※この物語はフィクションです。
実在の人物及び団体、事件などとは一切関係ありません。
〈File76:臆病者の恋〉
「やあ、必ず来てくれると思ったよ。嬉しいなあ」
はるばる国際空港のターミナルまでやって来た私を見つけると、ケントは立ち上がって歓迎の意を表した。
きらきらしい笑顔で両腕を広げて待ち構えるケントに、私は両腕を組んだまま応じる。
「白々しい……。こんなの渡されたら、来ないわけにはいかないでしょ」
言いつつ、私は昨日渡された封筒を差し出した。
中にはアンティークと思しき大きなルビーの指輪と、国際便のチケットが1枚入っている。
指輪はいかにも高価そうだし、なにより思い入れが深そうな逸品だった。
そんなもの受け取れるはずがなく、チケットの搭乗時刻を頼りに返しに来るしかなかった。
「はい、返すわ。こんな大切そうなもの受け取れない」
ケントは肩を竦めて、封*********************
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