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俺の朝は早い。
目覚ましが鳴る前に、自然と目が覚める。
洗面所で歯を磨き、顔を洗う。
鏡の前で前髪を整え、無駄のない動きでスウェットを脱いだ。
白いワイシャツに袖を通し、動きやすいパンツを履く。
これが一日の始まりの装備だ。
キッチンに向かう途中、組員とすれ違う。
💚「おはようございます」
「おう、早ぇな阿部」
軽く会釈して、そのままキッチンへ。
今日の朝食は和食。
ご飯を炊き、味噌汁とひじきの煮物を作り、卵焼きと魚を焼く。
💚「……よし」
手際よく仕上げて、次は翔太様の部屋だ。
コンコン
💚「翔太様、朝ですよ」
……反応なし。
💚「入りますよ」
扉を開け、もう一度声や掛ける。
💚「翔太様、起きてください」
布団の中は無反応。
💚「まったく……」
カーテンをシャッと開ける。
💙「うぅ…」
💚「朝です」
💙「あと5分……」
💚「もう十分寝ました」
半ば抱えるようにして脱衣場まで連れて行く。
💚「顔洗って、歯磨いたきてください」
💙「ん」
その声を背に、俺はテーブルに朝食を並べる。
しばらくして、眠そうな顔の翔太様を椅子に座らせる。
💚「はい、食べてくださいね」
💙「もう、毎日こんなにしてくれなくていいよ」
💚「俺の役目です」
💙「……いただきます」
箸を持たせ、ちゃんと食べているのを確認する。
全部食べ終わったら、次は制服に着替えさす。
車を出し、学校へと向かう。
💚「翔太様、着きましたよ」
💙「ねぇ、亮平」
💚「なんですか?」
💙「今日さ、友達とカラオケ行ってくる。パパに許可済み」
💚「……迎えは」
💙「今日迎えに来たら、一生口聞かねーから」
💚「え?」
そう言い残して、翔太様は車を降り、校門をくぐっていった。
💚「……どうしよう」
屋敷に戻ると、組員の一人が声をかけてくる。
「あははっ、顔死んでんぞ」
💚「笑い事じゃないですよ……」
「流石に過保護すぎて坊も嫌になったんじゃねーのか」
💚「それは……」
そこへ別の組員。
「坊ちゃんの縁談、また来てますよー」
「俺らの坊はモテモテやな」
💚「俺が確認します」
写真をもらい確認する。
「えらいべっぴんさんやん」
💚「却下」
「お、社長令嬢さんやで」
💚「却下」
「この子は隣町の組の娘さんやな」
💚「……ゴミ」
「まだ小学生やん。坊とは結構歳離れてんで」
💚「論外」
「……」
横から覗いてた組員は吹き出した。
「厳しいって」
「このままじゃ坊一生結婚できないわ」
💚「翔太様には、幸せになってほしいんです。そのためには、相手をきちんと見極めないといけませんから」
「はいはい、さすが坊の世話係だわ」
💚「縁談じゃなく、心から好きと想える人だといいのですが」
「まぁ阿部がいる限り、変な虫は近づけねぇな」
💚「当然ですよ」
「でも過保護なんは程々にな」
💚「はい……」