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「……嫌…..だ…..」
深澤は、岩本の腕の中で、小さく、震える声で呟く。
「ふっか…..俺は、ふっかのこと捨てたりしないよ…..」
深澤の考えてる事などお見通しだと言うように、岩本は深澤の頭を撫でながら言う。
安心させるように、優しい手で。
でも、もう片方の手は深澤を離さないように、強めの力で抱きしめる。
(……..ど、して……)
岩本に抱かれながら、深澤は思う。
(…..優し….すぎるんだよ….?)
こんなにも汚れている自分を、醜い自分を離そうとしない。
深澤には、それが、その優しさがひどく辛かった。
(深澤視点)
俺が…..もっと早く….
照に、みんなに、全部言えてたら…..
笑顔以外のことができてたら….
大丈夫以外の言葉を言えてたら….
こんなことにならなかったのかな….?
あの人と、出会う前に….
照と出会えてたらな…..
そしたら、なにか変わってたのかな….?
どこから、間違えちゃったんだろ….
俺は….
ちっちゃい頃に、俺の腐った才能を自慢して…
式神使いっていう能力に酔って…..
ひたすら、前に出たがって….
それで、誰かの役を奪い続けて…..
それに気づいた時に、俺は逃げて…..
誰にも嫌われないように、目立たないように、後ろで笑顔の仮面をつけて笑って…..
あの人の言葉に、救われた気になって….
それが、救いじゃないことなんて….
ほんとはとっくに気づいてたのに…..
甘い言葉に溺れて…..
今も、俺は真剣に向き合ってくれてる照に、真剣に向き合えてない…..
本当に、救われるべきじゃない….
俺は、救われちゃいけない人間なんだよ….
だから….
「もう….いいよ…..」
俺の中で、ずっと渦巻いてた気持ち悪いが、弾ける音がした。
(やっぱり、あべちゃんの能力はすげーんだよな。)
大烏の姿に変身した佐久間は、男に追いかけられながら、そんなことを思っていた。
阿部の能力、hack。
この力は、きっとこの先誰も使えないだろう。
佐久間は、知っているのだ。
この技は、阿部が戦闘に不向きなことを悩んで悩んで、悩んだ上で生み出した技であることを。
~数日前~
深澤が、男に奪われてから何日か経った日。
佐久間は阿部から呼び出されていた。
『話したいことあるから、明日家来れる?』
阿部から送られた一文。
これだけで、佐久間はなんとなくわかっていた。
きっと、深澤を救うための解決策が浮かんだんだ、と。
「あべちゃ~ん!来たよー!」
「佐久間!来てくれてありがと。お店は大丈夫?」
「今日はバイトの人が来てたから、人手不足とかの問題はないよ。」
そんな会話をしながら、2人は阿部の家に入る。
「それで、今日はどしたの?」
阿部が用意してくれたジュースを飲みながら、佐久間は分かりきった質問をする。
一応、自分の予想が合ってるかどうかを確認するために。
「やっと、思いついたんだ。俺にしかできないことが!」
満面の、勝ち誇るような笑顔で阿部は、佐久間に技の説明をする。
「hack…..いや、めっちゃ強くないこれ!?」
阿部の説明を聞いた佐久間は思わず叫ぶ。
能力を最大限まで強化するなんて、前代未聞なのでは?
佐久間が興奮気味に阿部の顔を見てると、
「でも、ちゃんと制限はあるよ。」
にこにこと笑いながら答えてくれる。
「まず、この能力はたぶん、佐久間にしか使えない。」
阿部は、指を1本立てる。
「え?なんで??」
佐久間は目を丸くして言う。
「さっきも説明した通り、本当に信頼してる相手にしか使えないんだよ。相手のこと、相手の能力を熟知してないと最大限まで引き出せない。」
「あー、にゃるほどね!」
佐久間は納得したように頷く。
「そして、もう1つ。これは定番だけど、1回使ったらしばらく使えない。だから、使うタイミングが肝心になってくる。」
阿部は、もう1本の指を立てて、ピースのかたちを作る。
「でも、制限はここの2つだけ。だから、結構神スキル。」
阿部は、その手をフラフラと揺らしながら笑う。
「いや、すごいよ!!ほんとにすごい!!」
佐久間は、阿部の手を掴んで笑う。
佐久間は、ずっと試行錯誤する阿部を見てきた。
佐久間にとって、そんな阿部の努力が報われる瞬間がいちばん嬉しいのだ。
(だからこそ、あべちゃんの力を無駄にしない!!!)
