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stpl 水赤 様 微 紫橙緑 様
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日本語おかしい
俺は歌い手グループのリーダーだ。
……って言っても、別に偉いわけじゃない。
最年少だし、泣き虫だし、メンバーに助けられてばっかりだ。
その中でも。
一番、頼ってしまうのは――あいつ。
「……なあこえ、今日の配信、声ちょっと震えとったで」
関西弁で、ちょっと低めの声。
無駄にかっこいい顔で、無駄に色気のある目で、俺を見る。
「べ、別に震えてないし。気のせいだし」
「気のせいちゃうわ。れる、毎日お前の声聞いとんねんから」
ずるい。
そうやって、さらっと特別みたいな言い方するの、ほんとにずるい。
れるは同じグループの歌い手。
クールで、ツンデレで、口悪くて。
でもいざという時、絶対俺のこと一番に考えてくれる。
俺の、いちばんの弱点。
「……今日、コメント欄荒れてたの気にしとるんやろ」
図星を刺されて、喉が詰まる。
リーダーなのに。
最年少のくせにリーダーやってるって、よく言われる。
「可愛いだけ」「実力ない」って。
わかってる。
俺が一番、わかってる。
「……気にしてない」
「嘘つけや」
そう言って、ぽん、と頭を叩かれる。
優しい手。
悔しくて、でも安心して、胸がぎゅってなる。
「……なんで、れるが一番わかるの」
小さく呟いたら、あいつは少しだけ目を逸らした。
「……知らん」
嘘だ。
ほんとは、わかってる。
れるが、俺のことよく見てるってことも。
でも、俺らは付き合ってない。
ただの、グループメンバー。
ただの、相棒。
なのに。
心臓は、こんなにうるさい。
その夜。
俺は通話をかける。
「もしもしー?こえくん?」
甘くて高い声。
ショタボイスで有名な歌い手、ゆうくん。
でもちゃんと成人ているし、 中身はめちゃくちゃしっかりしてる。
「……今日さ」
俺が少し落ち込んでるの、すぐわかる。
「またれるちのこと?」
「っ……違うし」
「でも最初に頼るのはれるちだよね」
ぐさっ。
「だって……」
だって。
俺が一番弱いとこ、見せられるの、れるだけだから。
「好きなんでしょ?」
「ち、ちが……」
否定しきれない。
通話越しに、くすっと笑われる。
「大丈夫だよ。両想いっぽいし」
「は!?」
「だってれるち、こえくんの話するとき声変わるもん」
……それ、俺も知ってる。
知ってるから、余計に怖い。
もし勘違いだったら?
もし俺だけだったら?
翌日。
スタジオで、あいつに会う。
「目、腫れとるやん」
「泣いてない」
「嘘や」
ぐいっと顎を掴まれて、顔を上げさせられる。
近い。
近すぎる。
「……離して」
「嫌や」
え。
「……れる以外に泣き顔見せんな」
心臓が止まる。
「なんで……」
「……れるがムカつくからや」
視線が絡む。
言葉にできない何かが、空気を重くする。
触れそうな距離。
101
でも、触れない。
「……こえ」
低く、名前を呼ばれる。
俺は、たまらなくなって。
「……れるのせいだからな」
「は?」
「俺が弱くなるの、全部れるのせい」
そう言って、逃げるみたいに背を向けた。
背中越しに聞こえた、小さな声。
「……れるもや」
振り向けなかった。
もし振り向いたら、
全部壊れそうで。
一方その頃。
ゆう・くに・こったろの三人は。
「こえくん、絶対にれるちのこと好きだよね」
「うん、間違いないね」
王子様系のくにが微笑む。
「でもあのれるちも相当だぞ」
最年長のこったろが笑う。
三人は恋人同士。
ゆうが受けで、くにとこったろが攻め。
「賭ける?どっちが先に告白するか」
「たぶんどっちもしないと思うけど」
「同時に爆発しそうだよねぇ」
三人は笑いながら、次のコラボ配信の準備をしていた。
そして俺は知らない。
あいつが、その夜。
くにとこったろに相談してることも。
「……あいつを、他の奴に取られたられる、ほんま無理や」
珍しく弱音を吐くれる。
「素直になればいいのに」
「なれたら苦労せんわ」
こったろが肩を叩く。
「いざって時は守るんだろ?」
「……当たり前や」
即答。
その言葉だけは、迷いがなかった。
俺たちはまだ、付き合ってない。
でも。
たぶんもう、後戻りはできない。
続く。