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このタイミングで「綾井店長に告白された」なんて言える雰囲気ではないし、まだ自分の気持ちだってわからないままで……
「ごめんね、姉さんに協力はできない」
「あらどうして? まさか、琴音、あの人が好きなの?」
「えっ! ち、違うよ」
違うというのも変な気がするけれど……
「やめときなさい。あんなハイスペックな人があなたを選ぶわけないから。可哀想だけど諦めた方がいいわ」
姉さんは、そう言って鼻で笑った。
「だから、私は別に……」
「まあいいわ。あなたに頼まなくても、次からは私が直接連絡するから」
「ちょっと本当にやめて、お願いだから」
どうしてこんな必死にならなければいけないのだろう、懇願しても無理だとわかっているのに。
「私が誰を狙おうがいいでしょ? もしかして妬いてるの? 自分じゃ勝てないから?」
姉さんの高圧的な態度、いつにも増して怖い。
確かに、涼香姉さんの美しさには到底敵わない。だけれど、これ以上、私の職場に入ってきてぐちゃぐちゃにされたくなかった。
「ねえ、もうやめようよ、こんなの。私と涼香姉さんは姉妹なんだからケンカなんてしたくない。それより姉さん、お父さんの工場が大変なの知ってるよね?」
「急に何よ?」
私達は、料理を注文するのも忘れて夢中になって話をしていた。しびれを切らした店員さんがオーダーを取りにきて、とりあえずオススメのメニューをお願いした。
「ずっと最近は資金繰りが大変なんだよ。必死に頑張ってる両親のこと、少しでも助けてあげたいんだけど、どうしたらいいのか。涼香姉さんはどう思ってるの?」
ずっと聞きたかったことをとうとう聞いてしまった。
「いいんじゃない? あんな工場、無くなればせいせいするわ。パパは……ずっと仕事に振り回されてる。だったらいっそ手放した方が楽になるでしょ? パパはその方が幸せなんじゃない? あなたのお母さんだってそうよ。それから、あなたもちゃんと身分相応の人を見つけて早く幸せになりなさい」