佐久間は、大烏の力はたしかにコピーした。
だが、動きまでは完全にコピーできる訳ではない。
「さすが大烏だ!小さくなってもその力を発揮し続けるとは!」
男は夢中になって、”佐久間”を追いかける。
(まだ、バレてない….このまま、バレずにできるだけ照とふっかから離れた場所に…!!)
佐久間は、少し焦ってはいた。
本当は、何度も男の攻撃に当たりそうになっていた。
何とか誤魔化せているようだが、バレるのは時間の問題ではあった。
(あべちゃん…..うん、大丈夫だ….!あべちゃんが、俺のことを信頼して使ってくれた能力….!俺にしかできないこと!!俺とあべちゃんだからできること!!)
佐久間は阿部のことを考えながら、飛ぶ速度を速めようとする。
…..が…..
佐久間だけではない、男も、佐久間を追いかけていた阿部と大烏も….
「….え….?」
「なに、あれ…..?」
式神を引き付けていた5人も、5人を襲っていた式神も….
全てが、岩本と深澤がいるはずのビルを見て固まる。
ビルから、今まで感じたことの無い気配がしていた。
渦巻く黒い影は、見るだけで不快感を与えるような気配を持っていた。
それが、だんだんと形を作っていく。
影が縦長に、太く伸びていく。
とんでもないものが来る….
その影が、形を作っていく間、誰も動けずに、それだけを思って動くことができなかった。
影は、体表を鱗で多い、それが何かがわかってくる。
「……龍…..?」
佐久間、阿部、宮舘、渡辺、目黒、向井、ラウールは、現れた影を、龍と認識するのが限界だった。
「……おもしろい….!!あれに、あそこまで力があったのか!!!」
唯一、あの龍が何なのかを理解しているうちの1人である男は笑う。
〖…….〗
同じく理解している大烏は、焦っているように見える。
あの龍は、伝説の大烏よりも強い力を持っている。
これだけは、確かなことだった。
そして、唯一、龍が現れるのを間近で見ていた岩本は…..
「…..ふっ….か….?」
目の前で、深澤の身体から龍が”生まれる”瞬間を見ていた。
「もう….いいよ…..」
そう、深澤が小さく、だが、確かな力を込めて言った時。
深澤の身体から、”何か”が吹き出した。
「!?ふっか….!?」
岩本は、急な出来事に困惑し、
深澤のことを、また、離してしまった。
深澤の身体から、黒いを超えた黒い影が溢れ出す。
それは、深澤が”今まで抱え込んできた闇”を具現化したもの。
止まることなく、どんどん溢れ出ていく。
これだけのものを、ずっと抱え込んできた。
抱え込みきれなくなった気持ち悪いが、今、爆発している。
「…….ひ、かる……?」
「…..っ!」
しばらくして、闇を外に放出をしたおかげか、深澤は、岩本のことを、微かな光の点った瞳で見つめる。
「…..ふっか!!危ない!!!」
岩本は、深澤が戻ってきた驚きで、行動が遅れてしまった。
急いで手を伸ばす。
….が
「…….ぇ….?」
深澤が、後ろを振り向いた時には、龍の姿は完成していた。
そして、そのまま….
「……っ…..!!」
深澤を飲み込む。
〖ッッッ!!!!〗
龍は、雄叫びをあげながら空へ登っていく。
岩本は、何が起こったのかが、全く理解できない。
深澤の身体から龍が生まれたことも。
深澤が1度だけ戻ってきたことも。
龍に飲み込まれたことも。
ただ、
“また、手を離してしまった後悔”のみが、理解できたことだった。
「!照!!!」
「何があったの!?」
「ふっかさんは….!?」
岩本の元へ、式神を引き付けていた5人が合流する。
異常事態に焦りながら、急いで、岩本への状況説明を求める。
だが…..
