ違いざまに呟くように愛に言った。
「うん! 頑張るよ!」
書也の言葉に愛は笑顔で言って返答した。
「さあ、完璧なお前のプロットを見せてもらうぞ誤植」
愛はタブレットPCに可愛いキューピッドの人形を取り出したかと思うと、ハートの矢の部分のカバーを外し、挿入した。
「どうして独特なUSBメモリを持った奴が多いんだ」
教子先生は頭を押さえて言う。
「わたしのプロットの小説のタイトルは《転生したら刺すペンが当たり前な近未来世界に飛ばされ、異能力が無い俺はどうやって生きていけばいいんですか?》です! ええっ!?」
愛は誤字脱字のタイトルを読み上げ、プロジェクターに映し込まれた文字に自分で驚愕の声を上げていた。
「誤植、相変わらずだなお前は……とりあえずは最後まで読み上げてみろ」
「は、はい!? はわわわっ!? タイトル間違えました!? 《転生したらサスペンダーが当たり前な近未来世界に飛ばされ、異能力が無い俺はどうやって生きていけばいいんですか?》だよ! いや、ああっ!? 違います! サスペンダーじゃなくて、サスペンスなの!」
「噛んで誤字になるのか、お前の舌は……」
思わず呆れ顔になる教子先生。
「ご、ごめんなひゃい!? 緊張しちゃうと駄目みたいでにゃ!?」
「にゃ?」
思わず書也が笑う。
「笑うなんて酷いよ書也君! こっちはこれでも一生懸命なんだよ!」
頬を赤らめて言う愛に書也は微笑しながらも、頭を下げる。
「ごめん、続けてくれ」