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吉田side
「次の質問は…"メンバー内で恋愛はありですか?"だって〜」
「柔太朗際どい質問拾うね笑」
「目に入っちゃって笑とかいう仁ちゃんはどうなの?あり?」
「俺は別に好きならメンバーだろうがなかろうが…って感じだけど、メンバーはなぁ笑」
俺の心を透かしてみるような質問に嘘を交えて答える。
こんなのただの綺麗事で、 メンバー同士で恋心がある方がおかしい。
そもそも勇斗がそんな感情をメンバーに持つはずがない…俺には尚更。
「勇ちゃんはどーなんよ」
「俺は仕事に支障きたすならなしだなー… 」
ほらな。
だからこそ俺はこの感情を隠さなきゃいけない。
好きな人に迷惑かけない為にも。
俺のエンドロールにハッピーエンドなんか存在しないのだ。
「勇斗らしいな笑」
そう一言そえて、いつもの営業スマイルで乗り切る。
1つ仮面を被って、この気持ちを終わりへと持って行けるように。
「仁人のその笑顔なんか気持ちわりぃな」
「え〜ひどくない?笑」
ほんとなんでこういう時だけ突っかかってくるんだよ。
頼むからお前への気持ちに整理が着くまで1人にさせてくれ…ちゃんと…ちゃんと、終わりにするから。
そう決心してからどのくらいの月日を経たのだろうか。
人は三日坊主であるから、三日間さえ頑張ればその後は楽になると聞いたことがある。
そんな迷信をまんまと覆すように、俺の気持ちは一向に無くなる気配はなかった。
"いっそのこと死んで生まれ変われたらいいのに"
そんな甘い考えが叶ったらどんなにいいか。
遠ざけようとする俺の気持ちを引き止めるように笑いかける勇斗が俺の心臓を燃やした。
それからというもの無意識に俺は勇斗を避けるようになった。
楽屋にいる時は席をなるべく遠くして背を向け、2人の時はトイレに行く。
バレない程度に、俺の視界からも勇斗の視界からもお互いが映らないようにしたかった。
勇斗がカバーした『最後の雨』
どうにも聞くに抵抗があって先へ先へと日を延ばしていた。
「そういえば太智、俺のMV観たか?あの大量の雨やべぇだろ笑」
「あれよく耐えれたね笑」
「ほんとだよな笑仁人は観た?俺のMV」
「いや、忙しくて観れてなかったわ。ごめん」
「まだ観てねぇの?今日絶対観ろよー」
「わかったって笑」
今日も何とか1日乗り切り、疲れ果てたまま帰宅した。
睡魔と戦う頭を何とか起き上がらせ、風呂に入りそのままソファーへと倒れ込んだ。
ふと勇斗が言っていた事を思い出す。
俺はスマホに手を伸ばし検索をかけようとしたが躊躇って一度スマホの光を落とした。
それでもやはり気持ちには抗えなくて、もう一度検索をかけ、再生した。
「あぁ、ほんとやっぱりお前は綺麗だよ。」
自然と惹き込まれる勇斗の表情に感動して、気付けば涙が零れていた。
勇斗の何かを愛おしそうに見るような目、縋るような歌声。
"お前は誰を思って歌ってんの"
そんな単純な疑問が言葉に出来ず送信を取り消した。
そして、
『MV良かったわ』
そう一言送り、アラームをかけ眠りについた。
to becontinued…