「また、間に合わなかった…..」
岩本は、自分の手のひらを呆然と眺めて、項垂れるしかできなかった。
「…….“あれ”が手に入れば….ふははははは!!!あの龍の力は、伝説をも超えるのかっ!!おもしろい!!欲しくなった!大烏など、もういい!!手に入らないものを追いかけるよりも、1度手に入れたものを取り返す方が早い!!!」
焦り、混乱、恐怖のなかで、男だけは、さらなる力を見つけて興奮する。
男は、力しか見ていない。
あれだけ執着していた大烏も、それを超える力を見つけたら興味が薄れてしまったのだ。
〖….なんだよ…それ….!!〗
佐久間は、大烏に変身しているのも忘れて男に叫ぶ。
「…..偽物….君達には、後でゆっくり話を聞く必要がありそうだ…..だが、そんなことどうでもいい。」
男は、不快そうに顔を歪めるが、すぐに龍へ視線を向ける。
〖ふざけんなっ!!!〗
佐久間は、男に攻撃しようとする。
だが….
「…..っ!!!」
その瞬間、能力が解ける。
佐久間がいるのは、空中。
そして、佐久間は飛べない。
「佐久間!!」
〖カァ!!〗
勢いよく落ちていく佐久間を、阿部と大烏で何とか捕まえる。
「早く、照のとこに行こう….」
「…..うん。」
阿部の焦る横顔を見て、佐久間も男への怒りを一旦放り投げて、2人と大烏も、岩本の元へ向かう。
(岩本視点)
…….また…..まただ….
また、届かなかったんだ…..
もう離さないって…..絶対に手を…離さないって決めてたのに…..
いつも、いつも届かないんだ…..
何回、手を離して届かなかった?
今までで、どれだけ俺はふっかの笑顔を取り戻す機会を逃した?
何回、俺は…..
目の前でふっかを失うんだ….?
「ひ、かる…..」
「……その…..」
岩本と合流した5人は、項垂れる岩本にかける言葉が見つからなかった。
岩本からの状況説明はない。
だが、岩本の様子を見たら理解してしまう。
理解できてしまう。
岩本は、また深澤を目の前で失ったのだ。
それがどれだけ悔しくて、苦しいか。
5人は、ここからだよ。深澤のことを取り戻そうなど、軽い言葉などかけられなかった。
「照!!」
「何があったの!?」
そこに、佐久間と阿部も合流する。
こちらも急いで岩本に状況説明を求めるが….
「……」
岩本だけではない、他5人の沈黙が物語っていた。
「…….ふっか…は…?」
阿部はその重い空気の中、話を進めるために言葉を発する。
だが、
「…….」
岩本は、力なく首を横に振る。
「…….そっ…か….」
阿部も、これ以上話を進められなくなる。
これ以上は、岩本がしんどいだろう。
沈黙が続く。
“絶望”。それだけが空気を支配する。
誰も何も発せない状況。
進むことを止めてしまった8人。
誰もが、もう間に合わない….
そんな空気で染まってしまった。
だが、諦めてしまった8人を見て、静かに大烏は決意する。
〖…..諦めるのか?そなたらは….〗
唐突に、凛とした声が響く。
メンバーの声ではない。
もちろん男の声ではない。
だが、聞いたことのある声。
「…..大烏…..?」
過去の世界を見た時に聞いた、大烏の声だった。
「嘘…..喋って….?」
「ホンマに喋れたん….?」
困惑しながら、大烏に注目が向く。
〖我の最後の力である。この力を、そなたらに使っているのだ。その意味….わかるであろう….?〗
大烏は、最後に残された力を使って、8人に語りかけている。
その意味…..
〖我は諦めていない。主は、まだ諦めていない。〗
「…..っ….!」
大烏の一言で、その場の空気が変わる。
深澤はまだ、諦めていない…?
