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ケーキ争奪戦は未亜さんの勝利に終わった。
「喰意地と執念の勝利なのですよ」
そんなことを言って、未亜さんはガッツポーズを取る。
それでも結局は、皆で少しずつ分けて食べたのだけれども。
「もうすぐ就寝ですけれど、その前にちょっと外に出てみませんか。またさっきと違う感じがすると思いますよ」
先生がそう言うので、皆で出てみる。
一段と寒い。
でも意外に思ったことがある。
「思ったより明るいでしょう」
「本当だ、明るい」
彩香さんの小さい声。
そう、明るいのだ。
月の明かりと星明かり、そして雪の白のせいだろうか。
他のテントなんかもはっきり見える。
月も星も、いつも以上に光っている感じ。
ちょっと不思議な幻想的な世界。
「星もよく見えると思います。これは月が落ちた明日の早朝、起きてすぐの方がもっと綺麗に見えるのですけれどね。
さて、トイレに行って寝る準備をしますよ」
「はーい」
というわけで、トイレに行って、そしてテントに戻って。
寝る用のマットを敷き直して、寝袋と寝袋カバーをセットする。
「今日は人数が多いので、頭側と足側を交互にする形で寝ます。
こっちから順に、私、川俣さん、松岡さん、竹川さん、栗原さん、羽紋さん、仲代君で。
あと1リットルの水ポリは枕にするか寝袋カバーの中で、靴もビニル袋に包んで寝袋カバーの中に入れておいて下さい」
そんなわけで、もぞもぞという感じで準備。
僕の場合は、横がテントの壁、隣が亜里砂さんの足や靴が入る寝袋カバー、その隣が彩香さんになる。
「こういう寝方も珍しいよね」
「登山だとよくやりますよ。テントがぎりぎりのサイズの場合が多いですから」
でも見慣れないと、何かシュールな感じだ。
ザック等の荷物は、頭側と足側の空きスペースに固めて置いてある。
そんなわけで僕は、寝袋カバーの中に寝袋を入れて、身体をもぞもぞ滑り込ませた。
彩香さんとの間に、亜里砂さんの足入り寝袋カバーがずるずる伸びてくる。
うん、やっぱり何かシュールだ。
そしてテントの緑色の壁を通して、外の明かりが漏れている。
月明かりと星明かりだけなのに、この状態でも結構明るい。
「何か楽しいね、こんな感じも」
彩香さんが小さい声で僕に言う。
「そうだね、確かに楽しい」
僕もそう思う。
普通のクリスマスパーティより、遥かに面白かった。
「それじゃ、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
色々やって疲れたせいか、今日はあっさり睡魔が襲ってきた。