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【レオナside】
俺はいつも通り植物園の木の上で惰眠を貪り食っていた。
突然、物凄い怒鳴り声が聞こえて下を見ると、自分の寮の寮生がオクタヴィネル寮の奴に絡んでいた。
背はデケェけど見た目が地味な野郎だったが、胸ぐらを掴まれても全く動じずにやり返してる辺り多分普通ではないんだろうなとは思う。
地味野郎が自分の予測の斜め上の戦い方をしていて少し感心しる。
「なんで魔法使わないで肉弾戦なんだよ」
あいつらは大勢な上に魔法込みで戦ってるのにオクタヴィネル寮の奴は魔法も使わず肉弾戦だけで勝ってしまった。
「すげぇな」
ポツリ口から零れ落ちる。
するとさっき胸ぐらを掴んでいた奴に跨って無表情で容赦なく首を締めつけた。
その光景を見て俺でも流石にゾッとした。
声も平坦でそれが更に恐怖を増しただろう。
当然絡んできた奴らは土下座してそれぞれ謝って解放したと思ったら首を絞めてた奴の腹に容赦なく一撃を加えて気絶させた。
その後は賄賂を要求して何事なかったように財布から金を奪ってる姿はオクタヴィネル寮の慈悲も欠片もねぇなと、つい苦笑してしまう。
すると自分が居る木の下でマドルを数え始めたからつい声を掛けてしまった。
「おい、テメェさっきから俺の事気づいてるよな」
「あぁ、僕たちの事を観察してた3年生のレオナ・キングスカラー先輩じゃないですか」
こいつ、やっぱり俺が見てるの分かってたのか。
それに俺の事知ってるなら絡んできた所の寮長だって分かっててやったのか。
「ちっ」
舌打ちをしてドサッと上から降りてそいつの隣に座る
。
さっきまで嘘だったかのような雰囲気を出して笑った。
「ゴホン、改めて初めましてですね。レオナ・キングスカラー先輩」
「……お前オクタヴィネル寮の奴だよな」
「えぇ」
「慈悲深いんじゃ無かったのかよ」
キョトンとした表情をした後にブハッと吹き出す。
「それは寮の話じゃないですか。殺さなかっただけ慈悲深いですよ!!」
サラりと当たり前のように恐ろしい事を言う。
確かにサバナクロー寮は力こそが正義の弱肉強食の世界だがここまでヤバイ奴はそうそう居ない。
それに近づいて分かったがコイツの身体中から血の匂いがすげぇこびりついてる香りがする。
俺の本能はコイツはヤベェから逃げろと言ってるが何故か気になって仕方が無い。
「そうかよ」
そう普通に返答すると、少しだけだがピクリと体が反応していた。
コイツが想定してたのと違う返答をしたのに驚いたのかは分からねぇけど
「……あんな光景見たのにキングスカラー先輩は逃げないんですね」
ヘラッと笑って言ってるが、さっきの弱者共とお前は同じだと煽られてる様に聞こえて思いっきり木にもたれかかってるオクタヴィネル寮生の顔ギリギリを殴って顔を近づくけた。
「何で草食動物如きに俺が逃げなくちゃいけねぇんだよ?」
「ヤダなぁそんなに殺気出して怖いですよ」
全く恐怖して動揺するどころか更にヘラヘラとまた笑って傍を殴った俺の腕に触れた。
その瞬間、ビリッと身体中に得体の知れない恐怖を感じてバッと一気に距離を取ってしまった。
つぅと冷や汗が流れてつい凝視するとオクタヴィネル寮の奴は両腕を上にあげた。
「あはは!!そんな警戒しないで下さいよ。
腕にちょっと触ったくらいでビックリしちゃうなんて可愛いですねぇ」
「………てめぇ、マジで何者だ?」
ん〜と唸った後、立ち上がりしゃがみ込んでいる俺の目の前に来て明るい声で笑った。
「僕はオクタヴィネル寮のしがない一般生徒ですよ」
「……っ」
下から隠れてたそいつ表情が見えて背筋が凍る。
明るい声を出して口元は微笑んでいるが目が全く笑っておらず何とも表現出来ない恐ろしさがあり、ペショッと自分の耳が垂れてしまった。
「ハハッ耳垂れて可愛いですね」
「は……?」
すると、授業終了のチャイムが鳴り響く。
「あっ、チャイム鳴りましたね。
じゃあ僕は次の授業がありますから先に行きますね」
さよなら〜と呑気な声を出してその場から立ち去った。
残された俺はボーゼンとしたまま固まり、ラギーが来るでその場から動けなかった。
続く