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前世の妹、キャロル嬢は俺と恋愛なんて、サラサラする気はないと言い放った。

小説どおりにするものかと。


もちろん俺もだ。


キャロル嬢は、俺が手を折ったのは仮病で、包帯を巻いている右手は本当はピンピンしていると見抜いていた。

小説にそんなくだりはなかったから、おかしいと思ったとも話した。


その通りだ。

包帯なんか巻いて仮病を装い、セドリックと共謀してエリアーナとの接点を無理矢理作った。そうでもしないと、俺たちは公務以外で会うことはなく、接点を持つことすら出来ず、エリアーナと仲を深めるどころではなかったからだ。


キャロル嬢に俺はエリアーナのことが幼い頃から好きで、これから溺愛して崖ダイブを阻止したい、小説どおりにしたくないと胸の内を明かすと、エリアーナの良心につけ込んで介助してもらっていることをいい加減にやめて、ちゃんとエリアーナと向き合えと彼女は助言してきた。

ヘタレな兄に協力してやると。


兄だと分かればキャロル嬢に遠慮はない。

前世での妹、そのまんまだ。

直球でものを言ってくる。


溺愛すると言っても、今まで塩対応で鬱陶しい嫌いな男から突然溺愛されても、気持ち悪いだけだと彼女は言う。

その通りだ。

俺はかなり胸が痛んだ。

思い当たるところがかなりあり過ぎるから。


まずはエリアーナの気持ちを試し、気持ちを知ろうということになった。

セドリックは渋い顔をしていたけど。

俺はエリアーナの気持ちを知りたかった。

キャロル嬢は妹として出来る限り俺に協力すると言ってくれた。


「わたしだって、エリアーナ嬢には幸せになってもらいたいのよ。わたしの出現で崖から飛び降りる結末だなんて、刑事もの2時間スペシャルドラマより酷い。これは現実なのよ。エリアーナ嬢の気持ちを引き出すためなら、ちょっと?だいぶ嫌だけど、兄と恋仲になる芝居にも積極的に協力するわよ」

妹にも思うところがあるんだろう。


そして、エリアーナは俺とキャロル嬢がランチをしている姿を見て、嫉妬をしてくれた。

そこまでは予定通りだったんだ。

うれしかった。


あのエリアーナが嫉妬してくれている。

嫉妬をしてくれてうれしいだなんて、こんなことを思って最低ってわかっている。


でも初めて、エリアーナの心の中に俺がいるんだと確信を持てた。


エリアーナとしっかり向かい合おうと、仮病はやめてランチに誘ったら断られた。しかも毎日ことごとく避けられる始末。


ある日の放課後に友達と中庭でお茶をしているエリアーナを見つけた。

その時、俺はキャロル嬢と歩いていて、キャロル嬢との仲をエリアーナは誤解していて、避けられているんだとその時にようやく悟った。



キャロル嬢にプリプリしている可愛い悪役令嬢エリアーナを愛でて、本当に愛しているのはエリアーナだという展開を思い描いていたのに…

どうして避けるだけで、なにもしない?

どうして俺とキャロル嬢から逃げるんだ?


小説ではエリアーナは悪役令嬢らしく、キャロル嬢に意地悪をたくさんするはずなのに…。


このままでは溺愛どころじゃない。

エリアーナが、誤解のまま悲観して早々とダイブをするかも知れないと焦燥感が俺を襲う。

やっとの思いで放課後にエリアーナを捕まえることに成功したのに、エリアーナにはなぜキャロル嬢を誘わないでわたしなのと言わせる始末。


我慢出来なかった。

それが自分の心に火をつけた。

エリアーナにいままでの心情をぶち撒けてしまった。

自信がなかったからあんな塩対応だったこと。素直になれなかったこと。

あの場では話すつもりはなかったのに、ずっと好きだったと。切ないほど好きなことも。


そして、エリアーナからは俺のことは好きだけど、これじゃ駄目だから、婚約解消をしてほしいと酷く懇願された。


円満婚約解消まで俺から逃げるらしい。

俺達、両思いだよな?

どうして、そうなる?


俺の溺愛計画が破綻中。

事実は小説より奇なり。

悪役令嬢を回避しようと足掻いている公爵令嬢は前世を思い出した王太子殿下に溺愛される

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