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ヒナミ「武器をしまえ。」
妃海は手を伸ばしたまま言う。
だが、僕は武器をしまわない。
自分「邪魔だ。どけ。」
ヒナミ「どかない。」
妃海は間に立ったまま僕を見つめる。
ヒナミ「お前は賢い。だからきっと、今回の戦い、非はこちらにあるのだろう。」
自分「なら、」
僕の言葉を遮って続ける。
ヒナミ「それでも!こいつは私の仲間で、親友なんだ。大事な戦いにも必要だ。だから頼む。」
僕は気づく。
妃海が泣いていることに。
自分「そいつは部屋に入って、妹と関わった。」
自分「僕は警告していたはずだ。」
ヒナミ「分かってる。こいつにもしっかりと伝える。」
妃海の気持ちは分かる。大切な友達で、戦力、失いたくないのだろう。だけど、
自分「無理だ。警告した上で戦うために関わった、そんな奴が伝えられたところで変わるか?」
そう言うと、妃海はその場に膝をつき、頭を出す。
自分「なんのつもりだ?」
ヒナミ「もし、お前がこいつを殺すと言うのなら。私の首1つで許してくれ。頼む。」
自分「……………。」
自分「分かった。」
そう言って僕はナイフを振り下ろす。
ハヤテ「!」
颯が手を伸ばす。
ヒナミ「……?」
妃海が顔を上げる。
ヒナミ「どうして、やめる?」
自分「お前の立場は重要だ。それに、お前と同盟を結んでいる以上仲間は殺せない。」
僕はナイフをしまいながら答える。
自分「それに何より、お前を信じることにしよう。」
自分「しっかりと言い聞かせろ。次同じことがあったら覚悟しとけ。」
妃海は目を見開いたまま。答える。
ヒナミ「わ、分かった。善処する。」
自分「じゃあな。」
そう言って僕は背を向けて歩き出す。
自分「ふぅ。」
私は椅子に座り、一息ついた。
ハヤテ「お疲れ様。」
颯が呑気にお菓子を開ける。
自分「おい。」
ハヤテ「なに?」
自分「なに?、じゃない!」
自分「お前は何を考えているんだ!」
自分「あいつと敵対したらどうするつもりだ。」
颯はお菓子を食べながら答える。
ハヤテ「別に、私がいればいいでしょ?」
自分「いや、あいつも大切な戦力だ。お前と同等の。」
ハヤテ「まぁ、否定はしないけど。」
ハヤテ「けど!なんで止めたのよ!」
颯は遊びに水を差されて不服そうだ。
自分「まぁ、な。」
ハヤテ「私が勝ってたのにぃ、」
颯はブツブツと文句を言いながらお菓子に手を伸ばす。
お菓子を差し出してきたが、私は食べる気にはなれなかった。
あの戦い。確かに颯が有利に見えた。
だが、実際は違う。
颯は能力こそ使わなかったが全力で戦っていた。が、あいつは違う。
あいつは能力を使っていなかったし、本気でやっていなかった。
あいつの実力は少しは知っているつもりだ。
少なくとも、あいつが本気でやっていたら最初の一撃は致命傷になっていただろう。
だが、颯の傷はいくつもあったが全部浅い切り傷だ。
本能的なものか、意識してか。
どちらにせよあいつの実力は底がしれない。
それに何より、
妹の話になった時、感じる殺意。
あまりにも濃く、深い闇。
あいつからはそれを感じた。
仲間である限り心強いが、敵に回ったら、
考えたくないな。
しかし澪苑と颯、2人がいれば作戦が成功する。
そのためにも、2人をしっかりと見ていないとな。
そう思いながら、私は机の上の資料に目を通すのだった。