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涼香視点
…間に合わなかったか。
とっさに、左手を隠す。
「涼香、どうしたの?これ。」
血まみれの床を見て、心咲が言う。
…ごまかせないかな
「…な、なんでもない。」
「ふーん?」
心咲が部屋の中に入ってきて、左腕を掴まれる
「じゃあ、これは何?」
…やめてっ見ないで…
汚いから…
「!?心咲っ、やめて…」
傷口から、血が零れていく。
心咲が、何やら深刻な顔をしてる。
…やっぱ困らせちゃったな
だから、隠れてやってたのに。
心咲の目に、どんどん涙がたまっていく。
…あー泣かないでよ…
泣かせたかった訳じゃないのにな
ギュッ
突然、心咲に抱き締められる。
その肩が、震えていることに本人は気づいてないんだろうな。
「…涼香、そんなに僕、頼りなかったかな…?」
違う!
「…ち、ちがっ…」
心咲には、心配かけたくなかったから言わなかったんだよ。
…まあ、結果的に心咲を苦しめちゃったけど。
「涼香の辛いこと、僕にも分けてよ…」
…気持ちは嬉しいけど、この苦しさは、心咲には体験させたくないかな。
「心咲、ごめんね。」
「…もう大丈夫だから、寝よ?」
「私はここ掃除したら寝るから。」
早く、心咲を寝かさないと…
心咲、明日早いんだから。
「…も、もう、切らないで…」
震えた声で言われた、予想外の言葉に驚く。
…なんで、わかっちゃうのかな。
また切ろうとしてたって。
「…お願いだからッ」
…泣かないでよ心咲。
私は心咲に笑っててほしいんだから。
「…うん。もう、切らないよ。」
「約束する。」
今日は、ね。
「本当に?」
疑うねぇ…
「うん。絶対。」
「わかった。」
「…じゃあ、おやすみ。」
おやすみ心咲。良い夢を。
「うん。また明日。おやすみ心咲」
…明日、自分が冷たくなってたら、心咲はどうするだろうか。
仕事も、迷惑かけちゃうよね。
…もう少し、頑張ろう。
…朝だ。
朝焼けが綺麗だな…
一日の中で一番綺麗な時間は、早朝なんじゃないかと思う。
…本当は、今すぐにでもこの町に飛び込んじゃいたい。
……………
そんなこと考えてる場合じゃないな。
心咲の朝ごはん作ろう。
キッチンに立つ。
…心咲が仕事、がんばれますように。
そんな思いをこめて朝ごはんを作る。
カチャッ…
あ、心咲起きた。
…なるべく笑顔で迎えよう。
パタパタ…ガチャッ
「心咲、おはよう。」
「朝ごはんできてるよ。」
ちゃんと、笑えてる…はず。
「ありがとう!」
「いただきます」
ん。良かった。
ちゃんと笑えてたね。
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心咲視点
ピピッ…ピピッ…
いつものアラームで目が覚める。
…そうだ、涼香大丈夫かな
急いで着替え、リビングに向かう。
ガチャッ
「心咲、おはよう。」
「朝ごはんできてるよ。」
いつもの、涼香がいた。
「ありがとう!」
「いただきます」
…無理して、笑ってるようには見えない。
もう、昨夜みたいなことにはなりませんように。
そんなことを考えながら、朝ごはんを食べた。
「ごちそうさま!」
美味しかった。
「じゃあ、行ってくるね。涼香。」
もちろん、一人にすることに不安はある。
けど、僕は仕事に行かなきゃ…
「うん。行ってらっしゃい。」
「気をつけてね。」
少し不安を残しつつ、職場に向かう。
今日も頑張ろう。
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涼香視点
「ごちそうさま!」
おー!完食してくれた!
「じゃあ、行ってくるね。涼香。」
少し、不安そうな顔してる…?
気のせいかな。
「うん。行ってらっしゃい。」
「気をつけてね。」
さてと…
…メール確認しなきゃ…
あ、○○さんのやつ、今日中に終わらせなきゃ…
なんてことを考えながら、自室に向かう。
メールは…
あ、来てないか。
よし、作業しちゃおう。
…終わった。
このシーンを入れたから、もう怒られないよね?
○○さんに送って…
よし!
昼ごはんにしよう。
そういえば、朝ごはん食べてなかったな…
まあいいや
昨日の残りのシチューを温めて食べる。
…やっぱ心咲の料理美味しい。
「…ごちそうさまでした。」
食器を片付け、部屋に戻る。
…メール、来てるだろうか
あ、メールきてる。
差出人は…
「○○さん」
…何てきてるかな
メールを開くと…
「あのさあ、
あのシーン入れろとは言ったけどさ、
動画の尺長すぎない?
それに、△△のシーンも削られてるし。
長くなるなら、面白いシーン削るなよ。
やっぱお前、生きてる価値ないわ。
早く直せよ。 」
…やっぱりか。
…もう無理だ。
…全部、投げ出しちゃおう。
…そうだ、どうせなら、一番綺麗な時間にいこう。