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「アルヴィアン侯爵代理のお入りです。」
舞踏会の会場である王宮の大広間に入ると多くの貴族や商人が頭を下げる。今日俺が身につけている薄い紫と濃い黒のマントには、多種多様な天然の宝石と金のボタンが縫い付けられていて、その下に着ているシャツにはアルヴィアンの家紋であるキツネが美しい刺繍で装飾されている。これらの服装はアルヴィアンの芸術に対する先進的な姿勢や蓄積された資産を控えめではあるが、十分に誇示していると言えるだろう。多くの貴族や商人がアルヴィアンの経済的繁栄は理解している。しかしながら、ここまでアルヴィアンが裕福だとは思っていないだろう。侯爵家はおろか、大半の公爵家でさえこれを手に入れるのには苦労するだろうが、アルヴィアンにとってはそこまでではない。俺のやり方はいつも同じだ。相手を油断させ、その隙に彼らから全てを奪う。父上であるレスター・アルヴィアンはそれを変えようとしていて。でも、俺はそのやり方を変える気はないとだけは言っておこう。