窓を見ても白く、変わらない景色を眺め続けていた。
今日からはもう自由なんだ、休みだし、親も仕事でいないから…こうして電車に乗って旅をしている。今度は何処へ行こうか、行き先は決めていなかった。
電車の中には誰もいない。他の車両にはお年寄りが数人…幼い子もいるようだった。
しばらく乗っていると、ようやく駅に到着した。
扉が開いても人は来ない。田舎だなぁ…と少し思うが、景色が綺麗だったのでそんなことはあまり思わないことにした。
その駅は…ひつか駅と書かれ、酷く真っ白な駅だった。それに…聞いたことがない駅名だった。
もしかしたら夢なのかもしれない、そう思ってその駅では降りなかった。
その後も孤慈駅、椎東駅…などの聞いたことのない駅を知らせるアナウンスが流れていった。
これが所謂都市伝説と呼ばれる怪異の類なのか…それとも単純に私が知らない駅なのか。そんなことは知る余地も無かった。
電車に揺られていると、着いた駅で思い掛け無い人物と邂逅した。
薄い桃色の髪、綺麗な朱色の瞳、その姿は親友の澄田穂希だった。
「由良…?由良だよね!」
明るく振る舞う彼女は間違いなく穂希だった。
「穂希!何でこんな所に…」
「それが…どうしても分からなくて…でも、気付いたらここの駅にいて…」」
もしかしたらこれは夢なのでは?そう思ったが、感覚がはっきりしていて、どうもこれは夢ではないと感じた。
「ここ…どこなんだろう…不思議だよね。この駅、ずっと真っ白なんだもん」
白。私が今まで見た景色もそうだった。
雪ではない、人工的な白。
そういえば、周りの人はどうしたのだろう、そう思い辺りを見渡した。
無人。お年寄りも幼い子供の姿も見当たらなかった。
「穂希…変だよ。ここ、やっぱり降り…………穂希?」
いない。さっきまでいた筈の澄田穂希が見つからない。
一体。どこへ行ってしまったの?
コメント
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駅名とかは当て字や都市伝説から取っています。考察してくれると嬉しいです