テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「未亜、厳しい」
「お飾りとして生きていくなら、そのままでもいいのです。でも、逃げるか立ち向かうかするなら、それなりの力が必要なのです」
何のことだろう。
でもその言葉は、美洋さんには通じたようだ。
美洋さんはちょっと間をおいて、そして小さく頷いた。
「そうですね、未亜が正しいのでしょう」
「ならよし。ところで、亜里砂さんとは誰なのですか? B組は、里出身者以外はあまり知らないのです」
「私も、名前だとわからないです。教室では、極力、姓の方で呼ぶようにしていますから」
何か美洋さんも色々ありそうだけれど、今はそっちの話題じゃ無い。
「姓は波紋さん。茶色い天然パーマに白い肌の、留学生風の子だよ」
美洋さんは、ちょっと考える。
「あ、ベジョータさん。でも、あの人の名前は確か、ハモン・デ・ベジョータ・イベリコって聞いたような気がするけれど」
未亜さん、先輩、そして運転中の先生まで吹き出す。
三人は意味がわかったらしい。
「それだと、最高級のイベリコ豚になってしまうのです」
代表して、未亜さんがそう説明。
その通りだ。
なら、説明してやるか。
「波紋さんの正しいフルネームは、波紋・セラーノ・亜里砂さん。日本人の波紋さんと、母親が結婚して、そういう名前になったんだって。で、本人は、ハモン・セラーノだと山育ちの白豚になってしまうから、どうせならもっと高級な豚ということで、イベリ子って勝手に名乗っている訳」
未亜さんが頷いた。
彼女は、いまので色々と理解したらしい。
「でも、どうやって、そういう生ハムな人と知り合ったんですか」
「夏に、学校のプールに通っていて知り合ったんです。夏休み、暇だったので、毎日、学校のプールに通っていたら、亜里砂も同じように通っていて」
この辺の紹介は、彩香さんに任せておこう。
魔女と明かしていいのかまでを含めて。
それにしても、未亜さんは、さすがに色々知っているな。
生ハムな人と言った辺りで、全て理解している事がわかる。
なお、美洋さんが理解出来ているかどうかは微妙だ。
その辺は、未亜さんに任せておこう。
「なら明日は、差し入れを持って行ってやるよ。だから昼飯は用意しなくていいぞ」
先輩が、そんな事を言ってくれる。
「なら、いくらか集めますか」
「大丈夫。ただベジョータ、いや亜里砂さんは何かアレルギーがあるかわかるか。それによって材料を調整するから」
やはりあの自称はインパクトが強すぎたか。
まあ、それはそれとして。
「確認してみます」
彩香さんが、スマホを取り出して、何か打ち込む。
すぐに返事があったようだ。
「アレルギーは無いそうです」
「ならいい。せっかく後輩が頑張っているんだ。久しぶりに、腕を振るうとするか」
「何を作るんですか」
先輩は、にやりと笑う。
「秘密。明日のお楽しみだ」
何だろう。
普通に考えたら、ビリヤニかカレーか。
でも先輩は、洋風も和風も作れるんだよな。
かなり上手に。
これはちょっと、楽しみだ。