テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
激毒の閃光と、黒銀の質量が激突した。
轟音とともに凄まじい衝撃波が弾け飛び、神々の庭園だった大地の残骸が、紙くずのように宙へ巻き上げられていく。
その中心。
テラモンの前に立ちはだかっていたのは――1x1x1x1だった。
半透明の緑色の身体は怒りによって激しく明滅し、その内部に透けて見える黒い肋骨が、ギシギシと不気味な音を立てている。
全身から噴き上がる濃緑色と漆黒の炎は、まるで怒りそのものが形を得たかのようだった。
頭には、前面に鮮烈な「X」の刻まれた緑のドミノ・クラウン。
その下で輝く真っ赤な瞳は、これまで見せたこともないほど凶暴な怒りに染まっている。
そして肩には、テラモンから贈られた赤いケープ。
そのケープを激しくなびかせながら、1x1x1x1は両手でヴェノムシャンクを握りしめていた。
刃の向こう側にいるのは――ハックロード・シェドレツキー。
「ガァァァァァッッ!!」
ハックロードのマスクの奥から、獣とも機械音ともつかない重低音の咆哮が響く。
黒銀の大剣とヴェノムシャンクが激しく擦れ合い、緑と紫の異常なノイズが周囲へと飛び散った。
ハックロードは目の前の小さな異形を睨みつける。
彼の世界にも存在していた。
いや。
彼自身の憎悪によって、取り込まれたことすらある存在。
1x1x1x1。
しかし――目の前にいるそれは、ハックロードの知る1x1x1x1とは明らかに違っていた。
ただ世界を腐食させるだけの存在ではない。
ただ憎悪を撒き散らすだけの怪物でもない。
その炎の奥にあるのは、剥き出しの執着。
激しい嫉妬。
そして――身を投げ出してでも守ろうとする、防衛本能だった。
1x1x1x1はハックロードの骸骨マスクを睨みつける。
そして、血を吐き出すような声で叫んだ。
「テラモンに……手ぇ出してんじゃねぇぞ、このクソ骸骨ッッ!!!!」
「1x……!?」
地面に倒れていたテラモンが、驚愕に目を見開く。
だが、1x1x1x1は振り返らない。
背中にいるテラモンの存在を確かに感じながら、ただ目の前の敵だけを睨みつけている。
そして――。
「勘違いするなよ、バカテラモン!!」
「……え?」
「俺はお前を助けたわけじゃねぇ!!」
1x1x1x1の炎がさらに膨れ上がる。
「勘違いしたら、その首跳ね飛ばすからな!!」
「いや、助けてくれたんじゃ……」
「うるせぇ!!」
テラモンの言葉を即座に遮る1x1x1x1。
そして、ハックロードへ向かって牙を剥いた。
「こいつを絶望させて、痛めつけて、引き裂いていいのは……この世界で俺だけなんだよ!!」
「……」
「お前みたいな、どっから湧いて出たかも分からねぇ変な骸骨マスクが、勝手に調子乗ってんじゃねぇ!!」
ヴェノムシャンクの刃が、毒々しい緑色に輝く。
「こいつは……」
一瞬だけ言葉に詰まる。
だが、1x1x1x1は拳を強く握りしめ――。
「俺の……神だ!!」
その叫びが、世界全体を震わせた。
「他の奴が指一本触れることすら許さねぇんだよッ!!」
「……ッ!!」
ハックロードの赤い眼光が、わずかに細くなる。
「俺の神」
その言葉に反応するかのように、ハックロードの背中に鎖で縛りつけられた巨大な棺が――。
ガタリ。
と、不気味に揺れた。
ハックロードは何も言わない。
ただ、声帯を失った喉から低い唸り声を漏らす。
おはうよp@6秒で殴る天才子役
3,532
2
#bl注意
ゆ♨️
3,683
327
そして――。
ブンッ!!
黒銀の大剣が横薙ぎに振り抜かれた。
「うおおおおおッ!!」
1x1x1x1の身体が吹き飛ぶ。
ズザザザァァァッ!!
地面を何度も跳ねながら滑っていく。
しかし。
「……へっ」
1x1x1x1は片手を地面につき、勢いを殺しながら立ち上がった。
赤い瞳がギラリと光る。
「その程度かよ……クソ骸骨」
ヴェノムシャンクの先端を、ハックロードへ向ける。
半透明の身体を満たす緑の炎が、一気に燃え上がった。
対するハックロードの全身からも、漆黒と緑のエーテルが噴き出す。
二つの異形。
二つの「1x1x1x1」と、異なる世界のシェドレツキー。
互いの殺意がぶつかり合い、空間そのものが悲鳴を上げる。
「行くぞ、クソ野郎!!」
1x1x1x1が地面を蹴った。
「俺のテラモンに触ろうとしたこと……!」
一瞬でハックロードの懐へ潜り込む。
「その腐った骨の奥まで――」
ヴェノムシャンクを振り抜く。
「後悔させてやるッ!!」
ガァァァンッ!!
黒銀の大剣と毒の刃が激突する。
凄まじい衝撃が周囲を吹き飛ばした。
本来なら世界を滅ぼすために振るわれていた「毒のヴェノムシャンク」。
それが今は――たった一人の存在を守るために振るわれている。
ドゥームブリンガーとビルダーマンは、呆然とその戦いを見つめていた。
「お、おい……」
ビルダーマンが呟く。
「あの1x1x1x1って……さっきまで世界中を毒で壊してたんだよな?」
「はい……」
ドゥームブリンガーも目を丸くする。
「そのはずなのですが……」
二人の視線の先。
1x1x1x1は、ハックロードの猛攻を必死に受け止めながら叫んでいた。
「お前がどれだけ強かろうが知ったこっちゃねぇ!!」
大剣を弾く。
「俺の目の前でテラモンを殺させはしない……!!」
ヴェノムシャンクを振り抜く。
「絶対にだッ!!」
再び、二つの大剣が激突した。
ガギィィィンッ!!
毒の火花が空へ散る。
ハックロードは一歩も退かない。
1x1x1x1も退かない。
そこにあったのは――あまりにも歪で、あまりにも不器用な「愛」だった。
嫉妬。
執着。
独占欲。
そして、何よりも強い「失いたくない」という感情。
そのすべてを、1x1x1x1は毒と炎に変えて戦っていた。
その背中を見つめながら、テラモンはゆっくりと立ち上がる。
胸の奥が、焼けるように熱かった。
自分が生み出した最悪の悪意。
自分の恐怖から生まれた怪物。
自分を「大嫌いだ」と叫び続ける、ツンデレな影。
その存在が今――。
自分を守るために、命を燃やしている。
「……1x」
テラモンは小さく呟いた。
その声は、激しい戦闘音にかき消される。
だが。
1x1x1x1の赤い瞳が、一瞬だけこちらを振り返った。
「……見るな!!」
「……!」
「今の俺、めちゃくちゃカッコいいところだからな!!」
「……ふっ」
テラモンの口元に、思わず笑みが浮かんだ。
「そうだな」
1x1x1x1の炎が、さらに激しく燃え上がる。
「だから……」
テラモンは静かに、その背中を見つめた。
「無茶はするなよ、1x」
「うるせぇぇぇ!!」
叫び声とともに、1x1x1x1はハックロードへと再び突撃する。
その背中は小さい。
けれど――今のテラモンには、誰よりも頼もしく見えていた。