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それは突然の事だった。
「和茉、今日もお願いしていい?」
そう申し訳なさそうに言う日依。
「ん、全然大丈夫だよ。じゃあ放課後教室行くけんね。」
「あ、ありがとう。」
そういって教室に帰っていく。
「ヒューヒュー!ラブってるねぇー!」
と亮介が言う。亮介は俺の親友だ、と言っても
日和と、亮介の彼女が仲良かったから、たまに
Wデートとかしてたら、仲良くなった。
そして、放課後俺は日和の教室に行った。
「日和~。」
「あ、亮介!ちょっと待っとって、ごめんね。 」
「ゆっくりで大丈夫だよ。」
「うん、ありがとう」
そう言いつつ手元は慌てていた。
「ごめんね、待っててくれてありがとう。」
「んん、大丈夫だよ。」
日和は躁うつで、病院に通っている。
親は共働きで忙しいらしく、代わりに俺がよく付き添っている。
「今日寄りたい所があるんやっけ?」
「あ、うん、新しくできたカフェに行ってみたいっちゃん。」
そういってスマホの画面を見せる。
そこには美味しそうに撮られたスイーツがたくさん載っていた。
「え、バリ美味しそう、行ってみようか。」
そして病院が終わって駅前のカフェに行った
料理が机に運ばれて
「いただきます!」
日依はパフェを頼んだらしい。
美味しそうに食べる。
「んんー!美味しいぃ!和茉も食べなよ!」
「あ、うん。いただきます。」
パンケーキを一口頬張る。
その瞬間甘い味が口の中に広がる、
つぎにフルーツの酸味が漂い、さっぱりとした風味が来る。
「何これ、うま。」
次々と手が進み、気づけば食べ終わっていた。
「美味しかったね!」
「うん、なんか、もう言葉が出ないくらい。」
「何それ笑」
2人で笑う。
「また行こうね!」
今日の日依はなんだか楽しそうだった。
だから俺も嬉しくて、気が抜けていたのかも
知れない。
「今度友達でも誘おう」とか考えていたら。
前のほうで大きなブレーキ音が聞こえたのだ。
「日依!!!」
俺は声をあげた。「お願い、間に合って。」
そう願っても足は動かないものだ、
必死に手を伸ばしても、どんなに助けようと踠いても。
日依には届かなかった。
「日依!死なないでくれ。」
俺は思い付いたかのように、自分の携帯を出して、119に掛ける。
「救急です、…あの彼女が事故に遭って。」
「落ち着いてください。場所は。」
「三角駅前の交差点です!」
「呼吸はしていますか。」
俺は日依を見る。
「和茉、痛いよ。」
「大丈夫だよ。すぐ救急車が来るから。」
電話に戻って、
「話が出来ます、まだ…まだ意識はあります!」
「分かりました、出血はしていますか。 」
「見たところはないです。」
「分かりました。このまま電話を繋げて、救急車が来るまで待っていてください。」
「はい」
「和茉、和茉。」
苦しい顔を浮かべて、俺を呼ぶ。
「痛いよね。ごめん、ほんとに、気づけなくて。」
「無理かも。痛い、ごめんなさい。」
「喋らなくて良い。大丈夫だから。絶対助かるから。」
「和茉、大好きだよ。」
呼吸が荒くなっているのが見て分かる。
「日依大丈夫だから。死なないから。」
「あのね、どんなときも日依は味方だからね。」
「独りになっても、絶対日依は一緒に居るからね。」
「やめて、死なないでくれ。」
「ほんとに、ありがとう、大好きだ…ょ。」
涙を流す日依。
やがて、サイレンが聞こえ救急車が来て、病院に運ばれた。