〖主が、諦めていないと言っているのだ。だが、そなたらは諦めるのか?〗
大烏はたんたんと言葉を発する。
〖このまま、そなたらが諦めるのならば、我はそれを止めない。だが、そなたらが主を救うと願うのならば….我は最後までそなたらを守り切ろう。〗
大烏は、主である深澤を救う為ならば、”8人に命をかける”覚悟ができている。
「….なんで、そこまで俺らに…?」
自分たちに命をかけるとまで言う大烏に、岩本は問いかける。
深澤を救うためだとしても、そこまで自分たちに協力的な理由はなんだ?
〖我は、主と共に”そなた”を見てきた。〗
大烏は、岩本をしっかりと見つめて言う。
〖我は、主がそなたに感じていたものも、全て知っている。〗
〖…..我は、主を守ることはできる。だが、主を”救うことはできない”。〗
そして、はっきりと大烏は言い切る。
そして、岩本に、少し縋るような眼で…
〖そなたにしか、救えないのだ…..〗
岩本にしかできないことなのだと。
(深澤視点)
ここ….どこ….?
身体の感覚がない….
なんか、浮いてる気分だなぁ….
宇宙に実際行ってみたらこんな感じなのかな…?
はは….くだんな….
何考えてんのかもよくわかんねーじゃん….
ちょっと真面目に考えてみるか。
さっきまで、何してたんだっけ?
さっきまで、誰かと話してた!
誰と?
誰だっけ?わら
なんの話?
覚えてないや!わら
「あはっ….なーんも覚えてねーじゃん….ははっ….」
なんか、ひとりでこんなことしてて虚しくなってくる。
そもそも、ここどこなんだろ?
周り暗くてなんも見えないし、音もない。
自分の声だけが響いてる。
そう、俺の声だけが。
『目立っちゃダメだ…』
『前に出ないように….』
『そっか….笑ってればいいんだ…』
『…..疲れたな….』
『お願いだから….誰か、俺のこと見て…..!!』
『もう、どうでもいいよ…』
『楽しいのに、辛いんだよ….!』
『なんで…』
『苦しい….』
『気持ち悪い…』
『消えたい….』
『この….っ、役たたずがっ….!!』
『….なんで、俺は救われないの….?』
なんかやだな~….
俺の声だけ響くって。
すんげー、気持ち悪いよ。
いいよ。
今、なんでか分かんないけど俺は気分がいいの。
その質問、答えてあげるよ。
なんで救われない…だって?
お前が、救われるべき人間じゃないからだよ。
自分でもわかってんだろ?
これまで自分のしてきたこと。
どれだけの罪を背負ってきた?
誰かの役を奪って、傷つけて….
そんな最低野郎が救われたい?
馬鹿じゃないの?
そんなことあっていいわけないんだよ。
その苦しみが、お前への罰なんだよ。
今まで犯してきた罪への罰。
それを、お前は一生背負ってく。
当たり前のことだよ。
なに、考えてんの?
「…..ぁ….そっかぁ♪俺、さっき捨てられたんだっけ…?」
捨てられた….?
捨てられた………
「……….」
いらない….んだ….
そもそも俺に、これからも罰を背負ってくっていうのもないのか。
そういえば、浮いてる感覚するのって….
「俺、死んじゃったのかな….?わら」
だったら、いいな…..
でも、それも”逃げ”ではあるのか….
「ほんっとうに….どうしよーもないクズ野郎だ…..」
こんな俺が、救われるなんて、絶対だめだな….
『…….っ…..か…….ょ…..か….ら…..』
…..?
なんか聞こえる….
俺の声じゃない。ノイズがかかった、”誰か”の声が聞こえる。
「……今更……なんだよ…..」
不覚にも、この声に耳を傾けようとした自分が馬鹿馬鹿しくなる。
救いなんて、求めんなって言ってんのに….
「んん~!もう、どうでもいいやっ!!」
軽く自暴自棄になりながら、感覚のない身体をふよふよと動かしてみる。
…..そうじゃないと、声が聞こえてしまいそうだから…..
