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BL、オメガパロ

54番さん

依存系














俺は、ずっと拒んでいた。

まろの視線も、言葉も、俺にまとわりつく熱も。


「……俺に構うなよ」

吐き捨てるように言っても、まろは涼しい顔で笑うだけだった。


「なんや、そないに意地張って。俺のこと意識してんのバレバレやで」

「……してないし」

「ほんなら、なんで震えてんねん」


まろの指先が俺の手首を掴む。アルファ特有の体温が、皮膚の下にじわりと染み込んでくるみたいで、息が詰まる。

拒絶の言葉を繰り返すたびに、逆に深みにはまっていく気がした。


俺はオメガだ。発情期になれば、抗えない衝動に飲み込まれることくらい、自分が一番よく知っている。

だからこそ、まろに近づきたくなかったのに。


「ないこ。逃げんでもええやろ?」

耳元で囁かれた声は、やけにやわらかくて、底なし沼みたいに甘かった。


胸の奥で、何かがきしむ。

俺は必死で心を守ろうとした。けれど、そのたびにまろは隙間に指を差し込むように俺を揺さぶってくる。


「お前、ほんま可哀想なやつやな。強がって、誰にも甘えられへん。……せやから、俺がぜんぶ面倒みたる」


俺の否定は、もう声にならなかった。

喉の奥で震えるだけで、口から出るのはかすかな息。


気づけば俺は、まろの胸の中に押し込められていた。

閉じ込められたみたいに。

……いや、もしかすると俺自身が、そこから逃げたくなかったのかもしれない。

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