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P&Rのアジトで目を覚ますようになってからもう3日が経った。…シハは元気だろうか。
ここでの生活は、割と上手くいっている。皆戦争をしているとは思えないほど穏やかだ。まあ、そもそも戦うのが好きな人なんだろうが。
「…ノゾム、おはよう。」
「あ、おはよう、シルバー…」
外で何が起こっているのかは知らされぬまま、ここでの日常がすぎている。決められた部屋に一日中居続けるだけだ。この3日間過ごしてみて、疑問が確信に変わった。
僕とこいつらは決して仲間じゃない。
恐らく便利な道具として期待されているだけだ。そして期待されているのは僕の能力であって、僕自身では無い。僕の両親と同じ雰囲気を感じるからすぐにわかる。…だが、だが何だ?シルバーは他に何か知っている気がする、何か隠している気がする。なんだかんだ言って僕を一白さんから救い出したり、本人には言ってないが彼のそばにいると色が見えるし気の所為だといいのだが。
僕がいる部屋は、まるで独房のようだった。隅に置かれた小さめのベッド、その横に置かれた小さな棚、一人用の小さな机と椅子。おおよそ六畳のこの部屋が広く感じるほど何も置かれていないが、入り口と反対の扉を開ければユニットバスがある。それに、防音性が高いのかこの街が静かすぎるのか、部屋に来る人の足音さえ聞こえては来ない。
それでもシルバーがこの世界についていつも教えに来てくれるので、暇すぎておかしくなることは無い。新亜暦という暦があることや、悪魔達が政府を作ろうとしていること、悪魔は
しかし、シルバー以外が僕に会いに来ることは一度もなかった。
「…ねぇ、シルバーはどうしていつも僕に会いに来てくれるんだい?」
「それは…、」
と口ごもるシルバーに、不信感が募る。僕は昔から他人が信用出来ないたちだった。ああ、それで虐められていたのか、僕は。
しかし、シルバーの返答は意外なものだった。
「…なんでだろう、考えたこともなかったな。でも、僕は君とただ一緒にいたいだけ。それだけだと思うよ。」
口車に乗せられた、と言えばそれまでかもしれないが、僕はその瞬間にシルバーは僕の味方であり、信用すべき存在だと感じた。
そんなに素直で暖かい言葉をかけられたのは、アカリさん以外にいなかった。
だから、この誰も彼も怪しいP&Rの箱庭の中で、シルバーだけは信じる。
……信用しない、それが僕のやり方だ。P&Rに入ったって誰も信じちゃいない。これまでだってずっとそうだった。
僕は実の親や兄弟だって信用しなかった。親と兄弟だって僕のことを信じてなんかいないはずだ。
『シルバー』この名前は自分でつけた。親の着けた名前なんて知らない。生き方をまともに教えられたことは無い。
生きながら学び、努力しながら進んだ。
人生において、一つのことをするだけで全て上手くいくなんてことは無い。あれば、それは努力だけだ。目的のための、果てしない地道な努力…。