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junp_Sn-Fk.
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目黒くんと親しくなってから二週間が経過しようとしていた。
俺はいつものように学校へ出勤し、放課後に自分の仕事を終えて家に帰る。今までと全く変わらない日常。
変わったことは、目黒くんが2日に1回ぐらい連絡してくれるということだ。まだあの時のように呼ばれたことはないが、夜に少し連絡し合っている。
「体調はどう?」とか「陽くんは元気?」とか、最初は当たり障りのない話が多かったが、今は好きなこととか、苦手なこととか、目黒くんの詳しい話を聞いている。
しかし、ある質問をした時だけ、違う反応を見せた。
ab「将来の夢とかある?」
気軽に聞いたつもりだった。過去のことより、未来の楽しいことを考えようと思って聞いた。
でも、そのメッセージに既読がついても、返信はなかなか返ってこなくて。
mg「今はないですね」
既読がついて1時間後ようやく返信が来た。他のメッセージは既読がついてからすぐに返信が来るのに、今回だけは様子が変だった。
質問の内容が良くなかったと、自分でも反省し、すぐに話題を切り替えた。
やはり、違う話題になると、あの空白の1時間が無かったかのように、様子が戻った。
俺も、このことはあまり深く考えないようにしようと思い、心の中にモヤモヤが残ったまま日を越した。
高校にて
ru「阿部ちゃん先生ー」
今俺を呼んだのは、俺が担任をもっているクラス二年六組のラウールくん。頭の回転が速く、成績も良いが、かなりの人見知りなようで友達は少ないと本人は語っていた。
ab「どうしたの?」
ru「めめ、じゃなくて、目黒くんってまだ学校来れないんですか?」
ab「えっ?」
そう。ラウールくんは一年のときから目黒くんと同じクラスで、親友だった。親友がいきなり学校に来なくなって、心配しているのだろう。
ab「うーん、分かんないかな」
ru「そうなんだ…」
ab「目黒くん、一年のとき何か言ってた?」
ru「えっ、逆に聞いてないんですか?」
ab「何を?」
ラウールくんは少し呆れたような表情を見せながら、小さくため息をついた。
もしかしたら、目黒くんの親友であるラウールくんなら、何か知っているのかもしれない。
ab「もし、何か知ってるなら言ってほしい」
ru「うーん…」
ラウールくんはしばらく考える素振りを見せ、ゆっくり口を開いた。
ru「俺も、具体的なことは知らないですし、本人に許可なしで言っていいのかも分かんないんですけど…」
ru「目黒くんの家、少し難ありで。一年のときに両親が離婚したんですよ。それで今は母親の手一つで暮らしてるみたいです」
何か家庭の事情があることは察していたが、ご両親の離婚とワンオペは体力的にも精神的にも苦労する。
ab「ありがとね、教えてくれて」
ru「いえ、全然。また、目黒くんに会いたいんで」
友達思いのいい生徒だ。でも、だからといって目黒くんを無理に学校に行かせる訳にはいかない。少しずつ、目黒くんの心が落ち着いてきたら、そう思っている。
その週末、俺は友人に誘われ飲み会に参加していた。車で来ていたため、お酒は飲まなかった。
その飲み会の帰り、飲み過ぎた友人を俺の車に乗せてそいつの家に送っていた時、酔い冷ましに近くのベンチに座らせ水をあげた。
普段来ない場所、言うなれば歌舞伎町。教師とは無縁の場所だ。ちょっと雰囲気が怖くて、早めに帰らせようと思ったその時____
モブ「目黒ー、ホントにホストになる気ねーの?」
知っている苗字に反応してしまう。目黒なんて名前、全国にいくらでもいる。気にしなくていい、と思ったのは束の間。
mg「なりません。ただのバイトなんで」
