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数日後――
放課後
愛空「……」(校門を出て、少し周りを見る)
(……いない、っすよね……)
愛空「……」
(まぁ、毎回いるわけねぇか……)
少しだけ肩を落とす
愛空「……帰るか……」
歩き出す
その時――
見覚えのあるスーツ姿
愛空「……あ」
知枝「……」(こちらに気づく)
一瞬、目が合う
愛空「……ちとせさん」(少し嬉しそうに近づく)
知枝「……愛空さん」
だが
その表情は、少しだけ固い
愛空「……どうしたんすか、そんな顔して 」
知枝「……いえ」
短い返事
愛空「……」
(あれ……なんか……距離……)
愛空「……今日も通りがかりっすか?」(少し笑う)
知枝「……違います」
愛空「……お、珍しい、正直っすね」
知枝「……話があって来ました」
愛空「……話?」
知枝「……少し、いいですか」
人気の少ない場所
静かな空気
愛空「……なんすか、改まって」
知枝「……」
一度、目を閉じて
知枝「……これ以上、会うのはやめましょう」
愛空「……え」
一瞬、理解が追いつかない
愛空「……は?」
知枝「……あなたは高校生です」
知枝「私は社会人です」
知枝「……関わりすぎるべきではありません」
愛空「……」
(……何言ってんだ……)
愛空「……なんで……急に……」
知枝「……急ではありません」
知枝「……最初から、そうするべきでした」
愛空「……」
少しだけ、イラッとする
愛空「……じゃあなんで……」
愛空「……あんなことしたんすか……」
知枝「……あんなこと?」
愛空「……看病したり……手、繋いだり……」
愛空「……優しくしたり……」
愛空「……期待させるようなこと、したじゃないっすか……」
知枝「……」
一瞬、言葉が止まる
知枝「……それは」
知枝「……あなたが体調を崩していたからです」
愛空「……」
愛空「……それだけ、っすか……」
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知枝「……はい」
はっきりとした返事
愛空「……」
胸の奥が、少しチクっとする
(……なんだこれ……)
愛空「……じゃあ……」
愛空「……俺といるの、嫌なんすか……」
知枝「……嫌ではありません」
即答
愛空「……じゃあなんで……」
知枝「……だからです」
愛空「……?」
知枝「……嫌ではないからこそ、距離を取るべきなんです」
愛空「……」
(……意味わかんねぇ……)
愛空「……俺、別に……」
愛空「……ただ、ちとせさんといると落ち着くっていうか……」
愛空「……男友達みたいな感じで……」
知枝「……」
その言葉に
ほんの一瞬だけ、表情が揺れる
知枝「……そうですか」
少しだけ、静かな声
知枝「……それなら、なおさらです」
愛空「……は?」
知枝「……私は、あなたの“男友達”にはなれません」
愛空「……なんで……」
知枝「……大人だからです」
愛空「……」
(……それ、理由になってるか……?)
愛空「……意味わかんねぇっすよ……」
知枝「……でしょうね」
知枝「……ですが、これで終わりにしましょう」
愛空「……っ、」
言葉が出ない
知枝「……今までのことは忘れてください」
愛空「……無理っすよ……」(小さく)
知枝「……」
知枝「……では、失礼します」
背を向ける
歩き出す
愛空「……ちとせさん!」
足が止まる
だが、振り返らない
愛空「……俺……」
愛空「……なんなのか、まだ分かってないっす……」
愛空「……でも……」
愛空「……会えなくなるの、嫌っす……」
静寂
知枝「……」
わずかに拳を握る
それでも
知枝「……忘れてください」
そのまま歩き去る
愛空「……」
一人、残される
愛空「……なんだよ、それ……」
胸がざわつく
愛空「……男友達じゃ、ダメって……」
愛空「……じゃあ……なんなんだよ……」
その答えに
まだ、名前はついていない