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[2号の記録を開始]
現在:3918年3月2日 20:00
被検体:RCU-002/AD-3900
また無機質な空間。冷ややかな目で私を見つめる男たちがまた、律儀に記録を取っている。こんな意味の無いことをしてなんになるのだろうか。
「数日後に調査があるがなにか質問はあるか?」
「そうですね。31区砂漠地帯の調査でしたよね。あの砂漠地帯こそ敵の占拠地であり侵入自体が困難だと私は思います。それからこういうのはREUの仕事であり私たち攻撃ユニットは管轄外です。」
大体、砂漠地帯の戦況すら分からない状態でそんなことをすること自体無謀である。調査と言っても地形情報とかだろうが、私たちの存在がバレること自体が問題ということを言いたいのだ。
なにより、緊張状態が走るなかで領土に入り込む敵を発見すれば敵はさらに警戒態勢をとるだろう。最悪の自体は免れない。
「大丈夫だ。先日、134号を派遣し先に調査を行ってもらった。そのときの調査記録を元に君たちに、調査してきて欲しい。」
たしかに134号は優秀だが、さすがにふざけている。あんな危険な場所にまずまず行かせるのが謎。
口ぶり的にも恐らく1人だ。そんな場所に1人で行かせるなんて何を考えているのだろうか。
「そうですか。では、記載された通りに任務をやれと。」
「そうだ。本当はお前だけでも良かったんだぞ?だがな、欠陥品のお前じゃ失敗は目に見える。」
そのための3号…ですか。結局は私も使い捨ての道具ですって言いたげな顔して、わかってますよ。
「なんで”おまえ”のような欠陥品だけが残っちまったんだろうな。」
またその話。私にはなにを言っているのかは良くは分からないけど、いつもの欠陥品いじりでしょう。
3号は私の評価を気にしていたのだろうけど、とっくに地に落ちてんだから、そんなに気にしなくていいのにな。なんて、言えやしないけど。
[3918年3月12日3時49分/3号]
『砂漠地帯31区へと侵入成功しました。では3号さん、気をつけてくださいね!』
「分かっている。」
無線越しに聞こえるのは無駄に明るい92号の声。これから始まる任務は、僕にとって…自分にとっては、正直最悪なものだった。
砂漠地帯は、かなり暑いうえに超常現象が起きやすいんだとか。2号を見るにかなり暑そうというより、かなりくたびれた顔をしている。
そりゃそうだ、ここに侵入するのにわざわざ資源を搬入しているヘリが落下を見せかけて侵入したんだ。落下したヘリからの離脱からの隠蔽工作、初っ端から疲れさせられることをされてきたんだし。
ここで通信は勧められないな。位置が特定されやすい。通信電波で分かってしまうだろう。
「2号、なるべくここからは通信は避けるように。」
「わかった。とりあえず、司令がない限りは私たちはあまり大きくは動けないね。」
エーテル磁気嵐が頻発する砂漠地帯での通信のリスクはそこまで高くは無いが、念には念をってことで、危険が少ないに越したことはない。
でも、本当に何にもないな。大した物資だってないんだし、とりあえずまずは物資の調達も大事だ。
『いざとなったらあの失敗作を盾にしなさい』
管理者が言ってきた言葉が頭の中から流れ込む。そんなことできるわけが無いのに。
「2号はなんで、失敗作なんて言われてるんだ…?」
ただ、疑問に思ってしまったことをうっかり口にしてしまった。歩いていた2号の足はピタリと止まっていた。
「私にしては、長く生きてる方だよ。」
そういい2号はまた足を動き出した。どういう意味か分からなかった。2号のことについて知らないことが多すぎる。いや、知らない方がいい。
ここら一体は大した構造物もない、大した生物もいない、大した湖もやらもないから退屈だ。
と言っても地形情報を知るためにもこれは必要なことだから、文句も言ってられない。
と思った矢先、大きな風が吹き砂が舞ったかと思えば浮いているような感覚になる。異常な静電気が服や髪にまとわりついく。背中に抱えている武器がバチバチと音を立てる。
「なに…これ…。」
3号は、膝をついて今にも倒れそうになっている。慌てて2号が駆け寄り3号を支えている。
「これ、エーテル磁気嵐だよ。このままだと…とコアに異常をきたしかねない。早く逃げるよ!」
逃げようとする足が動かない。ここは砂漠なはずなのに寒い。2号が焦った顔を見せた。
2号は3号が動かないと判断したのか3号を肩で担いで慌ててその場から離れるように走る。その間も3号は耳を塞いで苦しそうな顔をしていた。
『なんで…どうして…。 』
そんな幻聴が聞こえて頭から離れなくなっていた。あんな見たくない光景を、頭の中で反芻するような気持ち悪い感覚に襲われた。
「3号?!3号大丈夫?!」
2号の声が聞こえて安心したのか意識がどんどん遠のいて行った。
[3918年3月12日6時21分/3号]
目が覚めるとそこは、自分の部屋ではなく砂漠地帯だ。
「あ、3号起きたー?2時間も寝ちゃって。」
2号の声で何故か今の体勢に違和感を感じた。今、地面で寝ている訳でもなく2号が運んでいるのだ。それも前ってことは両手で抱えられてることになる。
「なんでそんな体勢に…」
「いや〜、おんぶしようにも後ろに剣があるから私じゃ普通に無理じゃん?だからお姫様抱っこ。」
なんの疑問もなしにそんな事するのほんとよくやるよ2号さんよ。確かに不可抗力かもだけどもう地面に寝かせるとかでも別に気にしなかったのに。
「下ろしてもらっていい?」
「無理。」
即答された。でなんで下ろしてもらえないんだ。この人お節介なのか。いや、だいぶお節介な人だったそういえば忘れてたよ。
そういえば背中が軽いと思ってたら普通に2号自分の分の武器まで持ってくれてたし、申し訳ない。
「なんで降ろしてもらえないのでしょうか。」
「降りようと思えば降りれるのに降りれないでしょ?体が動かない証拠だよ。それに、3号軽いから容易に運べるし。」
軽いは余計だ。まだエーテル磁気嵐のせいで体がピクピクして動かないし、コアに熱がある。
「今は無理せずにね?コアがまだ自己修復できてないから。」
説教臭くそう言ってくる。わかってるってば。なんて言う元気ももう無かった。また意識が朦朧として目を閉じる。
『あぁ、救世主様。どうか、愚かな私たちをお救い下さい。』
『この苦海を、苦界を、苦諦から…、恤救ください。』
救いを求めるものはいつもこう言った。馬鹿馬鹿しい愚かしい狂おしい。
救いを求め、自分たちが救われたことを妄想し狂喜することだろう。そうして生きるしか脳がないやつらには、興味が無い。
『私たちを…、異星人の手から…お救い下さい。』
そう、あるものは救いを、信仰を、恤救を求めました。