テラーノベル
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四月。私たちはついに地元を離れ、新しい街での生活をスタートさせた。
大学は別々だけど、電車で三十分もあれば会える距離。キラキラした都会の空気に最初は圧倒されたけれど、隣にユウキくんがいるだけで、どこにいてもそこが私の居場所になった。
ユウキ:「(キッチンで手際よくパスタを茹でながら)キララ、お腹空いたでしょ? あと五分でできるから、テーブル片付けてくれる?」
キララ:「(ノートを広げたまま)はーい! ありがとう、ユウキくん。……それにしても、ユウキくんって本当に何でもできちゃうね。料理まで上手なんて完璧すぎ!」
今日はユウキくんの一人暮らしの部屋で、新生活のお祝いも兼ねた晩ごはん。
大きな窓からは、地元の街では見たこともないような綺麗な夜景が見えていた。
ユウキ:「(お皿を運びながら、ふふっと笑って)キララに喜んでほしいだけだよ。……はい、召し上がれ。新生活、お互い頑張ろうね」
キララ:「(一口食べて、目を輝かせて)……おいしい! 天才だよ、ユウキくん! 私、こんなに毎日幸せでいいのかな」
(ここから付け足し!)
食事を終えたあと、私たちはベランダに出て夜風に当たった。
都会の夜は騒がしいはずなのに、二人の間には穏やかで、守られたような静かな時間が流れている。
ユウキ:「(後ろから私の肩を抱き寄せ、耳元で囁く)ねえ、キララ。大学のサークルとかで、変な男に絡まれてない? 綺麗になったから、心配なんだ」
キララ:「(照れながら寄り添って)もう、ユウキくんたら! 誰も声なんてかけてこないよ。それに、私にはユウキくんしかいないって、みんな知ってるもん」
ユウキ:「(満足そうに微笑んで)……そうだといいな。……ねえ、キララ。卒業式の日にミナトがああやって声をかけてきた時、実は少し焦ったんだ。でも、今のキララの目を見てると、もう安心できる。……君の心には、僕しかいないんだよね?」
キララ:「(驚いて顔を上げて、真っ直ぐに彼の目を見て)……当たり前だよ! ミナトのことなんて、もう名前を聞かないと思い出さないくらいだよ。私の世界は、ユウキくんでいっぱいなんだから」
かつて、グラウンドで泥まみれのミナトを必死に目で追っていた自分。
試合に勝った負けたで一喜一憂し、既読スルーに一晩中泣いていた自分。
そんな過去の私は、今の私から見れば「知らない女の子」みたいだった。
今の私は、ユウキくんの腕の中で、最高に大切にされ、愛されている。
ユウキ:「(私の額に優しくキスをして)……信じてるよ。この街で、たくさんの『初めて』を一緒に作っていこう」
キララ:「(幸せを噛みしめて)……うん! どこへ行くにも、何をするにも、ユウキくんと一緒がいい」
私たちは都会の夜景を見つめながら、これからの四年間の計画を立てた。
デザインの展示、夏休みの海外旅行、二人で住むための貯金……。
そこには、ミナトという名前が入り込む隙間なんて、一ミリもなかった。
キララ:「(心の声)……ああ、私、本当にこの道を選んで良かった。ミナトとの十年間の腐れ縁を断ち切って、ユウキくんという光を見つけたんだ。……一生、この手を離さない」
都会の夜空には星は見えなかったけれど、ユウキくんの瞳の中にある温かい光だけで、私は十分に幸せだった。
つづく
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