聞いたことのある声に驚いた。ずっと同じ声が頭の中で響いて、何かの勘違いだと信じたかった。
すると、曲がり角から数人の男の集団が来て、その中に…
________目黒くんがいた。
mg「せん、、、せい?」
ab「目黒くん…」
モブ「えっ?誰?笑、先生?目黒の?ウケるんだけど笑」
mg「先生、その、違くて!」
ab「分かってるよ、だから話聞かせて?」
モブ「てか、先生が歌舞伎町いていーの?」
ab「友人を送ってたので」
モブ「ふーん。目黒、教師なんかに構ってないで、高校辞めてホストになれって」
この人たちの話を聞いてると、なんとなく分かった。目黒くんは、お金稼ぎのためにここでバイトしていて、この人たちに誘惑されていると。
こんな状況初めてで、どうすれば良いが分からない。
mg「なんかってなんだよ」
モブ「は?」
mg「先生は、俺の命の恩人だよ」
目黒くんは、何も言葉が出なかった俺を庇ってくれた。この子、根は強いんだろう。そんな目黒くんをあそこまで追い詰めるものって、何なんだろう。
mg「先生、今、時間ありますか?」
ab「あ、うん」
mg「少し…話したい、です…」
俺と目黒くんは、あの集団を置いて出た。俺の友人を家に送った後、近くの公園で話すことにした。
mg「まずは、ごめんなさい。あんなところを見させてしまって」
ab「俺は大丈夫」
mg「それで、俺、ホストクラブでバイトしてるんです。ホストじゃなくて、お酒を出すホールスタッフとして」
ab「そっか…」
mg「ホストクラブだと、稼ぎが良いので」
ab「それだけ、家計に困ってるってことだよね」
mg「その、ことなんですけど…」
目黒くんは唇を噛んで、言いたくないという気持ちを顕にしていたが、腹を括ったように俺に向き直した。
mg「父の、会社が倒産して、両親が離婚したあと、母は一日中仕事に出ました。アルバイトを何個も掛け持ちしてるんですけど、結局全部母の遊び代に消えるんです。だから、俺が働かないといけなくなって…」
ラウールくんから、両親の離婚とは聞いていたものの、倒産、夜逃げなど詳しいことは知らなかった。こんな深いことを教えてくれるのは、きっと、心を許してくれているからだろう。
ab「ありがとう、教えてくれて。でも、一つだけ教師として言わせてもらう。うちの高校はバイト禁止なのは知ってる?」
mg「…はい」
ab「でも、今回は大目に見る」
mg「えっ?」
ab「バイト自体ダメだけど、落ち着いてから辞めればいい。バイトしてることも、学校には話さないから」
mg「そんな、何から何まで…」
ab「いいんだよ。まずは生きることが第一だから」
mg「じゃあ、先生と俺だけの秘密ですね」
ab「うん」
その後、目黒くんはバイトを辞めて、バイト先の人とも関わりを絶ったみたい。これで心配は1つ減るものの、また一つ増える。
お金の問題は非常にデリケートだ。生活補助という国からの手当があるものの、今はそんな現実より、落ち着ける環境を作ってあげることが最優先。その話はまだ先。
これが解決したら、目黒くんは学校に来れるだろうか。ラウールくんも待っているし、来てほしいという思いはある。
だが、そんな考えは甘えだった。
俺は、まだ、目黒くんのことを知らない。
コメント
3件
🖤苦労してるなぁ…まだ何かあるのかしら…💦

続き待ってます♪ すごく気になります。 🖤の本心が何が出てくるのどんだけ大変なの 🖤💚この先どうなるの。
もうもうもう!!第4話、良すぎて泣きそうになったよ😭💕 目黒くんの「先生は命の恩人だよ」ってセリフ、心臓ぎゅってなった…!あの場面で先生を守ろうとする強さと、同時に見せる弱さのギャップがエモすぎる…。 それに、阿部ちゃん先生の「まずは生きることが第一」って言葉、優しさがにじみ出ててめっちゃ好き!! ラウールくんの親友想いなところも尊いし、登場人物全員の関係性が丁寧で、続きが気になって仕方ないよ…! ゆめかより🌸