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君がいれば…
⚠️注意⚠️
🎲
nmmn
BL、オメガパロ
54番さん
依存系
俺は、ずっと拒んでいた。
まろの視線も、言葉も、俺にまとわりつく熱も。
「……俺に構うなよ」
吐き捨てるように言っても、まろは涼しい顔で笑うだけだった。
「なんや、そないに意地張って。俺のこと意識してんのバレバレやで」
「……してないし」
「ほんなら、なんで震えてんねん」
まろの指先が俺の手首を掴む。アルファ特有の体温が、皮膚の下にじわりと染み込んでくるみたいで、息が詰まる。
拒絶の言葉を繰り返すたびに、逆に深みにはまっていく気がした。
俺はオメガだ。発情期になれば、抗えない衝動に飲み込まれることくらい、自分が一番よく知っている。
だからこそ、まろに近づきたくなかったのに。
「ないこ。逃げんでもええやろ?」
耳元で囁かれた声は、やけにやわらかくて、底なし沼みたいに甘かった。
胸の奥で、何かがきしむ。
俺は必死で心を守ろうとした。けれど、そのたびにまろは隙間に指を差し込むように俺を揺さぶってくる。
「お前、ほんま可哀想なやつやな。強がって、誰にも甘えられへん。……せやから、俺がぜんぶ面倒みたる」
俺の否定は、もう声にならなかった。
喉の奥で震えるだけで、口から出るのはかすかな息。
気づけば俺は、まろの胸の中に押し込められていた。
閉じ込められたみたいに。
……いや、もしかすると俺自身が、そこから逃げたくなかったのかもしれない。