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junp
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#めめこじ
junp
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fura
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ab.side
雨が降る日は、決まって屋敷が静かになる。
瓦を叩く雨音だけが、広い廊下を満たしていた。
この屋敷へ嫁いできて、今日でちょうど一ヶ月。
けれど、“夫婦らしい時間”と呼べるものは一つもなかった。
「…旦那様は?」
通りかかった女中に尋ねる。
「書院にいらっしゃいます。」
「…そう 」
それだけ答えて、視線を庭へ戻す。
話しかけた女中は一度礼をしてから歩いていった。
旦那様はいつも忙しい。
家業を継ぐ当主として、朝早くから夜遅くまで働き、食事も一人で済ませることが多い。
私が初めてこの屋敷に来た時も。
mg「よろしく」
たった、その一言だけだった。
笑顔もない、握手もない。
結婚式でさえ、隣に立つ彼は驚くほど静かだった。
政略結婚。
互いの家の利益のためだけに結ばれた縁。
愛することも、愛されることもあるはずがない。
だから、期待してはいけない。
何度もそう思った。
それでも、人というものは欲張りだ。
朝の「おはよう」の一言が欲しい。
帰ってきた時は「おかえり」って言いたい。
少しだけの会話、それだけでも十分なのに。
その距離さえ、旦那様とは遠かった。
夕刻。
「旦那様、夕食の時間です。」
襖越しに語りかける。
mg「入って置いてくれ。」
返事は短くて、冷たい。
こっちを見もしない。
でも、今日だけは、一緒にいたかった。
「ご一緒しても?」
数秒の沈黙。
mg「好きにすれば」
一度だけ私をみてから、一言。
それを、一緒に食べても良い。と勝手に解釈して、膳を運ぶ。
広い書院、障子越しに雨の音が低く響く。
目黒は、書類へ目を落としたまま箸を持つ。
向かいへ座っても、視線は一回も合わない。
「今日は雨ですね」
mg「ああ」
「…雨は降っていますが、庭の紫陽花は綺麗でした。」
mg「そう」
会話は、たったの数秒で終わる。
思わず苦笑いをしてしまった。
やっぱり、難しいな。
嫌われているわけでは、ないと思う。
けれど、近づくことも出来ない。
まるで、冬の湖のような人。
顔は一つ一つの造形がぴったり当てはまっていて、目は穏やかで、美しい。
ここら辺一体では、相当な有名人だ。
でも、たとえ夫婦だとしても、簡単には彼には踏み込めない。
雨が止んだ静かな夜。
屋敷の廊下を歩いていると、書院から僅かに光が漏れていた。
「まだ、起きてる….」
閉じていた襖を開いてそっと覗く。
目黒は、机に伏したまま眠っていた。
机の上には種類が山積みになっている。
灯りもつけっぱなし。
小さく息を吐く。
「…こんなところで寝ていたら、風邪を引きますよ。」
返事はかえってこない。
まぁ、それは当然のことなのだが。
聞こえるのは、静かな寝息だけ。
起こそうか悩んだ結果、自分が来ていた羽織をそっと肩へ掛けた。
その瞬間。
mg「…..何してる 」
低い声。
目黒は目を開けている。
「あ….起こしてしまって、ごめんなさい」
mg「….」
寒そうだったので。そういうと目黒は羽織へ目を落とす。
何も言わない。
ただ静かな沈黙。
怒られる、のだろうか。
なに勝手なことをしているのか、と。
しかし、返ってきた言葉は違った。
mg「ありがとう」
たった、五文字。
初めて聞く、少しだけ柔らかな声だった。
「….」
mg「….どうした」
「あっ、いえ」
mg「何」
「初めて、お礼を言われた気がして…」
その瞬間。
目黒は少しだけ視線を逸らす。
mg「今までも思っていた。」
「え?」
予想外な言葉に思わず聞き返す。
mg「口にしなかっただけだ」
また短い沈黙が流れる。
けれど今日は、不思議となぜかあたたかい。
止みかけていた雨の音も、少しだけ優しく聞こえた。
mg「もう寝ろ」
「それは旦那様も。」
mg「….分かった」
分かったから早く寝ろと急かされる。
でも、その返事だけで十分だった。
襖をゆっくり閉める。
廊下を歩きながら、思わず笑みが溢れる。
冷たい人だと思っていた。
でも、違う。
きっとこの人は….
不器用なのだ。
誰よりも。
その夜は、庭の雨は静かに上がり、雲の切れ間から細い月が顔を覗かせていた。
そんな月を、二人は別々の場所から同じように見上げていた。
続___
新しいめべさんのお話です。
洋な話にすると決めていたのですが、あまりにもお話の構成が難しかったので和で行きたいと思います。
このお話はなんとなーく最後まで考えられているので、そこまで持っていけるか…って感じですね。笑
二人の和風な、政略結婚物語をぜひよろしくお願いします。
fura
コメント
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続き楽しみです!