「照!!今!たしかに龍が反応したっ!!」
「ちゃんと、ちゃんと届いてるからっ!!!」
佐久間と阿部の声を聞いて、岩本は希望を灯した瞳で、龍の中にいる深澤を見つめる。
「……ふっか….待っててね…!」
龍の外側。
8人と大烏は、外から龍に呼びかけ続けていた。
大烏の言葉のおかげで、8人は立ち上がることができた。
深澤はまだ諦めていない。
なら、自分たちも諦めるわけないだろう?と。
救う覚悟はできた。
あとは作戦が必要だ。
だが、その作戦にも大きな壁がある。
「でも、どうやってふっかさんのとこに行けば…」
そう。ラウールの言うように、龍に飲み込まれた深澤の元へ向かう方法がない。
「…..食われるしかないんじゃねーの…?」
渡辺は、いたって真剣な顔で言う。
「それじゃ危ないから、どっかに穴開ければいいんじゃない?」
目黒も真剣な顔で言う。
「真面目な顔で何言うてんねん!」
2人のぶっ飛んだアイデアにつっこむ向井。
少しずつ、いつもの調子が戻ってきてる。
こっちの調子に戻ったのなら、無理に緊張しなくていい。
“いつも通り”やればいい。
〖おそらく、あれは闇の式神だ。〗
大烏は、8人が上手く進めるようにサポートをする。
〖我は、光….希望の式神として、この世に生まれてきたのだ。〗
「そっか、式神って誰かの強い想いから生まれてくるものもいるんだよね。」
阿部は、何かの文献で読んだことがあるのだろう。
大烏の話に納得する。
「…..ふっかの強い思いから、あの龍は生まれたんだ。」
岩本は、納得したように頷く。
大烏も、頷きながら話を続ける。
〖恐らく。主の秘めていた闇から生まれた式神である。我に込められた想いとは相反するもの。我が主を救えない理由でもある。〗
大烏と龍。
希望の想いと絶望の想い。
その上、龍は大烏よりも力を持っている。
きっと、大烏が正面で戦えば、龍の闇に飲み込まれていた。
〖だが、中に入る必要はない。〗
大烏は、はっきりと言い切る。
「…..中に入る必要ない….?」
宮舘が不思議そうに首を傾げる。
「それじゃ届かなくない?」
佐久間も大烏に聞く、が….
大烏は答えない。
つまり、これは自分たちで考えるべきこと。
「….とりあえず、役割は決めちゃおうか。」
1度話題を切り替えて、役割について決めることにする。
「男についてなんだけど、さっき式神を担当した5人に頼んでもいいかな?」
阿部が、5人に問いかける。
「….ぇ?いや、いやいやいやいや…俺ら、あいつのこと止めらんねぇって!!」
渡辺は急いで拒否する。
「ほんまに言うてるん?俺らで止められるかわからんで?!」
向井も、男を自分たちで止められる気がせずに拒否する。
「いや、大丈夫。あいつ、”そんな強くないから”。」
佐久間は、そんな2人に安心させるように言う。
「あいつは今、龍に夢中。俺らのことなんて見えてないからさ♪」
親指を立ててウィンクをすると、2人も少し安心したようだ。
そして、佐久間はふっ、と表情を変えて….
「それにさ、俺の分までめいいっぱい殴ってきてよ。」
怒りを滲ませる笑顔で冷たく笑う。
「……お、おう…..」
「……そ、そやね…..」
渡辺と向井は、ひきつり笑いを浮かべるしか出来なかった。
「…..で、俺と佐久間は、大烏と照のサポートにしよう。」
「了解であります!」
一方で、阿部と佐久間はサポートに徹することにする。
「俺らが全力でサポートする。こっちだって命かける覚悟できてるんだから。」
阿部は、岩本に視線を送る。
阿部の真剣な瞳。
「…..ありがとな。」
岩本は、阿部には感謝してもしきれないと思う。
阿部と同い年というのもあって、深澤の次に相談がしやすかった。
深澤の違和感についても、阿部が岩本に話してくれたから、岩本もより意識できるようになった。
今だってそうだ。
だからこそ、岩本は次は絶対に失敗できない。
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