仲直りをしよう、時間作ってと翔太にお願いしたら、10日ぶりのオフの日を俺のために空けてくれた。リスケできる予定を全部ずらして、俺は翔太とドライブに来ている。
郊外の自然豊かな場所まで。照に人目につかない良い場所を教えてもらった。
運転は俺。着くまで時間がかかるから寝てていいよと言ったら本当に寝てしまった。
頬を撫でても起きないからキスをした。
ほんの少し動いたけど、眠っている。
バレたらバレたで話が早く進行するだけだ。別に構わない。
💙「ごめん。寝てた」
いつも通りの自分が嫌なのか、気持ちを入れ直そうとする翔太がいじらしい。
俺のことはもうとっくに許してくれているのにけじめがつかないとでも思っているんだろう。翔太は顔を何度かこすって、車から降りた。
見渡す限りの雑木林。その中の大きな湖のほとりに俺たちは来ている。少し歩こうと誘うと、翔太は何の疑いもなくついてきた。
足元の枯れ葉がさくさくと耳触りの良い音を立てる。紅葉は過ぎ去って木々もそろそろ冬のしたくを始める頃。茶色に染まった森は、少しうら寂しかった。
💙「なんで、湖?」
💚「海がよかった?」
💙「いや…自然は好きだ」
言葉少なに遠くを見つめる翔太の横顔に魅了される。
ずっと好きだった。
もう思い出せないほど前から、ずっと。
それだけにただの幼なじみだと疑ってなかった2人が恋人関係にあると知った時の俺の衝撃は大きかった。てっきりネタだと思っていたのに。
2人の関係は佐久間から聞かされた。
飲みに行った時に、ふいに。涼太も翔太も隠していた。恐らく気まずかったんだろう。しかしなぜか佐久間にはバレていた。
🩷「阿部ちゃん、あの2人見ててみ。たまぁに一緒に帰ってるから」
佐久間の悪戯っぽい笑顔にまともに返事も出来ずにいると、俺たちも付き合っちゃう?なんてバカな告白をされた。もちろん聞かなかったことにした。
俺には翔太しか見えてないのだ。
その後、佐久間に言われた通り、2人の動向を気にしていたら、駐車場でキスする2人を目撃した。翔太は怒っていたが、涼太は笑っていた。俺は気づかれないように距離を取って楽屋に戻った。
💙「あの、もういいよ。俺、怒ってないし…そりゃ傷ついたけど…今は涼太が幸せならそれでいいと思えるようになった。なんか、綺麗ごとみたいだけど」
翔太は言葉を選んでいた。
目線はやや俯きがちだ。その表情はやっぱり少し悲しそうに見えた。
💚「翔太。正直に言うね」
翔太は顔を上げた。
💚「俺、翔太のことが好きなんだ」
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どうなるんだー