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そういえば、戦争と言ったって現実の世界とは違うわけだし、特殊能力を駆使して戦うのだろうか?
ふと思い出して、自分のあのモノを作り出す能力を試すことにした。
「シルバー以外の話し相手とか…できないかな…?」
黒々しい液体を空中で色々弄ってはみるが、中々上手くいかない。誰にも何も教えられていないし、当たり前と言えば当たり前だが。
何故コツが掴めないのだろう…?ゼロから全て作ろうとするのがいけないのだろうか?
ふと視界の端にユニットバスが映る。
「水入れてかさ増しとか…?」
暇だし物は試しだ。早速やってみる事にした。
黒い液体を器のような形にして、蛇口をひねる。水と黒い液体が混ざると思っていたが、ふたつの液体は反発し合っているようだ。
黒いが内側には水が入っているのが見えて半透明になっている。まるで大きな水風船のようだ。こういう雑魚スライムいるよなぁ。
イメージも固まったし、今度こそ行ける気がする。まだ回数重ねてないし、とにかく念じるしかやり方が分からないが…。
動け…!動け……!動け!!
「動けッ…!」
ぺとっ
「!!」
動いた!動いたぞ!
「ぽむっぷるる…」
人生でこんなに達成感を感じたことは無い。というか努力して褒められた試しもない。
「ぷよふよ…」
…コイツかわいいな。いずれは喋れるようにさせたいなぁ。
「ぺちぺち」
戸惑うようにそこらじゅうを這い回るソレを撫でてみる。あまり複雑な意思は持って無さそうだ。
「よしよし…」
「ぷるっ」
まだ能力的には余裕があるので、コイツに力を分けておくことにする。まあどういう生き物?なのかさっぱり分からないけど、僕の頼れる仲間として働いてもらおう。
「ぺとぽと!」
ほんとにかわいい。
「名前…付けなきゃな。」
そう言って腕で抱えあげてみる。意外と重いがほぼ水だと思えば確かに妥当だ。
「ぺと」
「お前は…そうだな、ぺとぺといってるから…『ペトラ』だ!」
「ぺとぺと!」
顔がないのにかわいい。この世界に来てから初めてこんなに救われた気分になった気がする。僕の親もこんな気持ちだったのだろうか…いや、絶対にないだろうな…うちの親だけは。
「ぺと…?」
「…お前は心配してくれるのか、ペトラ。」
「ぺち!」
腕の中でモゾモゾと動くペトラに、ますます愛情が湧く。その時だった。
こつ、こつ、こつ、こつ、と近づく足音。シルバーだ。そうだ脅かしてやろう。
「ペトラ、ここで待っていてくれ。しーーっだぞ?」
「ぺと!」
風呂場から出て椅子に座る。きぃ…と扉が開く。だがその時出てきたのは、
全身血まみれのシルバーだった。
「…逃げ…」
言い切る前に、廊下全体を覆う黒い化け物がシルバーを攫う。
「…嘘だ…。」
とにかく逃げなくては…!
「ペトラ!おいで!」
「ぺと!」
ペトラを呼び、二人で廊下を走る。ここへ来る時に見たものとは全く違っていた。
「一体何が…!」
そんなことは分かっている…!戦争だ!戦争なんだ!!
「とにかく、外へ行こう…。」
今は考えるヒマもない。