僕は、カウンターの上で振動するスマホを手に取り、画面の相手の名前も見ずに通話ボタンをタップした。
相手の声が聞こえるよりも先に、声を出した。
「もしもしっ!渚ちゃ──」
「悪いな、俺だ」
スマホの向こう側から聞こえてきた低い声に落胆する。こんな時に何なんだ。
「……ごめんね大和、今非常事態なんだ。切るよ」
「いやいや、待てって。こっちだって非常事態起きてんぞ」
「なに?痴話喧嘩の相談ならまた今度」
「片桐さん、今目の前にいるんだが……」
「え」
喉の奥から引きつった声が漏れる。渚ちゃんが……?大和もどこか不安げな声色をしている。
一体どんな状況なんだ?
「渚ちゃんが目の前にいるって、なんで?」
「俺も仕事で出てたんだが、職場に戻るのに街中歩いてたら、たまたま目の前を片桐さんが歩いてて」
「うん」
「……今さっき、鼻の下伸ばした男とカフェに入ってった」
「はっ*************************
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